文献情報
文献番号
201024013A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 金子 清俊(東京医科大学 神経生理学講座)
- 作道 章一(琉球大学 医学部保健学科生体代謝学・ウイルス学)
- 坂口 末廣(徳島大学 分子生物学)
- 毛利 資郎(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 )
- 竹内 敦子(東北大学 大学院医学系研究科 病態神経学分野)
- 横山 隆(独立行政法人農業・食品産業技術研究機構 動物衛生研究所)
- 田中 元雅(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター・神経科学)
- 桑田 一夫(岐阜大学 構造生物学・プリオン研究部門)
- 松田 治男(広島大学 大学院生物圏科学研究科免疫生物学研究室)
- 新 竜一郎(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 微生物学、神経変性疾患)
- 堀内 基広(北海道大学 大学院獣医学研究科 応用獣医科学講座 獣医衛生学教室)
- 堂浦 克美(東北大学 大学院医学系研究科 神経化学分野)
- 佐々木 真理(岩手医科大学 先端医療研究センター)
- 黒岩 義之(横浜市立大学 医学部)
- 岩崎 靖(小山田記念温泉病院神経内科)
- 湯浅 龍彦(医療法人社団木下会鎌ヶ谷総合病院千葉神経難病医療センター)
- 山田 達夫(福岡大学 医学部神経内科学)
- 山田 正仁 (金沢大学 医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学 神経内科学)
- 三條 伸夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学)
- 細矢 光亮(福島県立医科大学 医学部 小児科学講座 )
- 市山 高志(山口大学 大学院医学系研究科 情報解析医学系専攻)
- 楠原 浩一(産業医科大学 小児感染症学・臨床ウイルス学・免疫遺伝学)
- 堀田 博(神戸大学 大学院医学研究科微生物学分野)
- 網 康至(国立感染症研究所 実験動物学)
- 柳 雄介(九州大学 大学院医学研究院ウイルス学分野)
- 澤 洋文(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 分子病態・診断部門)
- 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部第三室)
- 岸田 修二(都立駒込病院 脳神経内科)
- 岡 明(杏林大学 医学部小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
66,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
プリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)のわが国における疫学的実態を明らかにし、発症機序の解明、治療法・予防法の開発、感染予防対策、患者等のケアなどを推進する。
研究方法
プリオン病ではプリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班と協力し、各都道府県の行政担当者、難病担当専門医と協力して全国サーベイランスを行い疫学研究を推進し、SSPE、PMLでも全国調査を継続して推進する。発症機序等の研究は基礎医学者、獣医学者、臨床研究者が研究分担者・研究協力者として各々の研究を推進するとともに共同研究など緊密な連携により全体の向上を目指し、国際的にその成果を発信する。
結果と考察
プリオン病ではプリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班とともに全国的な共同研究を行った。1999年より本邦で行われているサーベイランス調査の対象となった全症例を疫学的に検討し、2010年8月までにプリオン棒と判定された1552名に関する調査から、高齢発症例や遺伝性プリオン病の臨床的、画像的、あるいは病理学的特徴も明らかににした。新たな診断手法であるQUIC法を用いたCJD患者脳脊髄液中の異常プリオン蛋白の検出率は感度83.3%、特異度100%と高感度であることが明らかとなった。基礎研究ではプリオン蛋白切断酵素の解明や分解経路などが次々と明らかにされた。プリオン蛋白凝集・増殖抑制効果のある薬剤の検索も進んでいる。SSPEに関しては、サーベイランス調査が開始され、2歳未満での麻疹感染がリスクであることの再確認、リバビリンによる治療効果の調査が続けられ、基礎研究ではSSPEウイルスによる細胞死誘導のメカニズムの解明や感染機序に関与する蛋白質の同定が行われ、siRNAによる治療法の研究も続けられている。PMLに関しては、JCウイルス検査の確立、抗マラリア薬メフロキンの有効性の検討が続けられ、基礎研究ではJCウイルス増殖関連因子の同定、感染細胞におけるDNA障害のメカニズムの解明やJCウイルス感染予防実験などが続けられている。
結論
対象三疾患いずれも疫学研究、診断法開発や試験治療を含む臨床研究、発症機序に係わる基礎研究などが大きく進展した。三疾患とも疫学調査体制を整備し、二次感染対策や患者等のケア対策も推進した。これらの成果は、国際会議や共同研究などを通じて発信され国際的にも高く評価されている。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
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