添付文書における腎機能指標の統一に係る研究

文献情報

文献番号
202524024A
報告書区分
総括
研究課題名
添付文書における腎機能指標の統一に係る研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
石井 伊都子(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,928,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腎機能を表す指標は、血清クレアチニン値、推算クレアチニンクリアランス(eCcr)、推算糸球体濾過量(eGFR) 等と様々であり、それぞれの指標が意味するところや適用する際の注意点等も異なっており、医薬品の添付文書における腎機能指標の表記は統一されていない。一方、国際的に腎機能指標としてeGFRを使用することが推奨されつつあり、本邦において添付文書における腎機能指標については、eGFRに統一することが有用であると考えられる。しかし、統一にあたり、その妥当性の検証や、統一した場合の安全性の確認を実施する必要がある。そこで本研究では添付文書の記載の現状調査や国内外の文献調査を行ってeGFRへの統一方法を検討することとした。また、腎機能指標をeGFRに変更した場合のリアルワールドデータによる安全性の検討を行うこととした。
研究方法
MID-NET解析対象の23薬剤について、腎機能に応じた未変化体の曝露量の実測値と理論値の比較を行った。
また、MID-NET®を用いたリアルワールドデータで検討を行った。具体的には、腎機能に応じた具体的な用量設定がCcrで行われている22薬剤について、用量設定の段階的なカットオフ値を(e)CcrからeGFRにそのまま置き換えた場合の安全性の評価を行った。有害事象として、各薬剤の添付文書で頻度0.1%以上のものを対象とした。
結果と考察
MID-NET解析対象の23薬剤について、腎機能に応じた未変化体の曝露量の実測値と理論値の比較を行った。尿細管分泌の寄与が想定されるロスバスタチン、エドキサバン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、エンテカビル、ファモチジンにおいて、ロスバスタチン以外は、理論値である投与補正係数と実際の薬の曝露に基づく血中濃度−時間曲線下面積(area under the blood concentration time curve,AUC)比が概ね近い値となった。一方、ロスバスタチンは(e)Ccr<30 mL/min/1.73 m2で著しい乖離がみられた。それ以外の薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、レベチラセタム)については、投与補正係数とAUC比または全身クリアランス/バイオアベイラビリティ比は概ね近い値となった。
また、MID-NET®を用いたリアルワールドデータで検討を行った。まず、フェノフィブラートについて検討した結果、40≦eCcr<60群と40≦eGFR<60群、60≦eCcr群と60≦eGFR群において、各有害事象の頻度に大きな違いはみられなかった。データ処理・解析に膨大な時間を要することから今後も引き続き検討を行う予定である。
結論
これまでの検討から、腎機能別薬剤投与量設定において(e)CcrからeGFRへの一律の相互変換は難しいと考えられた。既承認の医薬品についてeGFRに統一したいのであれば、新たに臨床試験を行うのが最も妥当な結果が得られると考えられる。一方、既存のデータを用いるのであれば、開発時に腎機能と用量の関係を検討した試験における患者情報の詳細が得られれば、eGFRによる用量設定が可能となるかもしれない。また、(e)Ccrがクリアランス等の共変量となっている母集団薬物動態モデルとその元データを活用し、eGFRによる用量設定のシミュレーションが可能かもしれない。

