文献情報
文献番号
202511003A
報告書区分
総括
研究課題名
ライフスタイルに着目した慢性腎臓病(CKD)対策に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FD1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
中川 直樹(旭川医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
- 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 酒井 謙(東邦大学 医学部)
- 猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 須賀 万智(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
- 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
- 祖父江 理(香川大学 医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科)
- 内田 明子(医療法人社団クレド・さとうクリニック 学術部)
- 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
- 高井 奈美(国立大学法人東海国立大学機構・名古屋大学 医学部附属病院 看護部)
- 水野 智博(藤田医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,158,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「慢性腎臓病(CKD)における治療と仕事の両立に関する手引き」を作成するため、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)の疾患や治療が就労に及ぼす影響、通院状況、治療内容をアンケート調査した。手引きおよびリーフレットを作成、普及・啓発することによりCKD患者の病状進行を遅らせ、社会参加を維持し、就労者数や復職率の向上を目指す。
研究方法
1.勤労世代の生活・就労等の実態調査研究
・過去の血液透析患者における生活・就労等に関する実態調査結果を整理し、腎移植後レシピエントについては、腎移植後の就労、就業、結婚、挙児、老後などのQOL調査を日本移植者協議会と協働して行った。
・尿試験紙検査の結果と腎機能の有害な転帰(eGFRの急速な低下および低eGFR)の発症との関連性を明らかにし、10年間の腎機能の有害な転帰の発生率に対する尿試験紙検査の予測精度を評価した。
2.企業・医療機関向けのCKD患者の治療と仕事の両立支援手法の開発
・就労に関する文献調査を行い、課題を抽出する。
・CKD患者の両立支援に有益な情報を収集し、課題を抽出した。
・企業・医療機関に提示する、CKDに関する基礎知識、両立支援に当たっての留意事項の取りまとめを行い、「主治医と産業医の連携」を含めた取り組みが出来るように具体的に例示した。
・復職・新規就労に有用な機関・制度、有用な社会制度についての取りまとめを行った。
3.CKD患者・家族向けの治療と仕事の両立支援ツールに関する研究
・上記を踏まえ、必要な情報がワンストップで得られる資材を作成した。
・過去の血液透析患者における生活・就労等に関する実態調査結果を整理し、腎移植後レシピエントについては、腎移植後の就労、就業、結婚、挙児、老後などのQOL調査を日本移植者協議会と協働して行った。
・尿試験紙検査の結果と腎機能の有害な転帰(eGFRの急速な低下および低eGFR)の発症との関連性を明らかにし、10年間の腎機能の有害な転帰の発生率に対する尿試験紙検査の予測精度を評価した。
2.企業・医療機関向けのCKD患者の治療と仕事の両立支援手法の開発
・就労に関する文献調査を行い、課題を抽出する。
・CKD患者の両立支援に有益な情報を収集し、課題を抽出した。
・企業・医療機関に提示する、CKDに関する基礎知識、両立支援に当たっての留意事項の取りまとめを行い、「主治医と産業医の連携」を含めた取り組みが出来るように具体的に例示した。
・復職・新規就労に有用な機関・制度、有用な社会制度についての取りまとめを行った。
3.CKD患者・家族向けの治療と仕事の両立支援ツールに関する研究
・上記を踏まえ、必要な情報がワンストップで得られる資材を作成した。
結果と考察
1.勤労世代の生活・就労等の実態調査研究
