純化自己幹細胞移植術による難治性自己免疫疾患治療時の免疫再生メカニズムに関する研究

文献情報

文献番号
201023039A
報告書区分
総括
研究課題名
純化自己幹細胞移植術による難治性自己免疫疾患治療時の免疫再生メカニズムに関する研究
課題番号
H22-免疫・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
赤司 浩一(九州大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 堀内 孝彦(九州大学 大学院医学研究院)
  • 宮本 敏浩(九州大学大学病院)
  • 新納 宏昭(九州大学大学病院)
  • 塚本 浩(九州大学大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己免疫疾患の中には進行性の間質性肺炎や皮膚硬化を呈し、治療抵抗性で予後不良の疾患群が依然として存在する。これらの病態への新規治療法として、難治性自己免疫疾患23例に対し自己造血幹細胞移植(自己HSCT)を施行した。本年度の研究では、1) 移植症例について長期間にわたる安全性と有効性を評価する、2) 移植症例における再構築リンパ球分画の経時的変化の解析等により、本治療法の有効性のメカニズムを明らかにする事を目的とする。
研究方法
自己HSCTの対象は全身性硬化症(SSc)19例、皮膚筋炎3例、ウェゲナー肉芽腫症1例の計23例であった。末梢血幹細胞の動員はCY4g/m2に引き続きG-CSFを投与し、アフェレーシスによって末梢血幹細胞採取した。移植前治療としてCY200mg/kgを投与し、移植当日に2x106/kg以上のCD34陽性細胞を輸注した。免疫学的再構築の解析では治療開始前、移植直前、移植1, 3, 6, 12, 18, 24, 36ヶ月後にリンパ球亜分画、血中サイトカイン濃度、Th1/Th2バランス等を測定した。
結果と考察
治療関連死は認めず、自己HSCT後、皮膚硬化、間質性肺炎、皮膚潰瘍の改善や自己抗体の低下等多くの症例で劇的な臨床的寛解が得られ、その効果は少なくとも3年間持続した。有効性のメカニズムを明らかにするためCD34純化自己HSCT を施行したSSc11例について自己HSCT後の免疫学的再構築を検討したところ、CD8+T細胞は自己HSCT1ヶ月後より回復したが、CD4+T細胞の回復は自己HSCT36ヶ月後まで抑制されていた。予想に反し、CD4+T細胞のうちナイーブT細胞の回復は、メモリーT細胞の回復に比較し著しく遅延した。一方、自己HSCT後36ヶ月間Th1/Th2バランスはTh1優位が持続し、長期間にわたる有効性との関連が示唆された。難治性自己免疫疾患患者に対する自己HSCTは安全かつ有効な治療法であると考えられたため、難治性SSc及び皮膚筋炎を対象とした臨床第II相試験のプロトコールを作成し、学内倫理委員会の承認を得た。
結論
難治性自己免疫疾患患者に対する自己HSCTは安全かつ有効な治療法である事が示された。SScに対する自己HSCT後36ヶ月間Th1/Th2バランスはTh1優位が持続し、長期間にわたる有効性との関連が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023039Z