小児好酸球性食道炎の患者全体像の把握と診断・治療指針の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201024125A
報告書区分
総括
研究課題名
小児好酸球性食道炎の患者全体像の把握と診断・治療指針の確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-070
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学)
  • 池田 均(獨協医科大学医学部 小児外科学)
  • 小室 広昭(筑波大学大学院人間総合科学研究科 小児外科学)
  • 滝 智彦(京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態検査医学・遺伝学)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター)
  • 平戸 純子(群馬大学医学部附属病院 病理部)
  • 野村 伊知郎(国立成育医療研究センター病院 アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
好酸球性食道炎(EE)は欧米を中心にこの10年で疾患が認知され研究が進んだアレルギー疾患だが、本邦での報告は極めて少ない。小児に比較的多い疾患である。小児EEがどの程度疾患として認知されているか、また実際にどの程度の食道生検が行われ小児EEの診断がなされているかを調査し、その上で本邦患者での特徴を捉え、病態を解析すべく患者検体におけるEE関連分子の遺伝子や蛋白レベルでの発現と程度、分布を詳細に検討、欧米との比較を行い、最終的には本邦での食道粘膜生検の適応基準、EEの診療指針作成することを目的とした。
研究方法
日本小児科学会群馬地方会会員への疾患認知度調査、日本小児外科学会および研究班関連施設を対象とした食道生検検体の好酸球炎症に関する後方視的調査、また基礎的検討としてEE関連分子の小児アレルギー疾患患者での測定を実施した。さらに木下班(成人の好酸球性食道炎・胃腸炎研究班)、野村班(小児消化管アレルギー研究班)と共同で好酸球性胃腸疾患全体の遺伝子発現の網羅的解析をすすめている。
結果と考察
疾患認知度調査では66%の小児科医が本疾患を知らないと回答し、本疾患認知度は低いと考えられた。食道生検検体の検討では、食道生検患者 19施設で124例(142件)、食道好酸球陽性患者 19施設で16例(16件)、EE患者 6施設で10例が確認できた。本研究を通じて診断された例も存在した。アレルギー以外の基礎疾患を有する患者がほとんどであった。また、EE関連分子の基礎的検討では、有意ではないが好酸球性胃腸疾患においてeotaxin-3とTSLPは低値の傾向にあり、トリプターゼは高値の傾向にあった。食道粘膜組織中遺伝子発現の網羅的解析のため関連研究班と共同で好酸球性胃腸疾患全体としての生検検体を収集中である。
結論
本研究からEEは小児科医の間で十分に認知されていない疾患である可能性が考えられた。また食道生検を行っている施設も比較的限られていた。欧米と違い、基礎疾患を有する症例が多いのが特徴であった。本疾患を疑われた患者が的確に診断、治療されるように、実態把握、患者像の調査に加え、今後、さらにEEに関する啓蒙を行っていくことが、重要であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024125Z