文献情報
文献番号
202518012A
報告書区分
総括
研究課題名
国内データベース基盤を用いた各種ワクチンの有効性・安全性・経済性の評価方法の検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HA1005
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
福田 治久(九州大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
- 三村 亘(国立健康危機管理研究機構 臨床研究センター データサイエンス部 臨床疫学研究室)
- 石黒 智恵子(国立健康危機管理研究機構 臨床研究センター データサイエンス学部)
- 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は,国内の複数の大規模医療データベース(NDB,iDB,DPCDB,VDB)および自治体連結データを連結・活用し,ワクチンの有効性・安全性・経済性評価,並びに新興・再興感染症対策に資する研究基盤の確立を目的としている.令和7年度は,前年度に構築・申請した基盤を踏まえ,データ提供に向けた運用準備,レセプト病名情報と死亡アウトカムの妥当性検証,小児ワクチン安全性評価における研究対象集団定義の影響評価,およびワクチン経済性評価パラメータの作成可能性の整理を実施した.
研究方法
研究方法として,iDB・NDB・DPCDB三者連結データの第三者提供に向けた書類対応と安全管理運用フローの整備,COVID-19バリデーション解析に用いる治療薬マスタの作成,医療レセプトデータと検査値データを連結するCLEAR Studyによるロタウイルス感染症・ネフローゼ症候群のvalidation study準備,自治体レセプトと死亡票に基づく死亡アウトカムの妥当性評価,ワクチン接種後有害事象例のカルテレビュー,VENUSデータを用いた小児コホート研究,およびワクチン関連ファクトシートに引用された経済性評価論文のパラメータ抽出を行った.
結果と考察
主な結果として,iDB・NDB・DPCDB三者連結については,データ提供後の解析開始を見据えた保管・入退室管理・端末管理・記録媒体管理等の運用フローが整備され,COVID-19治療薬マスタとして561の固有YJコード,131種類の一般名,1,974件の医薬品マスタを構築した.CLEAR Studyでは,10医療機関体制を目標とし,9病院から研究協力を得て8病院のデータ収集を完了し,ロタウイルス感染症では3医療機関からデータを取得,ネフローゼ症候群では1医療機関からデータを取得した.死亡アウトカムのvalidation studyでは,13自治体1,894,123人,68,966,581人月を対象に,レセプトで定義した死亡のPPV,NPV,特異度は高く,死亡年月日のKappa scoresも0.95以上と高い一致性が確認された.また,肺炎球菌ワクチン接種後の有害事象可能例3例および追加25例のカルテレビューから,電子カルテ情報が因果関係評価を補完する意義が確認された.
小児ワクチン安全性評価では,4自治体のVENUSデータから生後2カ月および36カ月コホートを構築し,住民ベースのVENUSデータと過去レセプト発生を条件とするレセプト集団データを比較した.生後2カ月コホートではレセプト集団がVENUSデータの約3分の1にとどまり,若年小児ではLookback期間の制約が研究対象集団に大きく影響することが示された一方,36カ月コホートでは対象者数・背景特性の差は小さく,日本脳炎ワクチン接種後の熱性けいれん発生率比も両データで類似した.
経済性評価では,対象論文7件の検討から,医療費,発生率,入院率,接種率,直接費用などの主要パラメータの一部はNDB/VDBにより国内データから設定可能である一方,病原体の型別情報,重症度,免疫の持続・減衰,接種による間接効果等は外部データとの併用が必要であることが示された.
小児ワクチン安全性評価では,4自治体のVENUSデータから生後2カ月および36カ月コホートを構築し,住民ベースのVENUSデータと過去レセプト発生を条件とするレセプト集団データを比較した.生後2カ月コホートではレセプト集団がVENUSデータの約3分の1にとどまり,若年小児ではLookback期間の制約が研究対象集団に大きく影響することが示された一方,36カ月コホートでは対象者数・背景特性の差は小さく,日本脳炎ワクチン接種後の熱性けいれん発生率比も両データで類似した.
経済性評価では,対象論文7件の検討から,医療費,発生率,入院率,接種率,直接費用などの主要パラメータの一部はNDB/VDBにより国内データから設定可能である一方,病原体の型別情報,重症度,免疫の持続・減衰,接種による間接効果等は外部データとの併用が必要であることが示された.
結論
本研究により,NDB・VDB統合システムの本格利用に向けて,データ提供手続き,病名・アウトカム妥当性検証,安全性評価デザイン,経済性評価パラメータ作成という相互補完的な研究基盤が具体化した.今後は,データ提供後の迅速な解析実施,多施設・多疾患でのvalidation studyの拡充,電子カルテ等詳細情報との連携,および外部レジストリ・サーベイランスを組み合わせた評価設計が重要である.
公開日・更新日
公開日
2026-08-14
更新日
-