文献情報
文献番号
202523017A
報告書区分
総括
研究課題名
人工知能技術を用いた画像診断による食肉検査補助モデルの構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KA1004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
村松 康和(学校法人酪農学園 酪農学園大学(獣医学群獣医学類))
研究分担者(所属機関)
- 菊池 栄作(北海道大学 One Healthリサーチセンター)
- 森田 幸雄(麻布大学 獣医学部)
- 岡林 環樹(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター)
- 壁谷 英則(日本大学生物資源科学部)
- 内田 玲麻(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
15,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
コンピューター視認システム(CVS)と人工知能(AI)技術による画像診断技術(以下「CVS/AI技術」)は、食肉検査・食鳥肉検査(以下「食肉検査」)における補助システムとして、獣医師の負荷軽減に役立つと期待されている。食肉検査におけるCVS/AI技術関連の論文は主に欧米で報告され、食鳥検査への応用が9割を占める。その成果はデンマークでは“VetInspector”開発へと発展しているが、本技術の食肉検査応用に関して、豚では世界的に報告は僅かで実用例もなく、牛では殆ど報告がない。従って、豚・牛等の食肉検査へのCVS/AI技術応用に関する研究は世界的に先駆的な取組みで、獣医師の食肉検査業務負担の軽減への寄与が期待される。本研究では国内外の食肉検査におけるCVS/AI技術に関する実態調査、食肉検査現場への本技術導入に必要な技術基盤の構築、及び国内の食肉検査における本技術の実践応用の可能性を検討する。
研究方法
・食肉検査におけるCVS/AI技術応用について国内の実態を調査した。
・食肉衛生検査施設の現地調査を行い、画像収集を行う施設を選定した。
・食肉検査におけるCVS/AI技術の開発・導入についてデンマークで現地調査を行った。
・食肉検査へのCVS/AI技術導入に関する海外文献収集を行った。
・AI画像診断システムモデルの自己学習用教師データ作成を行った。
・食肉衛生検査施設の現地調査を行い、画像収集を行う施設を選定した。
・食肉検査におけるCVS/AI技術の開発・導入についてデンマークで現地調査を行った。
・食肉検査へのCVS/AI技術導入に関する海外文献収集を行った。
・AI画像診断システムモデルの自己学習用教師データ作成を行った。
結果と考察
1. 国内実態調査
食肉検査におけるCVS/AI技術導入実績は極めて乏しいことが明らかとなった。
2. 海外現地調査
デンマーク獣医・食品管理局(DVFA)、デンマーク食肉研究所(DMRI)、デンマーク工科大学(DTU)、デニッシュクラウン社ホーセンスと畜・加工場(DCH)、コペンハーゲン大学獣医学部(KU)、及びダンポ社アース食鳥処理・加工場(DA)で、現地調査を行った。
DFVAはFarm to Tableにかかわる事項を所管している。と畜検査を行う人材の確保は困難になってきており、新たな技術は一つの解決策になり得る。DFVAは、AIを利用したカメラ技術による食肉検査システム開発検討グループの一員である。DVFAはEU規則改正と新技術の開発プロジェクトを進めている。
DMRIで、Visionシステムの説明を受けた。牛用Visionシステムは12機のカメラとAI技術を用いてリアルタイムで枝肉汚染の有無を確認する。豚用Visionシステムは同様に枝肉の糞便・機械油等による汚染及び慢性胸膜炎を検出する18カメラシステムである。これらシステムが異常を検知した場合、当該と体を別ラインに流してより詳細な検査を行うようにするなどの対応策が想定される。
DCHでは豚用Visionシステムを枝肉画像収集のために使用していた。この施設では水によると体洗浄は行わず、と体直下に血液が流れるように床の排水エリアを区分しているため、水撥ねによる汚染拡散がなく、衛生的にと畜処理できていることが見て取れた。家畜は動物福祉を重視した取り扱いを受けていた。獣医師は食肉検査員が検知した異常例のみを確認することで、より専門的な業務へ注力できる。心臓の切開検査はリスクの高い屋外飼育豚でのみ行う等、食品安全上のリスク低減が欧州の食肉検査の目的であることが明らかとなった。
