難治性炎症性腸疾患のゲノムおよびエピゲノム解析による病因・病態・治療抵抗性機序の解明

文献情報

文献番号
201024060A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性炎症性腸疾患のゲノムおよびエピゲノム解析による病因・病態・治療抵抗性機序の解明
課題番号
H22-難治・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
笹月 健彦(九州大学 生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 日比 紀文(慶應義塾大学 医学部)
  • 土肥 多惠子(国立国際医療研究センター 研究所)
  • 山本 健(九州大学 生体防御医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
潰瘍性大腸炎およびクローン病の病因、病態および抗TNFα抗体療法抵抗性の遺伝的機序を、ゲノム情報およびエピゲノム解析により解明し、これらと臨床情報を加えた三大情報を統合的に解析することにより、難治性炎症性腸疾患(IBD)の病因・病態・抗TNFα抗体治療抵抗性機序を解明し、本疾病克服への道を拓く。
研究方法
臨床検体の収集:詳細で高質な患者情報が付与された検体を収集する組織構築が必須である。このための倫理審査承認を得た後、共通のインフォームドコンセントのもと、九州大学、慶應大学を中心に組織を整備して検体収集を行う。
ゲノム解析:これまでに全ゲノム相関解析によって報告された遺伝子多型を抽出し、これらを本研究の解析対象遺伝子とする。一塩基多型遺伝子型の決定はTaqMan法を用いる。またHLAについては、強い相関が期待されることから6座について別途解析する。
エピゲノム解析:クローン病大腸の生検組織を用いた治療抵抗性エピゲノム因子を、網羅的遺伝子発現解析、Bisulfateシークエンス法によるDNAメチル化解析、抗ヒストン3K4および3K27抗体を用いたChIPシークエンスにより解明する。
結果と考察
検体収集機関においては、外来および入院患者の臨床情報から、ゲノム解析に供する詳細な臨床情報を備えた患者群を選択する体制が整った(九州大学許可番号416-00,国立国際医療研究センターNo937,慶應大学:申請中)。候補遺伝子多型の選択を行い、これまでに全ゲノム相関解析にて報告されたIBD感受性遺伝子より42遺伝子を抽出した。SNPを用いたIBDの全ゲノム解析が日本人もふくめほぼ終了し、そこで同定された遺伝子がどのような病態により関連するのかが問われている。本研究により、IBD感受性遺伝子群の中から、目的とする治療応答性に関わる遺伝子の同定が期待される。
エピゲノム解析においては、治療前症例のエントリーを開始し、クローン病大腸の生検2個分の組織から、遺伝子発現解析に十分な細胞が回収出来ることを明らかにした。倫理委員会への申請時の最低予定集積症例数で、解析可能な細胞数が確保できることが検証された。炎症現場のレトロトランスポゾンを含むゲノム変異・エピゲノム変化を解明しIBD難治化の根源的理解が可能になる。

結論
IBDの治療抵抗性をゲノムおよびエピゲノムレベルで解明するための42遺伝子の抽出および解析プローブの整備、ならびにクローン病TNFα抗体療法治療抵抗性の粘膜の生検組織のエピゲノム解析準備が整い、試料の収集を開始した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024060Z