特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201024041A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-041
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
今井 尚志(独立行政法人国立病院機構宮城病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 幸市(群馬大学大学院医学系研究科脳神経内科学)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院神経内科学)
  • 川田 明広(東京都立神経病院 脳神経内科)
  • 高畑 隆(埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科)
  • 青木 正志(東北大学病院 神経内科)
  • 阿部 康二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科神経病態内科学)
  • 板井 孝壱郎(宮崎大学医学部社会医学講座生命・医療倫理学分野)
  • 伊藤 智樹(富山大学 人文学部)
  • 伊藤 道哉(東北大学大学院医学系研究科)
  • 荻野 美恵子(北里大学医学部神経内科学)
  • 梶 龍兒(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臨床神経科学分野)
  • 高石 浩一(京都文教大学臨床心理学部)
  • 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 神経内科)
  • 中田 智惠海(佛教大学社会福祉学部社会福祉学科)
  • 中野 今治(自治医科大学内科学講座 神経内科学部門)
  • 難波 玲子(神経内科クリニックなんば)
  • 西澤 正豊(新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野)
  • 福永 秀敏(独立行政法人国立病院機構南九州病院 神経内科)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)
  • 南 尚哉(独立行政法人国立病院機構北海道医療センター 神経内科)
  • 湯浅 龍彦(鎌ヶ谷総合病院 千葉神経難病医療センター 難病脳(神経)内科)
  • 安藤 智子(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 植竹 日奈(独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院)
  • 清水 幸裕(南砺市民病院 内科)
  • 田村 裕昭(勤医協中央病院)
  • 中根 俊成(独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター・西九州脳神経センター 神経内科)
  • 矢島 正栄(群馬パース大学 保健科学部)
  • 大石 春美(医療法人心の郷 穂波の郷クリニック)
  • 上條 真子(北里大学東病院)
  • 後藤 清恵(独立行政法人国立病院機構新潟病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の特定疾患患者は、世界に類を見ない独自性と高い質の制度で支援を受けてきている。しかし、従来の保護される対象としてでは無く、自立した個人として地域社会の一員として生きることが求められている。特定疾患患者が真に自立するための今後の支援体制について検討した。
研究方法
分担研究者を①難病相談支援センターへの支援方法の検討 ②安定した療養を行うための療養環境整備に関する検討 ③就労支援に関する検討 ④ALS患者の事前指示に関する検討の4項目に分け、それぞれワーキンググループを作成して研究を遂行した。
結果と考察
①難病相談支援センターへの支援方法の検討
昨年度までに開発した電子相談票記録標準化のフォーマット(電子相談票)を基に、全国の難病相談支援センターに寄せられた相談記録約6000件を分析したところ、疾患特性と相談事項は緊密な相関があり、1.若年発症~病状併存社会参加支援パターン、2.中高年発症~治療法や患者会の情報支援パターン、3.ADLが急速に悪化~療養環境調整パターンの3つに分類された。また、web上のネット会議システムを相談員の研修の場として使用した場合の利点と限界について検討した。

②療養環境整備
医療処置を有する難病患者の家族介護負担軽減のための検討を行い、吸引可能なヘルパー養成を地域で行うためのツールとして、「たんの吸引の手引き」とビデオ映像を作成した。

③就労支援
各地の難病相談支援センターが、厚労省のモデル事業の成果でハローワーク等と協働して、就労支援を行うようになってきている。
就労を積極的に行っている難病相談支援センターを集め、事例検討会を開催した。潰瘍性大腸炎などの消化器系疾患や、多発性硬化症などの若年発症型神経難病患者の就労相談が多かった。

