LIFEで収集された情報を用いた介護保険事業(支援)計画の進捗管理に資する研究

文献情報

文献番号
202515001A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFEで収集された情報を用いた介護保険事業(支援)計画の進捗管理に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
  • 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 堤本 広大(国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
  • 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
  • 大浦 智子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 科学的介護推進チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,693,000円
研究者交替、所属機関変更
斎藤民(研究期間:令和7年4月1日~令和7年6月30日)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、介護保険者が活用しやすい形式で、LIFE情報を用いた現状分析および課題抽出を可能とするシステムの構築に資する指標や図表等の提案を目的とした(研究1)。
また、通所リハビリテーションおよび通所介護サービス利用者を対象として、LIFE情報を用いた要介護度の悪化を予測するモデルを構築し、予後予測に関連する可能性のある変数について探索的に検討することを目的とした(研究2)。
研究方法
研究1)厚生労働省から提供された介護保険総合データベースの定型データセットを用いて、全国の介護老人保健施設2,059施設に入所した58,390名を対象とした解析を実施した。心身機能・活動に関するアウトカムの変化について、都道府県ごとの改善割合、維持割合、悪化割合を算出し、ヒートマップ等により可視化した。さらに、Barthel Index(以下、BI)の改善割合について、年齢、性別、要介護度、ベースラインのBIを調整した上で都道府県差を検討するとともに、調整後BI改善割合と都道府県内のBI改善割合の施設間格差により都道府県を分類した。
研究2)2023年度に厚生労働省から定型データセットとして提供を受けたLIFE情報、要介護認定情報、介護レセプト情報、および台帳情報をデータ源とした。対象は、2021年4月から10月の間に通所サービス(通所リハビリテーション、通所介護のいずれか)の利用を開始した高齢者である。アウトカムは、要介護度悪化(介護度1以上の悪化)または死亡までの時間(日)とし、予測子の候補となる変数は科学的介護推進体制加算に関連する科学的介護推進情報から選定した。モデル構築にあたっては、予測子候補変数およびアウトカムの要約統計量および欠測頻度を確認した上で、Least Absolute Shrinkage and Selection Operatorを用いたCox比例ハザードモデルにより予測子となる変数の選定を実施した。その後、ステップワイズ法を用いた多変量Cox比例ハザードモデルにより、予測モデルを構築した。予測モデルは、通所リハビリテーション利用者を対象としたものと、通所介護利用者を対象としたものの2種類をそれぞれ作成した。なお、結果は厚生労働省より提供を受けた「介護保険総合データベース」の定型データセットを使用し、独自に作成・加工したものである。
結果と考察
研究1)地域間で入所者情報に一定の差異がみられた。アウトカムの改善・維持・悪化割合には都道府県間でばらつきがみられ、特に、BI改善割合は14.7%~34.7%の範囲であり、標準偏差0.041と最も大きなばらつきを示した。背景因子調整後も、東京都、大阪府、神奈川県では全国平均を有意に上回るBI改善割合が認められた。調整後BI改善割合と施設間格差を組み合わせることで、都道府県を、改善割合が高く施設間格差が小さい群、改善割合が高く施設間格差が大きい群、改善割合が低く施設間格差が大きい群、改善割合が低く施設間格差が小さい群の4類型に整理することができた。
研究2)要介護度悪化または死亡の予測に大きく寄与した変数として、通所リハビリテーション利用者を対象としたモデルではベースラインの要介護度およびBI合計値、性別、認知症行動障害(DBD13-項目1)、Body Mass Indexが、通所介護利用者を対象としたモデルではベースラインの要介護度およびBI合計値、認知症行動障害(DBD13-項目7)、リハビリ・活動への意欲(Vitality Index-項目5)が示された。モデルの精度として、C-indexはそれぞれ0.74および0.70であった。
結論
研究1)LIFE情報を活用することで、介護保険者が介護老人保健施設の現状と課題を把握するための指標および図表の一例を示すことができた。特にBI改善割合は都道府県間差を把握する上で有用な指標であり、これに施設間格差を組み合わせた4類型化は、都道府県ごとの課題整理と対応方針の検討に資する可能性がある。今後は、これらの指標や可視化手法を、保険者が利用しやすい形でシステムに実装し、地域の現状把握、課題抽出、優先課題の整理に活用していくことが必要である。
研究2)モデルにより選定された変数は臨床的にも意義のある変数であり、精度は中程度であった。これは、現場で収集される科学的介護推進情報が有用である可能性を示唆するものであり、今後の介護報酬改定に伴うLIFE情報の項目の見直しを検討する上で重要な知見を提供すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

