文献情報
文献番号
201024093A
報告書区分
総括
研究課題名
急激退行症(21トリソミーに伴う)の実態調査と診断基準の作成
課題番号
H22-難治・一般-037
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 虎之(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 達郎(みさかえの園、むつみの家)
- 外木 秀文(天使病院)
- 菅野 敦(東京学芸大学)
- 森内 浩幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 中西 真人(独立行政法人産業技術総合研究所)
- 高田 史男(北里大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
急激退行の実態を明らかにするとともに塩酸ドネペジルの効果を適切に評価できる評価方法を確立する。またダウン症者のiPS細胞を樹立し、病態解明研究に資することである。ダウン症は、出生約600人にひとりのもっとも発症頻度の高い染色体異常症である。小児期ダウン症の研究・臨床の進歩は著しいが、これに比べて成人ダウン症の実情についての調査研究はわが国においてはほとんど皆無である。症例報告あるいは小規模な臨床研究のレベルで成人ダウン症患者の急激退行症に対して、アルツハイマー病療薬の有効性を示す報告もあり、急激退行症の期発見は治療に直結しQOLの改善に寄与する課題である。
研究方法
1:小規模ダウン症者自然歴アンケート調査解析。2:塩酸ドネペジルを服用しているダウン症者を中心としてのアンケート調査。3:塩酸ドネペジルの有効性を評価するための指標の作成。4:ダウン症における塩酸ドネペジル使用に関するこれまでの研究の文献的考察を行う。5:病態解明研究に資するためのダウン症の疾患iPS細胞の樹立を開始する。
結果と考察
中学卒業以降の551名のダウン症者の自然歴アンケート調査を行い、これをもとに暫定的な診断基準を作成した。また、長崎県を中心に塩酸ドネペジルを使用している患者の改善度を調査し、塩酸ドネペジルの有効性を示唆する成績を得た。上記の調査結果を参考に、ICF国際生活機能分類を改良した心身機能チェックリストを作成し、これをもとに、急激退行の実態調査のための調査票を作成し治験を開始する基礎を作ることができた
結論
本研究では、ダウン症者の急激退行の暫定的な診断基準と塩酸ドネペジル療法の有効性を示唆する成績を得た。しかし診断基準を確定するためには、さらなる調査研究と病態解明のための基礎的研究が不可欠である。また塩酸ドネペジルは、長崎大学を中心とした投与試験が臨床研究レベルで継続しているが、現状では薬事法上の承認を得て保険診療として同薬剤を使用するための道筋が示されておらず、治験開始に必要なデータを収集することも次年度以降の重要課題である
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
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