④ALS患者の事前指示に関する検討
ALS診療における事前指示に関して、実地診療における問題点を整理し、学術的検討を基に中間報告を行った。
結論
全国の難病相談支援センター相談員がデータ管理を行うツールとして、電子相談票(修正版)とQ&A集を配布した。今後、難病相談支援センターに勤務する相談員の資質向上につながることが期待される。
「たんの吸引の手引き」とビデオ映像を作成した。今後ヘルパー養成講座などで活用されることが期待される。
 ALS診療の事前指示に関する中間報告を行った。今後神経学会で作成するガイドラインに反映させ、神経内科医のALS診療の質の向上につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201024041B
報告書区分
総合
研究課題名
特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-041
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
今井 尚志(独立行政法人国立病院機構宮城病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 幸市(群馬大学大学院医学系研究科脳神経内科学)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学系研究院神経内科学)
  • 川田 明広(東京都立神経病院脳神経内科)
  • 高畑 隆(埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科)
  • 青木 正志(東北大学病院神経内科)
  • 阿部 康二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科神経病態内科学)
  • 板井 孝壱郎(宮崎大学医学部生命・医療倫理学分野)
  • 伊藤 智樹(富山大学人文学部)
  • 伊藤 道哉(東北大学大学院医学系研究科)
  • 荻野 美恵子(北里大学医学部神経内科学)
  • 梶 龍兒(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臨床神経科学分野)
  • 高石 浩一(京都文教大学臨床心理学部)
  • 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院神経内科)
  • 中田 智惠海(佛教大学社会福祉学部社会福祉学科)
  • 中野 今治(自治医科大学内科学講座神経内科学部門)
  • 難波 玲子(神経内科クリニックなんば)
  • 西澤 正豊(新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野)
  • 福永 秀敏(独立行政法人国立病院機構南九州病院)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)
  • 南 尚哉(独立行政法人国立病院機構北海道医療センター神経内科)
  • 湯浅 龍彦(鎌ヶ谷総合病院 千葉神経難病医療センター難病脳(神経)内科)
  • 安藤 智子(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 植竹 日奈(独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター 中信松本病院)
  • 清水 幸裕(南砺市民病院)
  • 田村 裕昭(勤医協中央病院)
  • 中根 俊成(独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター・西九州脳神経センター神経内科)
  • 矢島 正栄(群馬パース大学保健科学部)
  • 大石 春美(医療法人心の郷 穂波の郷クリニック)
  • 上條 真子(北里大学東病院)
  • 後藤 清恵(独立行政法人国立病院機構新潟病院)
  • 平岡 久仁子(帝京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の特定疾患患者は、世界に類を見ない独自性と高い質の制度で支援を受けてきている。しかし、従来の保護される対象としてでは無く、自立した個人として地域社会の一員として生きることが求められている。特定疾患患者が真に自立するための今後の支援体制について検討した。
研究方法
分担研究者を①難病相談支援センターへの支援方法の検討 ②安定した療養を行うための療養環境整備に関する検討 ③就労支援に関する検討 ④ALS患者の事前指示に関する検討の4項目に分け、それぞれワーキンググループを作成して研究を遂行した。
結果と考察
①難病相談支援センターへの支援方法の検討
平成20年度・21年度は、相談員へのアンケートを基に相談内容Q&A集原案と記録標準化のフォーマット(電子相談票)を作成した。平成22年度は、開発したツールを用いて全国の難病相談支援センターに寄せられた相談記録を分析したところ、疾患特性と相談事項は緊密な相関があり、3タイプに分類された。また、web上のネット会議システムを相談員の研修の場として使用した場合の利点と限界についてアクションリサーチを行った。
②療養環境整備
医療処置を有する難病患者の家族介護負担軽減のための検討を行い、平成20年度・21年度は福祉施設での難病患者の受け入れの現状と問題点について調査し、先進的な取り組みの報告を行った。平成22年度は吸引可能なヘルパー養成を地域で行うためのツールとして、「たんの吸引の手引き」とビデオ映像を作成した。
③就労支援
各地の難病相談支援センターが、厚労省のモデル事業の成果でハローワーク等と協働して、就労支援を行うようになってきている。ワーキンググループで「難病・慢性疾患のある人の就業について」の就労支援パンフレットを作成した。
④ALS患者の事前指示に関する検討
ALS診療における事前指示に関して、実地診療における問題点を整理し、学術的検討を基に中間報告を行った。
結論
難病患者が地域社会で自立・自律していく援助として、難病相談支援センター相談員の自己研鑽のためのツールや、吸引可能なヘルパーを養成するためのツールの開発を中心に研究を推進し、一定の成果が得られた。今後web会議を活用した研修を組み合わせることで、患者を取り巻く支援者の資質向上につながると思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国の難病相談支援センターに寄せられた相談記録約6000件を分析したところ、疾患特性と相談事項は緊密な相関があり、1.若年発症の病状併存社会参加支援パターン、2.中高年発症の治療法や患者会の情報支援パターン、3.ADLが急速に悪化する療養環境調整パターンの3つに分類することが明らかになった。
また、ALS診療における事前指示に関して、実地診療における問題点を整理し、学術的検討を行った。
臨床的観点からの成果
高度の医療処置を有する患者も在宅療養を行う機会が増えてきた。安定した在宅療養を行うためには、デイケアやデイサービスなどの福祉サービスを利用することが必要である。しかし、人工呼吸器を使用する患者の福祉施設の利用は現在では困難である。研究班では、福祉施設の実態調査を行い、どのような患者が福祉施設利用可能であるかを明らかにした。また、先進的な取り込みについても報告した。
ガイドライン等の開発
ALS診療は、主に神経内科医師が行っている。根治治療がない現在、患者の自己決定で医療処置を行うかどうか決定される。今回、ALS診療における事前指示に関して実地診療における問題点を理解し、学術的検討を行った。今後、日本神経学会でまとめる。ALS診療がガイドラインに反映させていく予定である。
その他行政的観点からの成果
医療処置を有する難病患者の家族介護負担軽減のための検討を行い、吸引可能なヘルパー養成を地域で行うためのツールとして、「たんの吸引の手引き」とビデオ映像を作成した。
また就労を積極的に行っている難病相談支援センターを集め、事例検討会を開催した。潰瘍性大腸炎などの消化器系疾患や、多発性硬化症などの若年発症型神経難病患者の就労相談が多かった。
その他のインパクト
難病相談支援センターの相談員は、一人職場で相談相手もいない環境で仕事に従事していることも多い。そのため研究班では、研修や事例検討などWeb上の会議システムで職場にいながら研修を受けることが可能かどうか検討し、その利点と限界を考察した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
医療、神経治療学、臨床神経学
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
33件
在宅と難病ケア、臨床神経学、地域リハビリテーション
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
日本神経学会、日本神経治療学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024041Z