文献情報
文献番号
201023046A
報告書区分
総括
研究課題名
新規生体膜生合成酵素と生理活性脂質(PAF)生合成酵素の機能解析
課題番号
H20-免疫・若手-028
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
進藤 英雄(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生体膜の主成分であるリン脂質は組織や細胞によって多種多様であり、血小板活性化因子(PAF)のような炎症性物質も含まれる。PAFは炎症や免疫を惹起する強力なメディエーターである。この生体膜の多様性は、脂肪酸を再結合させるリゾリン脂質アシル転移酵素によるリン脂質の代謝回転によって作られ、50年前にランズ回路と名付けられている。私達は新規酵素を6種類同定している。中には血小板活性化因子(PAF)生合成酵素を2種類含み、リゾホスファチジルコリンアシル転移酵素(LPCAT)1とLPCAT2と名付けた。LPCAT2はマクロファージにおいてリポポリサッカライド(LPS)刺激で活性化や遺伝子誘導されることもわかった。これらの酵素群の機能解析を行うことによって、マクロファージなどの炎症細胞での生体膜形成メカニズムやPAF産生メカニズムを解明する。
研究方法
RAW264.7細胞にLPCAT1とLPCAT2を過剰発現させてリポポリサッカライド(LPS)で30分間刺激した。これらの試料をphos-tag SDS-PAGEで解析した。phos-tagはリン酸化タンパク質と結合しSDS-PAGE上バンドをシフトさせるものである。
シフトしたバンドを切り出し回収し、質量分析計で解析し、リン酸化部位を34番目のSerと特定した。
LPCAT2をリン酸化する分子を調べるためLPSシグナル下流分子であるTAK1、p38 MAPK、MK2の阻害剤の効果を調べた。MK2 siRNAも用いて同様に調べた
シフトしたバンドを切り出し回収し、質量分析計で解析し、リン酸化部位を34番目のSerと特定した。
LPCAT2をリン酸化する分子を調べるためLPSシグナル下流分子であるTAK1、p38 MAPK、MK2の阻害剤の効果を調べた。MK2 siRNAも用いて同様に調べた
結果と考察
LPCAT2は活性化されリン酸化された。LC-MS解析と変異体解析から34番目のSerがリン酸化部位であると推定された。ほ乳動物によく保存されている。
MK2の阻害剤でLPCAT2リン酸化が阻害された。MK2 siRNAも同様の効果を示し、LPCAT2リン酸化が抑制された。MK2がLPCAT2をリン酸化している可能性が高い。今後は阻害剤などの開発が重要になる。
MK2の阻害剤でLPCAT2リン酸化が阻害された。MK2 siRNAも同様の効果を示し、LPCAT2リン酸化が抑制された。MK2がLPCAT2をリン酸化している可能性が高い。今後は阻害剤などの開発が重要になる。
結論
今回新たにLPCAT2のリン酸化部位が明らかになった。活性化型LPCAT2の解明によりLPCAT2活性化メカニズムが解析された。今後、2種類のPAF生合成酵素(恒常型LPCAT1と誘導型LPCAT2)の比較が望まれる。PAFの生合成メカニズムの解明は炎症やアレルギーの新しい治療方法の開発につなげられるであろう。
公開日・更新日
公開日
2011-09-30
更新日
-