文献情報

文献番号
202515001B
報告書区分
総合
研究課題名
LIFEで収集された情報を用いた介護保険事業(支援)計画の進捗管理に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 秀典(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長室)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
  • 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
  • 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
  • 堤本 広大(国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
  • 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
  • 大浦 智子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター 科学的介護推進チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
斎藤民(研究期間:~令和7年6月30日)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、科学的介護情報システム(LIFE)で収集された情報を用いて、介護保険事業支援計画の進捗管理に有効な指標の選定やその有用性等について検討を行うこととした。
研究方法
本研究では、介護施設入所者におけるQOLおよびwell-beingの変化に関する縦断的研究、ならびに地域在住高齢者における慢性疼痛とADL低下との関連を検討した研究についてシステマティックレビューを実施した。
次に、科学的介護推進体制加算を算定している介護老人保健施設を対象に、介護ニーズと6か月間の変化を把握し、デモデータを用いて「見える化」を試作した。さらに、厚生労働省から提供された介護保険総合データベースの定型データセットを用い、全国の介護老人保健施設2,059施設に入所した58,390名を対象として、心身機能・活動に関するアウトカムの都道府県別改善割合、維持割合、悪化割合を算出し、ヒートマップ等により可視化した。BI改善割合については、年齢、性別、要介護度、BIを調整した上で都道府県差を検討し、調整後BI改善割合と施設間格差により都道府県を分類した。
要介護度悪化の予測では、LIFE情報、要介護認定情報、介護レセプト情報、台帳情報をデータ源とし、介護老人保健施設新規入所者35,701名および通所サービス利用開始者を対象に、要介護度悪化(通所サービスでは死亡を含む)をアウトカムとして、LASSOを用いたCoxモデル等により予測変数を選定し、予測モデルを構築した。
結果と考察
QOLおよびwell-beingの維持向上に影響を与える要因として、ケアの環境、食事、社会的サポートなどが挙げられ、悪化に影響を与える要因として、IADLの低下、尿失禁の悪化、睡眠の質低下などが挙げられた。慢性疼痛は、測定方法によらず、その後のADL低下と関連していた。
LIFE情報を用いた可視化では、地域間で入所者情報に一定の差異がみられ、アウトカムの改善・維持・悪化割合にも都道府県間でばらつきがみられた。とくにBI改善割合は14.7%~34.7%、標準偏差0.041と最も大きなばらつきを示し、背景調整後も東京都、大阪府、神奈川県では全国平均を有意に上回った。また、調整後BI改善割合と施設間格差を組み合わせることで、都道府県を4類型に整理することができた。
要介護度悪化の予測モデルでは、介護老人保健施設新規入所者を対象としたモデルで、ベースラインの要介護度、障害高齢者の日常生活自立度、BI、BMI、過去の介護サービス利用が大きく寄与し、C-indexは0.84であった。通所リハビリテーションおよび通所介護利用者を対象としたモデルでは、ベースラインの要介護度、BI、認知症行動障害、BMI、活動への意欲等が寄与し、C-indexはそれぞれ0.74、0.70であった。選定された変数は臨床的にも意義のある変数であり、現場で収集される科学的介護推進情報が有用である可能性が示唆された。
結論
QOL/WBの変化に関するレビューの結果から、ケアの個人の心理社会的、健康関連の要因だけでなく、施設の特徴も影響することが明らかとなった。
LIFE情報を用い、介護ニーズとその経時的変化を可視化することで、介護保険者の現状把握、課題抽出、優先課題の整理に資する可能性が示された。とくにBI改善割合は都道府県間差を把握する上で有用な指標であり、施設間格差と組み合わせた4類型化は、都道府県ごとの課題整理と対応方針の検討に資する可能性がある。
また、要介護度悪化の予測モデルの精度は全体として良好または中程度であり、BMIなどの修正可能な要因も要介護度悪化と関連している可能性が示唆された。今後は、これらの指標や可視化手法を保険者が利用しやすい形で実装するとともに、LIFE情報の項目見直しや欠測の多い変数の収集方法について検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202515001C

収支報告書

文献番号
202515001Z