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
2026-07-14

文献情報

文献番号
202524024B
報告書区分
総合
研究課題名
添付文書における腎機能指標の統一に係る研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
石井 伊都子(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腎機能を表す指標は、血清クレアチニン値、推算クレアチニンクリアランス(eCcr)、推算糸球体濾過量(eGFR) 等と様々であり、それぞれの指標が意味するところや適用する際の注意点等も異なっており、医薬品の添付文書における腎機能指標の表記は統一されていない。一方、国際的に腎機能指標としてeGFRを使用することが推奨されつつあり、本邦において添付文書における腎機能指標については、eGFRに統一することが有用であると考えられる。しかし、統一にあたり、その妥当性の検証や、統一した場合の安全性の確認を実施する必要がある。そこで本研究では添付文書の記載の現状調査や国内外の文献調査を行ってeGFRへの統一方法を検討することとした。また、腎機能指標をeGFRに変更した場合のリアルワールドデータによる安全性の検討を行うこととした。以上を踏まえ、添付文書における腎機能指標の変更に関する提言を行うこととする。
研究方法
添付文書における腎機能指標の記載の現状調査を行った。
次にeCcrを個別eGFRに変換可能かどうかを検討した。様々な年齢(18-100歳)、性別、身長(100-200 cm)、体重(20-150 kg)、血清クレアチニン値(0.3-5.0 mg/dL)の組み合わせ約68万通りについてeGFR/eCcrを算出した。
次に腎機能に応じた具体的な用量設定がCcrで行われている22薬剤について、用量設定の段階的なカットオフ値を(e)CcrからeGFRにそのまま置き換えた場合の安全性の評価を行った。具体的には添付文書で頻度0.1%以上の有害事象の頻度をMID-NET®を用いたリアルワールドデータで検討を行った。
結果と考察
添付文書における腎機能指標の記載の現状調査を行ったところ、腎機能に応じた具体的な用量設定の指標として(e)Ccrが用いられる成分は97に対し、eGFRは30成分であった。2010年代以降に販売された薬の多くはeGFRを指標としていたが、2020年代においても(e)Ccrを指標とした薬の新規販売は続いていた。次にeCcrを個別eGFRに変換可能かどうかを検討した。様々な年齢(18-100歳)、性別、身長(100-200 cm)、体重(20-150 kg)、血清クレアチニン値(0.3-5.0 mg/dL)の組み合わせ約68万通りについてeGFR/eCcrを算出した。その結果、組み合わせによっては、変換指標として用いられることがある0.789と大きく乖離することが分かり、eCcrからeGFRへの一律の相互変換は難しいと考えられた。次に腎機能に応じた具体的な用量設定がCcrで行われている22薬剤について、用量設定の段階的なカットオフ値を(e)CcrからeGFRにそのまま置き換えた場合の安全性の評価を行った。具体的には添付文書で頻度0.1%以上の有害事象の頻度をMID-NET®を用いたリアルワールドデータで検討を行った。フェノフィブラートについて検討した結果、40≦eCcr<60群と40≦eGFR<60群、60≦eCcr群と60≦eGFR群において、各有害事象の頻度に大きな違いはみられなかった。データ処理・解析に膨大な時間を要することから今後も引き続き検討を行う予定である。
結論
以上より、(e)CcrからeGFRへの一律の変換は難しいと考えられた。既承認の医薬品についてeGFRに統一したいのであれば、新たに臨床試験を行うのが最も妥当な結果が得られると考えられる。一方、既存のデータを用いるのであれば、開発時に腎機能と用量の関係を検討した試験における患者情報の詳細が得られれば、eGFRによる用量設定が可能となるかもしれない。また、 (e)Ccrがクリアランス等の共変量となっている母集団薬物動態モデルとその元データを活用し、eGFRによる用量設定のシミュレーションが可能かもしれない。このような課題があるため、要望のように既承認医薬品についてもeGFRに統一することは簡単ではない。臨床現場における投与量の決定において、添付文書に記載されている腎機能評価法を用いるという原則に従うことで大きな支障がでるものではないと思われる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
2026-07-14

行政効果報告

文献番号
202524024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本検討の結果、eCcrからeGFRへの一律の変換は難しいと考えられた。また、用量設定の段階的なカットオフ値を(e)CcrからeGFRにそのまま置き換えた場合の安全性の評価をMID-NET®を用いたリアルワールドデータで検討を行ったが、一部の薬剤でしか行えておらず、今後も引き続き検討を行う予定である。以上より、現時点の結論としては、(e)CcrからeGFRへの統一は難しいと考えられた。
臨床的観点からの成果
本検討の結果、既承認医薬品についてもeGFRに統一することは簡単ではないと考えられた。既承認医薬品では個々の医薬品の特徴や開発経緯を踏まえて腎機能指標が記載されている。よって、臨床現場における投与量の決定において、添付文書に記載されている腎機能評価法を用いるという原則に従うことで大きな支障がでるものではないと思われた。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
202524024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,400,000円
(2)補助金確定額
5,874,000円
差引額 [(1)-(2)]
526,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 157,005円
人件費・謝金 0円
旅費 1,323,998円
その他 3,038,000円
間接経費 1,355,000円
合計 5,874,003円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
-