文献情報
文献番号
202515008A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の自立支援・重度化防止に資する栄養ケア・マネジメントの推進に向けた低栄養状態の把握手法のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GA1004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
高田 健人(一般社団法人 日本健康・栄養システム学会 研究検討委員会)
研究分担者(所属機関)
- 田中 和美(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
- 三浦 公嗣(一般社団法人日本健康・栄養システム学会)
- 清野 富久江(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部 )
- 遠又 靖丈(神奈川県立保健福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
4,617,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
介護サービスにおける栄養ケア・マネジメント(NCM)は、2005年の介護保険制度への導入以降、介護保険施設における基本的サービスとして定着してきた。一方で、現行の栄養スクリーニング項目や評価手順は介護保険制度への導入以来大きく見直されておらず、評価項目や評価方法の信頼性、GLIM基準との対応等について再確認が求められている。そこで本研究では、介護保険施設における低栄養状態の把握手法の見直しに資する基礎資料を得ることを目的に下記①~④の調査を設計した。
研究方法
①介護保険施設実態調査
全国の80床以上の介護老人福祉施設(以下、特養)1,594か所、介護老人保健施設(以下、老健)1,157か所を対象に、WEB調査による横断調査を実施した。。調査項目は、要介護度4・5の入所者に対するNCMの効果および重要要素、栄養スクリーニング・アセスメントの実施状況、GLIM 基準による低栄養診断の実施状況、導入上の課題、施設基本情報、意見・要望等とした。施設種別に基礎集計を行い、自由記述については主な論点を補足的に整理した。
②栄養評価指標と予後との関連:介護DBによるコホート研究
匿名介護保険等関連情報データベース(介護 DB)に基づくコホート研究として、匿名介護レセプト等情報および匿名 LIFE情報を用いた。対象期間は2021年5月から2022 年 12 月とし、一定の選択基準に基づき要介護2〜4の19,779人を解析対象者とした。GLIM基準を参照し、意図しない体重
減少、低BMI、低筋肉量(予測式)、食事摂取量不足、慢性疾患による疾病負荷を用いて低栄養群を定義した。アウトカムは、入院または死亡による退所、および要介護度悪化とし、カプランマイヤー法およびCox比例ハザードモデルにより関連を検討した。
③入所者個別調査(後ろ向き追跡調査)
介護保険施設の新規入所者(特養:2024年1月1日から2025年3月末まで、老健:2024 年7月1日から2025年3月末まで)を対象とする後ろ向き追跡研究として設計した。入所時点の既存帳票から、低栄養状態のリスクレベル、栄養スクリーニング・アセスメントの各項目、基本情報を転記した。また、追跡期間中(最長1年間)の体重、施設内死亡、入院、退所の発生日を把握することとした。主解析では、入所時点の低栄養状態リスクレベル及び各項目の判定区分を曝露、複合アウトカムの発生をアウトカムとしたLog-rank 検定及び Cox 比例ハザード分析を行うこととした。
④文献調査
65 歳以上の長期療養施設入所高齢者を対象とした低栄養状態の把握手法について、PubMed を用いた文献調査を実施した。RQ1 として、「65 歳以上の長期療養施設入所高齢者を対象とした栄養不良または低栄養状態のスクリーニング・アセスメントにおいて、どのような指標・ツールが活用されているか」を設定した。また、RQ2として、「長期療養施設入所高齢者を対象として用いられている低栄養スクリーニングツールの妥当性、信頼性、予測能力はどのように評価されているか」を設定した。
全国の80床以上の介護老人福祉施設(以下、特養)1,594か所、介護老人保健施設(以下、老健)1,157か所を対象に、WEB調査による横断調査を実施した。。調査項目は、要介護度4・5の入所者に対するNCMの効果および重要要素、栄養スクリーニング・アセスメントの実施状況、GLIM 基準による低栄養診断の実施状況、導入上の課題、施設基本情報、意見・要望等とした。施設種別に基礎集計を行い、自由記述については主な論点を補足的に整理した。
