外胚葉形成不全免疫不全症の実態調査と治療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
201024142A
報告書区分
総括
研究課題名
外胚葉形成不全免疫不全症の実態調査と治療ガイドラインの作成
課題番号
H22-難治・一般-087
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 雅史(独立行政法人 国立成育医療研究センター 研究所 成育遺伝研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部 生殖発達医学講座 小児科学分野)
  • 有賀 正(北海道大学大学院 医学研究科 小児科学分野)
  • 蓮井 正史(関西医科大学 小児科)
  • 平島 光臣(香川大学医学部 医学系研究科 免疫病理学)
  • 小林 正夫(広島大学大学院 医歯薬総合研究科 小児科学)
  • 西小森 隆太(京都大学大学院 医学研究科 発達小児科学)
  • 瀧本 哲也(独立行政法人 国立成育医療研究センター 研究所 臨床研究センター 臨床研究推進室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 外胚葉形成不全免疫不全症は歯芽欠損、粗な頭髪、発汗低下などの外胚葉形成不全に加え、易感染性を呈する免疫不全症であり、主なものはX染色体劣性遺伝形式をとるNF-κB essential modulator(NEMO)異常症である。現在まで100名程度のNEMO異常症が報告されているが、我が国ではいまだ詳細な調査がなされていない。本研究は全国のNEMO異常症に対する実態調査を行い、その結果を基に治療に関するガイドラインの作成を目指す。
研究方法
 本年度は、1) CGDにおける肉芽腫形成に対するインターフェロン・ガンマ(IFNγ)投与の抑制効果、2) NEMO異常症腸炎におけるTNFαの関与、3) NEMO異常症患者におけるreversion mosaicismの頻度とその原因、4) NADPHオキシダーゼ欠損マウスへの大腸炎誘発剤の硫酸デキストラン投与による炎症性腸炎の誘発実験、5) 小児腸管ベーチェット 5症例(男児3名、女児2名)の実態調査、6) NEMO異常症14症例(男児 12名、女児2名)の実態調査を行った。
結果と考察
1) 長期にわたるIFNγ投与によってもCGD患者2名の肉芽腫形成は阻止できなかった。2) NEMO異常症腸管炎に対する抗TNFα抗体療法の有効性により、その原因としてTNFα産生の関与が示唆された。3) NEMO異常症におけるreversion mosaicismは10症例中9例で確認され、その原因としてNEMO遺伝子の増殖優位性の関与あるいは99%以上相同な偽遺伝子の存在が示唆された。4) 硫酸デキストラン塩を投与されたCGDマウスは著しい体重減少のより早期に死亡した。病理学的に回盲部から直腸側に向けて炎症反応が強かった。6) 小児腸管ベーチェット病は全例で発熱と腹痛、口腔内アフタを認め、有痛性の陰部潰瘍が診断の契機となり、ステロイド、コルヒチン、サリドマイド、インフリキシブが有効であった。潰瘍としては単発性でアフタを伴い、回盲部とS状結腸に好発した。7) NEMO異常症14例は、外胚葉形成不全、免疫不全による易感染性、炎症性腸疾患が合併し、身体的に年齢相当な症例が多く、精神発達遅延を呈した症例もあった。
結論
 本研究により全国のNEMO異常症患者14名の遺伝子変異、症状ならびに治療法が明らかとなった。また、自然免疫不全に伴う炎症性腸疾患への貴重は情報が数多く得られた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024142Z