自己免疫疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201024005A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科内科学講座・第二内科)
  • 小野 栄夫(東北大学大学院医学系研究科)
  • 石井 智徳(東北大学病院血液免疫科)
  • 岡崎 仁昭(自治医科大学医学教育センター・内学講座アレルギー膠原病学部門)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 三村 俊英(埼玉医科大学病院リウマチ膠原病科)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学医学部リウマチ内科)
  • 三森 明夫(国立国際医療研究センター膠原病科)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター)
  • 高田 和生(東京医科歯科大学医歯学融合教育支援センター)
  • 天野 浩文(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 広瀬 幸子(順天堂大学大学院医学研究科分子病態病理学)
  • 山田 亮(京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センター)
  • 三宅 幸子(国立精神・神経医療研究センター)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学大学院疾患プロテオーム・分子病態治療学)
  • 西本 憲弘(和歌山県立医科大学医学部免疫制御学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis, PM/DM)、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome, SS)、成人スティル病(adult onset Still disease, AOSD)などの自己免疫疾患に対して、共同研究事業として、ゲノムの解析、特にSLEのDNAサンプル収集とゲノムワイド関連解析の実施、SLEの各種病態に対する適正治療方針の検討と手引きの作成、新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行い、個別研究として病態解明、先端的治療法の開発などの研究を推進することを目的とした。
研究方法
共同研究事業として、SLEのゲノムの解析の為のサンプル収集を集中的に行い、理化学研究所との共同でゲノムワイド関連解析を実施した。また臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けての検討を、さらに新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行った。個別研究としては、病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。
結果と考察
ゲノムワイド関連解析では、既報のSTAT4, TNFAIP3, HIP1, BLKなどの遺伝子が日本人SLEでも強く関連することが判明し、システムの確実性が確認された。さらに現在、新しい関連遺伝子の解析を進めている。個別研究では、病態、治療に関して多くの成果が出ていると考える。臨床試験については、公的機関や企業などのバックアップがないと推進することは難しいことは現実であるが、種々の困難を乗り越えて進展させつつある。臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けて検討し、「SLEの治療の手引き」を作成した。
結論
SLE、 PM/DM、SS、 AOSDなどの自己免疫疾患に対して、調査研究を行った。共同研究事業として、SLEのゲノムの解析の為のサンプル収集とゲノムワイド関連解析を行った。また臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けての検討を、さらに新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行った。個別研究としては、SLE,PM/DM,SSなどの病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201024005B
報告書区分
総合
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科内科学講座・第二内科)
  • 小野 栄夫(東北大学大学院医学系研究科)
  • 石井 智徳(東北大学病院血液免疫科)
  • 岡崎 仁昭(自治医科大学医学教育センター・内科学講座アレルギー膠原病学部門)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 三村 俊英(埼玉医科大学病院リウマチ膠原病科)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学医学部リウマチ内科)
  • 三森 明夫(国立国際医療研究センター膠原病科)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター)
  • 高田 和生(東京医科歯科大学医歯学融合教育支援センター)
  • 天野 浩文(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 広瀬 幸子(順天堂大学大学院医学研究科分子病態病理学)
  • 山田 亮(京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センター)
  • 三宅 幸子(国立精神・神経医療研究センター)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学大学院疾患プロテオーム・分子病態治療学)
  • 西本 憲弘(和歌山県立医科大学医学部免疫制御学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)、シェーグレン症候群(SS)、成人スティル病(AOSD)などの自己免疫疾患に対しての調査研究を目的とした。共同研究事業として、SLEのDNAサンプル収集を集中的に行い、これを用いたゲノムワイド関連解析の施行を目的とした。また臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けて検討し、「SLEの治療の手引き」作成を目指した。さらに新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行った。個別研究としては、病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。
研究方法
ゲノム解析の為のSLEのDNAサンプル収集は、本研究組織参加の臨床系の分担研究者全員が行った。ゲノムワイド関連解析は、理化学研究所との共同で実施し、イルミナ社のHuman Genotyping BeadChipを用いた。治療に関しては、PM/DM患者に対するタクロリムス使用例GCP準拠多施設治験、中?重度のflare SLE患者を対象としたCD20抗体リツキシマブの臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験などを行った。個別研究としては、病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。
結果と考察
ゲノムワイド関連解析では、既報のSTAT4, TNFAIP3, HIP1, BLKなどの遺伝子が日本人SLEでも強く関連することが判明し、システムの確実性が確認された。さらに現在、新しい関連遺伝子の解析を進めている。臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けて検討し、「SLEの治療の手引き」を作成した。個別研究としては、SLE,PM/DM,SSなどの病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。今後、これらの研究を継続することで、より学術的、国際的、社会的に意義のある成果を達成できると考える
結論
SLE、 PM/DM、SS、 AOSDなどの自己免疫疾患に対して、調査研究を行った。共同研究事業として、SLEのゲノムの解析の為のサンプル収集とゲノムワイド関連解析を行った。また臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けての検討を、さらに新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行った。個別研究としては、SLE,PM/DM,SSなどの病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)、シェーグレン症候群(SS)、成人スティル病(AOSD)などの自己免疫疾患に対して、調査研究を行った。共同研究事業として、SLEのDNAサンプル収集を集中的に行い、これを用いたゲノムワイド関連解析を実施した。さらに新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行った。個別研究としては、病態解明、先端的治療法の開発などを目的として、マウスモデルやヒトの検体を用いた研究を推進した。
臨床的観点からの成果
新規治療法の開発を目的として、活動性間質性肺炎(IP)を伴うPM/DM患者を対象とし、タクロリムスと糖質コルチコイドの併用投与に関する多施設共同オープン試験を遂行した。また、SLEに対するB細胞を標的とした抗CD20抗体(リツキシマブ)投与を行い、安全性と長期有効性が確認された。中枢神経病変には速やかな効果を示し、B-T細胞間相互作用の抑制が機序として考えられた。
ガイドライン等の開発
臨床的研究としてSLEの各種病態に対する治療の標準化に向けて検討し、「SLEの治療の手引き」を作成した。また、複数検出される抗リン脂質抗体の「抗リン脂質抗体スコア」が診断に有用であることを示し、さらにこれが血栓症発症のリスクを示すマーカーとなることを示した。
その他行政的観点からの成果
ゲノム解析のためのSLEサンプル収集は一定の成果を挙げつつあるが、世界的には千人を越える規模のサンプルを用いたゲノムワイド関連解析が次々に発表されつつある。これらを目標にさらに研究の推進が必要であることが分かった。個別研究では、病態、治療に関して多くの成果が出ている。臨床試験については、企業や公的な組織などのバックアップがないとスムーズな推進することは難しいことが判明した。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
20件
原著論文(英文等)
203件
その他論文(和文)
204件
その他論文(英文等)
95件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kochi Y, Okada Y, Suzuki A,et al.