②栄養評価指標と予後との関連:介護DBによるコホート研究
匿名介護保険等関連情報データベース(介護 DB)に基づくコホート研究として、匿名介護レセプト等情報および匿名 LIFE情報を用いた。対象期間は2021年5月から2022 年 12 月とし、一定の選択基準に基づき要介護2〜4の19,779人を解析対象者とした。GLIM基準を参照し、意図しない体重
減少、低BMI、低筋肉量(予測式)、食事摂取量不足、慢性疾患による疾病負荷を用いて低栄養群を定義した。アウトカムは、入院または死亡による退所、および要介護度悪化とし、カプランマイヤー法およびCox比例ハザードモデルにより関連を検討した。
③入所者個別調査(後ろ向き追跡調査)
介護保険施設の新規入所者(特養:2024年1月1日から2025年3月末まで、老健:2024 年7月1日から2025年3月末まで)を対象とする後ろ向き追跡研究として設計した。入所時点の既存帳票から、低栄養状態のリスクレベル、栄養スクリーニング・アセスメントの各項目、基本情報を転記した。また、追跡期間中(最長1年間)の体重、施設内死亡、入院、退所の発生日を把握することとした。主解析では、入所時点の低栄養状態リスクレベル及び各項目の判定区分を曝露、複合アウトカムの発生をアウトカムとしたLog-rank 検定及び Cox 比例ハザード分析を行うこととした。
④文献調査
65 歳以上の長期療養施設入所高齢者を対象とした低栄養状態の把握手法について、PubMed を用いた文献調査を実施した。RQ1 として、「65 歳以上の長期療養施設入所高齢者を対象とした栄養不良または低栄養状態のスクリーニング・アセスメントにおいて、どのような指標・ツールが活用されているか」を設定した。また、RQ2として、「長期療養施設入所高齢者を対象として用いられている低栄養スクリーニングツールの妥当性、信頼性、予測能力はどのように評価されているか」を設定した。
結果と考察
【結果】①特養369施設、老健281施設から回答を得た。NCMでは、誤嚥性肺炎や褥瘡の予防、体重・食事摂取量・経口摂取の維持に加え、「食べる楽しみ」や本人の希望・価値観の尊重が重視されていた。栄養スクリーニング・アセスメント項目は多くの施設で適切に把握されていたが、入所前の体重や食事摂取量、血液検査値などは他事業所情報に依存する部分があり、情報の信頼性や標準化に課題がみられた。また、筋肉量評価には測定困難、人員不足、設備不足、導入意義の不明確さが課題として示された。
②予測式による筋肉量評価を用いたGLIM基準を参照した低栄養群では、入院・死亡による退所および要介護度悪化のリスクが有意に高かった。
③特養16施設、老健3施設から調査協力の承諾を得てデータ収集を進めた。
④RQ1で279件、RQ2で294件の文献一覧を作成し、一次スクリーニングを進めた。
【考察】介護保険施設における低栄養状態の把握手法を検討するうえでは、施設の機能、入所者像、医療資源、職員配置、看取り対応、生活支援としてのNCMの目的を踏まえた実装可能性の検討が不可欠である。また、栄養スクリーニングと栄養アセスメントで求められる評価項目、評価手順について整理し、適切な介入方針へつなげる仕組みを明確化する必要があると考えられた。
②予測式による筋肉量評価を用いたGLIM基準を参照した低栄養群では、入院・死亡による退所および要介護度悪化のリスクが有意に高かった。
③特養16施設、老健3施設から調査協力の承諾を得てデータ収集を進めた。
④RQ1で279件、RQ2で294件の文献一覧を作成し、一次スクリーニングを進めた。
【考察】介護保険施設における低栄養状態の把握手法を検討するうえでは、施設の機能、入所者像、医療資源、職員配置、看取り対応、生活支援としてのNCMの目的を踏まえた実装可能性の検討が不可欠である。また、栄養スクリーニングと栄養アセスメントで求められる評価項目、評価手順について整理し、適切な介入方針へつなげる仕組みを明確化する必要があると考えられた。
結論
本研究成果から、介護サービスにおける栄養スクリーニング・栄養アセスメントの評価項目や評価方法の見直しに資する基礎資料を得ることができた。本研究成果を踏まえ、令和8年度中に中間的な知見を整理し、令和9年度介護報酬改定を見据えた検討の方向性を示す必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2026-06-08
更新日
-