重症度別治療指針作成に資すHAMの新規バイオマーカー同定と病因細胞を標的とする新規治療法の開発

文献情報

文献番号
201024069A
報告書区分
総括
研究課題名
重症度別治療指針作成に資すHAMの新規バイオマーカー同定と病因細胞を標的とする新規治療法の開発
課題番号
H22-難治・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
出雲 周二(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 龍文(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 植田 幸嗣(独立行政法人 理化学研究所)
  • 中川 正法(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 原  英夫(佐賀大学 医学部)
  • 久保田龍二(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
  • 高嶋  博(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 白木  洋(横浜薬科大学 健康薬学科)
  • 星野 洪郎(群馬大学大学院 医学系研究科)
  • 齊藤 峰輝(琉球大学 大学院 医学研究科)
  • 竹之内徳博(関西医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAMはHTLV-1感染者の一部に発症する稀な難治性疾患である。感染者数は関東や関西などの大都市圏ではむしろ増加し全国に拡散しており、大都市圏での患者増加が予想される。HAMの診療・治療指針に関するエビデンスの普及が不足しており、認知度を高める啓発活動が急がれる。また、疾患の希少性ゆえに病態・治療研究は不十分で、患者の機能予後は不良であり、治療指針の作成や根本的治療法の開発研究が急務である。本研究では、HAMの主な発症リスクである生体内での感染拡大の機序や発症病態の解明、プロテオミクス、グライコミクスをもちいた新規治療標的分子探査などの基礎的研究とともにHAM患者に関する臨床・ウイルス・免疫学的情報のデータベースを構築し、疾患活動性評価や予後予測、治療効果判定に有用なバイオマーカーを検索し、「早期診断、疾患活動性・重症度別治療指針」の作成、新規治療法の有効性検討、全国的にHAMの認知度を高める施策などを目的としている。
研究方法
九州地区と関東関西の大都市圏で専門外来を持つ診療施設と、HAMの臨床病態の研究に実績を有する研究者、プロテオミクスによるバイオマーカー探索の実績を有する研究チーム、難病疫学研究者により研究組織を構成した。情報を集約して共有できるデータベースを作成し研究基盤を確立するとともに、分担して臨床研究を進めた。感染拡大機序の研究、臨床に応用できるバイオマーカーの探索には、定量プロテオミクスやレクチンアレイ法などの網羅的解析法をもちいて患者試料を解析した。新規治療薬の候補薬は医師主導多施設無作為化した臨床試験を開始した。
結果と考察
本年度の研究成果として髄液CXCL10、OX40、TSLC1などの複数の疾患活動性マーカーが見いだされるとともに、治療標的分子候補としてアクチンポリメラーゼ、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどが見いだされた。プロテオミクス、グライコミクスによる絞り込みも進んでいる。発症病態についても細胞傷害性T細胞や貪食系単核球の役割が明らかになった。新規治療薬の開発はプロスルチアミンについて医師主導の臨床試験を開始した。また、HAMの広報活動に資する患者及びHTLV-1陽性者を対象とした解説パンフレットを作成し配布した。また、他のHTLV-1関連研究班と連携して「HTLV-1情報サービス」Webページを作成し公開した。
結論
HAMの病態に関与する、あるいは病態を反映する複数の分子が見いだされた。また、治療の標的分子の絞り込みが進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024069Z