僻地、中山間地域、小規模自治体を中心とした医療・介護連携に係る指標の検討に資する研究

文献情報

文献番号
202515007A
報告書区分
総括
研究課題名
僻地、中山間地域、小規模自治体を中心とした医療・介護連携に係る指標の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 次橋 幸男(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 中西 康裕(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 金 雪瑩(キン セツエイ)(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 柴山 志穂美(神奈川県立保健福祉大学 実践教育センター、  保健福祉学部)
  • 松本 佳子(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
  • 山本 貴文(北海道大学病院 予防歯科)
  • 森井 康博(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 赤羽 たけみ(阪本 たけみ)(奈良県立医科大学 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本では2040年に向けて高齢者人口の増加、生産年齢人口の減少、独居高齢者の増加など社会構造が大きく変化している。特に、僻地・中山間地域や小規模自治体では、在宅医療・介護連携推進事業における目標設定や現状把握、評価指標の整備が十分ではないことが課題となっている。本研究は、これら地域における医療・介護資源や連携体制の実態を評価し、在宅医療・介護連携推進事業における効果的な施策および自治体事業の評価指標の検討に資する基礎資料を提示することを目的とした。
研究方法
本研究では、在宅医療および在宅医療・介護連携推進事業に関する指針や先行研究を基に、ロジックモデル検討チームを構成し数回にわたる検討を重ね、ロジックモデルと評価指標の開発を行った。歯科口腔領域についても行政資料を用いたナラティブレビューを実施した。さらに、奈良県から提供を受けた医療・介護連結レセプトデータ(国保データベース:KDB)を用いて、中間アウトカム指標の抽出や経年変化、二次医療圏別分析を行い、在宅医療提供体制や連携機能の地域差を検討した。これらと並行して、2015~2025年の文献を対象としたシステマティックレビューにより、僻地・中山間地域における医療・介護連携評価手法を整理した。さらに、災害時や感染症拡大時についても指標案の検討を行うために、奈良県在住の40~79歳を対象としたウェブアンケートを実施し、医療・介護連携を含めて災害時や感染症拡大時に行政に期待する事項などの地域住民の意向を把握した。
結果と考察
研究の結果、在宅医療・介護連携の基本ロジックモデルとして、1つの最終アウトカム、5つの中間アウトカム、41の初期アウトカムから構成される体系を構築し、105の指標を設定した。歯科口腔領域では、歯科衛生士に依存する指標等について、僻地・中山間地域では人的資源不足により評価が困難となる可能性が示され、地域特性に応じたロジックモデルの必要性が明らかとなった。奈良県KDB分析では、在宅医療の4場面である「退院支援(入退院支援)」「日常の療養支援」「急変時対応」「看取り」に関する指標の多くが抽出可能であり、退院支援や夜間・休日往診の増加など、在宅医療提供体制や連携機能の経年的変化を把握できることが確認された。また、二次医療圏別分析から、機能ごとに地域差が存在することが示された。システマティックレビューでは、到達可能性、遠隔医療支援、多職種連携、インフォーマルケア測定の重要性が抽出され、効率性だけでなく持続可能性を重視した評価枠組みへの転換の必要性が示唆された。ウェブアンケートによる住民意向調査では、サービスの充実に加え、交通利便性や地域とのつながりが安心して暮らせる地域の条件として重視されていることが明らかとなった。相談体制や連携への不安、災害・感染症時の医療提供体制への期待も確認された。今後は認知症についての検討も行う必要があると考えられる。
結論
本研究により、僻地・中山間地域および小規模自治体における在宅医療・介護連携推進事業のためのロジックモデルと評価指標の基盤が構築された。また、KDB(医療・介護連結レセプトデータ)を用いた指標抽出により、地域ごとの在宅医療提供体制や連携機能を継続的に把握できる可能性が示された。さらに、地域資源の偏在や住民ニーズを踏まえ、地域特性に応じた持続可能な評価モデルの必要性が明らかとなった。今後は、指標データの収集方法や定義の精緻化を進めるとともに、モデル地域における実証研究を通じて、地域特性に即した評価指標および施策の有効性を検証していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202515007Z