アレルギー疾患医療の質および経年推移の可視化と、アレルギー疾患対策基本法に基づく政策的介入効果の評価法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
202512003A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患医療の質および経年推移の可視化と、アレルギー疾患対策基本法に基づく政策的介入効果の評価法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FE1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 みづほ(独立行政法人国立病院機構三重病院 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 足立 剛也(京都府立医科大学 大学院医療レギュラトリーサイエンス学教室)
  • 桑原 優(独立行政法人国立病院機構三重病院 小児科)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
  • 森田 英明(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部)
  • 野田 龍也(学校法人関西医科大学 医学部 メディカルデータサイエンス講座)
  • 二村 昌樹(国立病院機構 名古屋医療センター 小児科)
  • 佐藤 さくら(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 神尾 敬子(東京女子医科大学 呼吸器内科)
  • 坂下 雅文(福井大学 医学部 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,083,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、アレルギー疾患対策基本法に基づき、気管支喘息(BA)、食物アレルギー(FA)、アレルギー性鼻炎(AR)、アトピー性皮膚炎(AD)の4疾患に対する政策的介入の効果を全国規模で定量的に可視化し、評価指標として構築することを目的とする。対象はレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)であり、実臨床における治療継続、薬剤導入、診療アクセスの実態を把握し、指標化することで、標準的医療の浸透度や地域格差の構造的課題を明らかにすることを目指した。
研究方法
解析対象は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に収載された医科(MED)、DPCおよび調剤(PHA)レセプトとする。患者単位解析にはID1nおよびID2から作成したID0を用いる。薬剤処方実態解析では、医科およびDPCレセプトにおける日別処方情報(D1日〜D31日)を処方年月日単位のデータへ変換し、調剤レセプトについてはPHA_IYとPHA_CZを結合して調剤月日および調剤数量を取得する。

処方数は使用量および回数を用いて算出し、患者数はID0単位で集計する。都道府県別、年齢階級別、病院・診療所別、アレルギー拠点病院別集計を行い、地域差および医療提供体制を評価する。対象疾患は気管支喘息、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎とし、各疾患に関連する薬剤コードを用いて患者抽出を行う。

政策評価指標については、Structure・Process・Outcome(SPO)モデルに基づき、患者数、処方数、処方医療機関数、病院・診療所割合、継続率および重症患者割合等を候補指標として設定し、その算出可能性および妥当性を検討する。
結果と考察
気管支喘息(BA)領域では、生物学的製剤および中〜高用量吸入ステロイド薬(ICS)を用いた重症患者群定義について検討した。ゾレア、ヌーカラ、ファセンラ、テゼスパイア、デュピクセント等を対象として患者数・処方数解析基盤を整備し、地域差および病院・診療所別分布について検討した。
食物アレルギー(FA)領域では、2017年度および2023年度NDBデータを用いて、エピペン0.15mgおよび0.3mg製剤の処方数・患者数解析を実施した。患者単位解析ではID0ごとに初回処方日を固定するロジックを整備し、都道府県別・年齢階級別・病院診療所別解析を可能とした。また、2017年度から2023年度にかけてエピペン総処方数の増加傾向を確認した。
アレルギー性鼻炎(AR)領域では、シダキュア、ミティキュア、アシテアを対象としてSLIT(舌下免疫療法)の処方実態解析を進めた。MED、DPC、PHAを統合した日毎処方テーブルを作成し、約449万行の解析用ベースを構築した。
アトピー性皮膚炎(AD)領域では、デュピクセント、オルミエント、リンヴォック、サイバインコ、アドトラーザ、イブグリース、ミチーガ等を対象として、生物学的製剤およびJAK阻害薬の処方実態解析を進めた。薬剤コード定義、RE統合、ID0作成、患者数・処方数集計SQLの試作を行い、剤形別・成分単位解析の方向性を整理した。
また、NDB解析に伴う技術的課題として、単年度データのインデックス作成に約2か月を要すること、複数年度データ連結時のストレージ容量不足、公開審査およびマスキング対応の必要性などを整理した。
本研究により、NDBを用いたアレルギー疾患政策指標開発に必要な患者単位解析基盤および処方実態解析基盤を構築することができた。エピペン、SLIT、生物学的製剤、JAK阻害薬などを対象とした解析を通じて、患者数、処方数、処方医療機関数、地域差、病院・診療所別分布などを評価可能な基盤が整備された。
一方で、生物学的製剤における複数適応問題、重症患者群定義、公開審査およびマスキング対応、巨大データ処理に伴う計算資源の制約など、今後解決すべき課題も明らかとなった。これらの課題に対応しながら、政策評価に利用可能な指標体系を構築していく必要がある。
結論
令和7年度は、NDBを用いたアレルギー疾患政策指標開発に向けて、患者単位解析基盤、日毎処方データセット、都道府県別・年齢階級別解析基盤を整備した。また、各疾患領域における政策評価指標候補を整理し、全国比較可能な指標体系構築に向けた方向性を具体化した。今後は、重症定義、継続率、処方医療機関数などを含めた指標の妥当性検証を進め、アレルギー疾患対策の科学的評価に資する基盤を確立する予定である。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
202512003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,905,000円
(2)補助金確定額
7,905,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,645,202円
人件費・謝金 306,904円
旅費 1,223,900円
その他 2,926,114円
間接経費 1,822,000円
合計 7,924,120円

備考

備考
研究費が不足した分を自己資金で支払ったため支出が収入を上回っております。

公開日・更新日

公開日
2026-10-27
更新日
-