DTUではVetInspectorに関する説明を受けた。VetInspectorは、カメラ画像とAIを利用して食用不適な食鳥のと体及び内臓を判定する検査システムで、DAでは同システムにより、動物福祉の観点に基づき、足部が検査されていた。
KUでは食品安全とワンヘルスに関する教育カリキュラムの説明を受けた。
3. 海外文献調査
食肉検査におけるAI画像診断システム導入に関して、牛ではと殺後検査における関連論文は検出されなかったことから、本研究の独自性の維持が明らかとなった。
4. 画像収集施設の選定、教師データの作成
現地調査の結果から、肝臓、心臓、肺の検査について懸垂方式の3施設及び検査台方式の3施設を選び、臓器の画像収集を開始した。また、枝肉の画像収集を実施する3施設も選定し画像収集を開始した。得られた画像から作成した教師データ約200フレームを用いて牛肝臓を認識するミニシステムを作成した。
5.その他
本研究の関連記事が、読売新聞夕刊(2025年4月14日)に掲載された。
食肉検査におけるCVS/AI技術導入実績は極めて乏しいことが明らかとなった。
2. 海外現地調査
デンマーク獣医・食品管理局(DVFA)、デンマーク食肉研究所(DMRI)、デンマーク工科大学(DTU)、デニッシュクラウン社ホーセンスと畜・加工場(DCH)、コペンハーゲン大学獣医学部(KU)、及びダンポ社アース食鳥処理・加工場(DA)で、現地調査を行った。
DFVAはFarm to Tableにかかわる事項を所管している。と畜検査を行う人材の確保は困難になってきており、新たな技術は一つの解決策になり得る。DFVAは、AIを利用したカメラ技術による食肉検査システム開発検討グループの一員である。DVFAはEU規則改正と新技術の開発プロジェクトを進めている。
DMRIで、Visionシステムの説明を受けた。牛用Visionシステムは12機のカメラとAI技術を用いてリアルタイムで枝肉汚染の有無を確認する。豚用Visionシステムは同様に枝肉の糞便・機械油等による汚染及び慢性胸膜炎を検出する18カメラシステムである。これらシステムが異常を検知した場合、当該と体を別ラインに流してより詳細な検査を行うようにするなどの対応策が想定される。
DCHでは豚用Visionシステムを枝肉画像収集のために使用していた。この施設では水によると体洗浄は行わず、と体直下に血液が流れるように床の排水エリアを区分しているため、水撥ねによる汚染拡散がなく、衛生的にと畜処理できていることが見て取れた。家畜は動物福祉を重視した取り扱いを受けていた。獣医師は食肉検査員が検知した異常例のみを確認することで、より専門的な業務へ注力できる。心臓の切開検査はリスクの高い屋外飼育豚でのみ行う等、食品安全上のリスク低減が欧州の食肉検査の目的であることが明らかとなった。
DTUではVetInspectorに関する説明を受けた。VetInspectorは、カメラ画像とAIを利用して食用不適な食鳥のと体及び内臓を判定する検査システムで、DAでは同システムにより、動物福祉の観点に基づき、足部が検査されていた。
KUでは食品安全とワンヘルスに関する教育カリキュラムの説明を受けた。
3. 海外文献調査
食肉検査におけるAI画像診断システム導入に関して、牛ではと殺後検査における関連論文は検出されなかったことから、本研究の独自性の維持が明らかとなった。
4. 画像収集施設の選定、教師データの作成
現地調査の結果から、肝臓、心臓、肺の検査について懸垂方式の3施設及び検査台方式の3施設を選び、臓器の画像収集を開始した。また、枝肉の画像収集を実施する3施設も選定し画像収集を開始した。得られた画像から作成した教師データ約200フレームを用いて牛肝臓を認識するミニシステムを作成した。
5.その他
本研究の関連記事が、読売新聞夕刊(2025年4月14日)に掲載された。
結論
本研究はCVS/AI技術を用いた画像診断モデル作成を通して、CVS/AI技術が我が国の食肉検査における補助システムとして活用可能か、その実現性について評価するもので、評価自体は令和9年度に実施する。したがって、研究初年度が終了した現時点では明確な結論付けは出来ない。
AI自己学習用の教師データ作成には、連携する各地方自治体・食肉衛生検査所との綿密な連絡体制の堅持、及びAI技術委託事業者を含めた研究班全体の連携が重要である。
AI自己学習用の教師データ作成には、連携する各地方自治体・食肉衛生検査所との綿密な連絡体制の堅持、及びAI技術委託事業者を含めた研究班全体の連携が重要である。
公開日・更新日
公開日
2026-09-07
更新日
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