文献情報
文献番号
201024004A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
- 有村 義宏(杏林大学第一内科)
- 山村 昌弘(愛知医科大学腎臓リウマチ膠原病内科)
- 針谷 正祥(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学)
- 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学・リウマチ膠原病内科学)
- 和田 隆志(金沢大学大学院医学系研究科 血液情報統御学)
- 天野 宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
- 高崎 芳成(順天堂大学医学部膠原病内科)
- 山田 秀裕(聖マリアンナ医科大学、リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
- 本間 栄(東邦大学医学部医学科内科学講座)
- 土橋 浩章(香川大学医学部内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科)
- 伊藤 聡(新潟県立リウマチセンター)
- 重松 宏(東京医科大学外科学第二講座)
- 磯部 光章(東京医科歯科大学大学院循環制御内科学)
- 井上 芳徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血管・応用外科学)
- 小室 一成(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
- 太田 敬(愛知医科大学外科学講座血管外科)
- 古森 公浩(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻病態外科学講座)
- 種本 和雄(川崎医科大学・胸部心臓血管外科)
- 能勢 眞人(愛媛大学大学院医学系研究科ゲノム病理学分野)
- 石津 明洋(北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野・病理学)
- 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学生化学教室)
- 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
- 勝岡 憲生(北里大学医学部医学科・皮膚科)
- 土屋 尚之(筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻)
- 長谷川 均(愛媛大学大学院生体統御内科学)
- 鈴木 和男(千葉大学 大学院医学研究院・免疫分子生物学・炎症)
- 小林 茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院内科・内科学)
- 藤元 昭一(宮崎大学医学部内科学講座循環体液制御学分野・腎臓内科学)
- 平橋 淳一(東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科・腎臓内科学)
- 佐田 憲映(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
血管炎の病因・病態の究明は依然として進展しておらず,しばしば重要臓器の障害をもたらすが有効な治療法は確立されていない.欧米の臨床研究と比較すると,EBMに準拠した治療指針の作成や新規治療法の開発で立ち遅れており,血管炎が稀少疾患であることを考慮すると,全国規模で専門医の総力を結集して研究を遂行することが不可欠である.
研究方法
中小型血管炎分科会では,前向きコホート研究(RemIT-JAV)を継続した.大型血管炎分科会では,Buerger病と高安動脈炎,炎症性腹部大動脈瘤を主な対象疾患として研究を続けた.基礎・病理では,動物モデルを用いた検討や患者検体を用いた遺伝子発現解析を行った.国際研究協力分科会では国際的な研究に参加した.
結果と考察
昨年度より開始した前向きコホート研究(RemIT-JAV)の患者登録を終了した.また,再燃に関する危険因子の探索的な研究の解析も終了している.臨床個人調査票の解析やアレルギー性肉芽腫性血管炎に関する疫学研究が終了し論文作成中である.また来年度以降の血管炎に関する臨床研究の可能性についても検討を行った.これまでの研究成果を基にガイドラインを発行した.大型血管炎については, Buerger病の成因に歯周病菌の関与が示唆され,虚血性潰瘍を有する重症虚血肢例に対する治療において,適切な血行再建や血管新生療法が有用であることが明らかとなった.高安動脈炎のFDG-PET/CT診断におけるmaxSUVの有用性についても明らかとなった.炎症性腹部大動脈瘤に対する血管内治療では,術後合併症の軽減や手術死亡率の低下が見られ,有用な治療法として期待されることが明らかとなった.血管炎発症モデルの解析や新規マーカーとなる可能性のある抗体の同定,ヒト制御性T細胞の機能解析,などの成果を得た.また,血管炎治療前後での末梢血遺伝子発現プロフィールの解析,ANCAの対応抗原の翻訳後修飾についての解析,MPAの発症と関連する新たな遺伝子多型の同定などを行った.さらに,皮膚血管炎に特化したアトラスを編纂し発刊した.また,国際研究協力分科会を中心にEULAR/ACRの概念・分類・診断の新基準の検証研究にわが国として参加するための組織体制の構築を行った.
結論
成果が集まりつつあるが,今後も引き続き学際的体制で病因・病態の研究から臨床研究まで有機的な連携を持った研究を継続していく必要がある.
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
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