新型コロナ感染症拡大収束後の食品等事業者の新たな営業形態にも対応した食品防御の推進のための研究

文献情報

文献番号
202523013A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナ感染症拡大収束後の食品等事業者の新たな営業形態にも対応した食品防御の推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KA1006
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 加藤 礼識(学校法人 茨城キリスト教大学 生活科学部)
  • 入江 芙美(九州大学 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
11,619,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで食品防御対策とガイドライン整備を進めてきたが、新型コロナ感染症収束後は自動化や非接触サービス拡大、新業態普及により新規リスクが顕在化している。サイバー攻撃を含む食品テロ対応、自治体行政在り方、コストを踏まえた実効性確保が課題であり、大規模イベントでは従来ガイドライン適用困難である。本研究では、万博対応検討、現地調査、ガイドライン改訂、ロボット配膳や監視カメラのリスク分析、自治体課題把握、海外動向整理を通じ、食品防御上の課題を整理し、食品防御推進のための研究を行った。
研究方法
今年度は、大阪・関西万博に向けた食品提供対策の検討、現地調査、食品防御対策ガイドラインの改訂と普及、ロボット配膳システムおよび監視カメラ映像流出に関するリスク分析、地方自治体行政の相談分析、海外政策動向の整理等を通じて研究を実施した。
結果と考察
1.1.大阪・関西万博に向けた食品防御対策の検討
パビリオン、フードコート、キッチンカー等の調査により、入場管理、監視カメラ、カウンター受取方式、施錠管理等の対策が確認された。接触可能食材や薬品放置、混入・すり替えリスクは確認されなかった一方、監視未設置箇所や衛生管理のばらつきが見られ、店頭販売品の受渡し場所を含めた監視体制の明確化が必要と考えられた。
1.2.食品防御対策のための現地調査
小売店、飲食チェーン、食品製造工場の調査により、搬入・入退館管理、教育、異物混入対応、客テロ対策、原材料管理等の実態を確認した。各施設で一定の管理は行われていたが、監視の死角、作業ルールの不統一、共連れ対策、薬品・廃棄物管理等に改善余地があり、物理的対策と教育・運用面の改善が必要と考えられた。
2.ガイドライン改善および普及
食品防御対策ガイドラインでは、店頭販売品を位置づけ、「調理・提供」に含める修正を行った。通常版および中小規模向けで、私物管理、業者持ち物確認、受渡し場所、保管庫、監視カメラ管理、数量管理等を見直した。フードデリバリー関連では監視カメラ管理を追加し、チェックリスト英訳版を作成した。感染症対策、店頭販売、デリバリー対応を踏まえた見直しが求められる。
3.1.ロボット配膳システムと食品防御
文献調査および販売代理店・導入店舗への聞き取りにより、ロボット配膳は労働力不足や非接触需要を背景に普及する一方、無人搬送により接触行動、監視の空白、心理的抑止力低下等の課題を生じ得ることが示された。食品管理を店舗責任とする認識やトラブル情報未集約も課題であり、人的巡回や顧客対応への再配置により防御機能を補完する運用が重要と考えられた。
3.2.監視カメラ映像流出リスクの検討
制度・規格比較等により、海外ではサイバーリスクやIoT機器を食品防御のリスク評価対象に含める傾向が確認された。一方、日本では監視カメラ等の情報資産の位置づけが不明確な課題が見られた。映像流出は情報漏えいにとどまらず、物理的妨害や操業停止、供給影響へ連鎖する可能性があり、サイバーと物理を統合した食品防御の再構築が必要と考えられた。
4.地方自治体食品衛生行政における課題
自治体アンケートおよび苦情相談データ解析により、食品防御対応は明文化されていない場合が多い一方、相談対応や助言を行う実態が確認された。意図的混入が否定できない事案や未然防止に関わる相談もあり、所管の不明確さを踏まえ、食品衛生対策に食品防御の視点を加えた教育訓練と相談対応の整理が必要である。
5.海外における食品防御政策等の動向
FDAでは輸入冷凍シーフードのshort-weightingがEMAおよび食品不正として扱われ、輸入拒否等の規制措置や査察運用の対象となっていた。IA規則は既存制度の運用が継続され、Codexの食品偽装ガイドラインは検討継続中であった。PAS96第5版はドラフト公開とパブリックコンサルテーションを経たが最終版は未公表であり、国際動向の把握が必要である。
結論
本研究では、コロナ収束後の食品提供形態の多様化を踏まえ、食品防御対策の調査を実施した。大阪・関西万博では混入リスク低減対策が確認される一方、脆弱部分への対応の必要性が示された。現地調査では各業態で監視体制、作業環境、従業員教育の課題が整理された。ガイドラインは感染症対策や店頭販売を踏まえ改訂し、チェックリスト英訳を試作した。ロボット配膳では無人搬送により防御構造が変化し、運用によりリスクが変動することが示された。監視カメラ映像流出では供給停止の可能性が示され、サイバーを含む再構築の必要性が示された。地方自治体では未然防止と役割明確化の必要性が示された。海外動向では食品不正(short-weighting含む)、IA規則、Codex、PAS96を整理した。これらの成果は、食品防御対策の高度化と普及に資するものである。

公開日・更新日

公開日
2026-08-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-08-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
202523013Z