先天性好中球減少症の効果的診断方法の確立と治療ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
201024133A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性好中球減少症の効果的診断方法の確立と治療ガイドライン作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-078
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 正夫(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 俊哉(広島大学 原爆放射線医科学研究所ゲノム疾患治療研究部門)
  • 小島 勢二(名古屋大学 大学院医学系研究科小児科学)
  • 布井 博幸(宮崎大学 医学部生殖発達医学小児科学)
  • 石井 榮一(愛媛大学 大学院医学系研究科小児科学)
  • 中村 和洋(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児期の好中球減少症は重症先天性好中球減少症 (SCN)と周期性好中球減少症(CyN)に代表される内因性好中球減少症と免疫性好中球減少症を含む外因性好中球減少症に大別される。好中球減少症は小児期より細菌や真菌に対する易感染性の原因となり、特にSCNでは感染症の反復と同時に感染の重症化、慢性化が認められ、治療に難渋する場合もある。G-CSF製剤の投与により感染症に対しての生命予後は改善されたが、長期のG-CSF投与により骨髄異形成症候群や白血病の合併が報告されており、近年では根治療法として造血幹細胞移植が行われている。1999年に好中球エラスターゼをコードするELA-2遺伝子のヘテロ接合性変異がSCNの半数例で同定され、以後も10種類以上に及ぶ種々の責任遺伝子が明らかにされている。SCNは種々の原因によりもたらされる疾患群と考えられており、責任遺伝子を明らかにすることにより、診断方法及び治療法確立のための基盤整備を目的とした。

研究方法
当院において診断された症例及び他施設より紹介、検体提供を受けた症例について家族歴、経過、随伴症状、治療経過などの臨床情報を収集した。これまでに特定された責任遺伝子の機能解析、及び特定されていない遺伝子変異の探索のために次世代シーケンサーを用いたシーケンスを施行した。
結果と考察
収集された情報より、多くの症例でこれまでに特定されているELA-2、HAX-1の遺伝子変異を認めており、責任遺伝子が同定できていない2症例に関して、次世代シーケンサーを用いた網羅的解析を行った。その結果、1例でWAS遺伝子の変異を同定したが、機能解析を行っていく予定であり症状との関連性は未だ不明である。今後、症例を増加するとともに解析を継続することで、更なる成果が期待できると考えている。
結論
本疾患は近年、生命予後が改善してきているが依然として治療に難渋するケースも散見され、効果的な診断方法の確立がよりよい治療の確立につながると考えられる。責任遺伝子の探索は根本的治療の可能性となりうるが、未知の責任遺伝子の同定には直接シーケンス法では限界があると考えられ、次世代シーケンサー(Illumina社 Genome Analyser 2)を併用した解析を行い、病態解明、効果的診断、治療ガイドラインの確立へつなげていく。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024133Z