A regulatory variant in CCR6 is associated with rheumatoid arthritis susceptibility.
Nat Genet. , 42 , 515-519  (2010)
原著論文2
Fujio K, Okamura T, Yamamoto K.
The family of IL-10 secreting CD4+ T cells.
Advances in Immunology. , 105 , 99-130  (2010)
原著論文3
Hirabayashi Y, Oka Y, Ikeda T, et al.
The endoplasmic reticulum stress-inducible protein, Herp, is a potential triggering antigen for anti-DNA response.
J Immunol. , 184 , 3276-3283  (2010)
原著論文4
Matsuyama, Y., Okazaki, H., Tamemoto, H., et al.
Increased levels of interleukin 33 in sera and synovial fluid from patients with active rheumatoid arthritis.
J Rheumatol , 37 , 18-25  (2010)
原著論文5
Takahashi Y, Haga S, Ishizaka Y, Mimori A.
Autoantibodies to angiotensin converting enzyme 2 in patients with connective tissue diseases.
Arthritis Res Ther. , 12 , 85-  (2010)
原著論文6
Kaneko Y, Suwa A, Hirakata M, et al.
Clinical associations with autoantibody reactivities to individual components of U1 small nuclear ribonucleoprotein.
Lupus , 19 , 307-312  (2010)
原著論文7
Okamura T, Fujio K, Shibuya M, et al.
CD4+CD25-LAG3+ regulatory T cells controlled by the transcription factor Egr-2.
Proc Natl Acad Sci USA. , 106 , 13974-13979  (2009)
原著論文8
Nakagawa H, Yasuda S, Matsuura E, et al.
Nicked beta2-glycoprotein I binds angiostatin4.5 (plasminogen kringle 1-5) and attenuates its anti-angiogenic property.
Blood , 114 , 2553-2559  (2009)
原著論文9
Iwanami, K., Matsumoto, I., Tanaka, Y., et al. Nishimura, Y., and Sumida, T.
Altered peptide ligands inhibit glucose-6-phosphate isomerase (GPI) peptide-induced arthritis.
Arthritis Res. Ther. , 11 , 167-  (2009)
原著論文10
Y Kochi, K Myouzen, R Yamada, et al.
FCRL3, an autoimmune susceptibility gene, has inhibitory potential on B-cell receptor-mediated signaling.
J Immunol. , 183 , 5502-5510  (2009)
原著論文11
H Nakanishi, R Yamada, N Gotoh, et al.
A genome-wide association analysis identified a novel susceptible locus for pathological myopia at 11q24.1
PLoS Genet , 5 , 9-  (2009)
原著論文12
Iizuka N, Okamoto K, Matsushita R, et al.
Identification of autoantigens specific for systemic lupus erythematosus with central nerve system involvement.
Lupus. , 19 , 717-726  (2009)
原著論文13
Ishikawa S, Mima T, Aoki C, et al.
Abnormal expression of the genes involved in cytokine networks and mitochondrial function in systemic juvenile idiopathic arthritis identified by DNA microarray analysis.
Ann Rheum Dis. , 68 , 264-272  (2009)
原著論文14
Suzuki A,Yamada R, Kochi Y, Sawada T, et al.
Functional SNPs in CD244 gene increase the risk of rheumatoid arthritis in a Japanese population.
Nat Genet. , 40 , 1224-1229  (2008)
原著論文15
Okamoto A, Fujio K, van Rooijen N, et al.
Splenic phagocytes promote responses to nucleosomes in (NZB x NZW) F1 mice.
J Immunol. , 181 , 5264-5271  (2008)
原著論文16
Nakano S, Morimoto S, Suzuki J, et al.
Role of pathogenic auto-antibody production by Toll-like receptor 9 of B cells in active systemic lupus erythematosus.
Rheumatology. , 47 , 145-149  (2008)
原著論文17
Tsukamoto H, Ohtsuji M, Shiroiwa W, et al.
Aberrant genetic control of invariant TCR-bearing NKT cell function in New Zealand mouse strains: possible involvement in SLE pathogenesis.
J. Immunol. , 180 , 4530-4539  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
2016-06-20

収支報告書

文献番号
201024005Z