腎移植患者を対象に、その疾患やその治療が就労におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などのアンケート調査を実施した。腎移植患者の就労率は41%、67.8%が週5日勤務で、45.8%が年収300万円以上であった。78.7%の腎移植患者は移植施設通院には自身で通院していた。腎移植患者の多くは正規雇用が少なく、障がい者枠の利用も少ない。就労支援はハローワークや友人家族の勧めで行われていた。また移植施設への通院時間が負担になっていたものの、透析患者に比して就労自体は良好であった。これらの情報を活用し、マニュアル作成や療養指導の改善に活用した。
さらに、33,139名の健康な日本人労働者を対象とし、10年間の追跡調査を実施したところ、尿試験紙検査による(±)および陽性(1+、2+、3+)の蛋白尿は、それぞれ全対象者の2.8%および0.8%に認められた。これらの群は、陰性群と比較して腎有害事象のリスクが有意に高かった。この非侵襲的かつ安価な手法を用いることで、将来の腎機能低下が予測される対象者を的確に把握できる可能性が示された。
今後、保存期CKD患者における実態調査を進めるとともに、療養指導マニュアル・両立支援ツールの作成が必要であると考えられる。
2.企業・医療機関向けのCKD患者の治療と仕事の両立支援手法の開発
CKD患者(透析・腎移植患者を含む)の特性や両立支援の留意事項を明示し、主治医と産業医の連携を交えた具体策を例示することで、企業・医療機関の連携による就労支援の促進と重症化予防に貢献するため、「慢性腎臓病(CKD)における治療と仕事の両立に関する手引き」を作成した。
この手引きを活用することにより、CKD患者が仕事と治療を両立させるための基礎知識や具体的な対策を提供し、企業や医療機関が適切な支援を行う際の参考になることが期待される。
3.CKD患者・家族向けの治療と仕事の両立支援ツールに関する研究
CKD患者や家族が必要とする情報(維持透析・腎移植後の障がい認定、保存期の指定難病や高額療養費制度など)がワンストップで得られるよう、患者会の意見を踏まえ「治療と仕事の両立お役立ちリーフレット」を作成した。
今後患者及び国民に広く普及・啓発し、療養指導等に活用する。
腎移植患者を対象に、その疾患やその治療が就労におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などのアンケート調査を実施した。腎移植患者の就労率は41%、67.8%が週5日勤務で、45.8%が年収300万円以上であった。78.7%の腎移植患者は移植施設通院には自身で通院していた。腎移植患者の多くは正規雇用が少なく、障がい者枠の利用も少ない。就労支援はハローワークや友人家族の勧めで行われていた。また移植施設への通院時間が負担になっていたものの、透析患者に比して就労自体は良好であった。これらの情報を活用し、マニュアル作成や療養指導の改善に活用した。
さらに、33,139名の健康な日本人労働者を対象とし、10年間の追跡調査を実施したところ、尿試験紙検査による(±)および陽性(1+、2+、3+)の蛋白尿は、それぞれ全対象者の2.8%および0.8%に認められた。これらの群は、陰性群と比較して腎有害事象のリスクが有意に高かった。この非侵襲的かつ安価な手法を用いることで、将来の腎機能低下が予測される対象者を的確に把握できる可能性が示された。
今後、保存期CKD患者における実態調査を進めるとともに、療養指導マニュアル・両立支援ツールの作成が必要であると考えられる。
2.企業・医療機関向けのCKD患者の治療と仕事の両立支援手法の開発
CKD患者(透析・腎移植患者を含む)の特性や両立支援の留意事項を明示し、主治医と産業医の連携を交えた具体策を例示することで、企業・医療機関の連携による就労支援の促進と重症化予防に貢献するため、「慢性腎臓病(CKD)における治療と仕事の両立に関する手引き」を作成した。
この手引きを活用することにより、CKD患者が仕事と治療を両立させるための基礎知識や具体的な対策を提供し、企業や医療機関が適切な支援を行う際の参考になることが期待される。
3.CKD患者・家族向けの治療と仕事の両立支援ツールに関する研究
CKD患者や家族が必要とする情報(維持透析・腎移植後の障がい認定、保存期の指定難病や高額療養費制度など)がワンストップで得られるよう、患者会の意見を踏まえ「治療と仕事の両立お役立ちリーフレット」を作成した。
今後患者及び国民に広く普及・啓発し、療養指導等に活用する。
結論
今回作成した手引きやリーフレットを活用して患者の主体的な取り組みを促し、就労継続や復職率の向上を図る。これにより、患者のQOL向上と社会経済的損失の減少を実現するとともに、重症化予防による透析導入の減少に貢献することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2026-10-27
更新日
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