健診データを基盤として、慢性腎臓病該当者の医療費過剰支出と末期腎不全発症リスクを評価するデータベース構築研究

文献情報

文献番号
201022003A
報告書区分
総括
研究課題名
健診データを基盤として、慢性腎臓病該当者の医療費過剰支出と末期腎不全発症リスクを評価するデータベース構築研究
課題番号
H21-腎疾患・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤岡 知昭(岩手医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岩動 孝(岩手県医師会)
  • 小原 紀彰(岩手県医師会)
  • 岡山 明(結核予防会 第一健康相談所)
  • 千葉 茂樹(岩手県保健福祉部)
  • 滝川 義明(岩手県環境保健研究センター)
  • 坂田 清美(岩手医科大学 医学部)
  • 小笠原 邦昭(岩手医科大学 医学部)
  • 中村 元行(岩手医科大学 医学部)
  • 板井 一好(岩手医科大学 医学部)
  • 大澤 正樹(岩手医科大学 医学部)
  • 小野田 敏行(岩手医科大学 医学部)
  • 丹野 高三(岩手医科大学 医学部)
  • 大森 聡(岩手医科大学 医学部)
  • 阿部 貴弥(岩手医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,699,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究事業の目標は、既存のコホート研究で同意の得られている者に限定した解析を行って、健診で明らかになった慢性腎臓病を有する対象者の循環器疾患発症(心筋梗塞、脳卒中)、末期腎不全移行、死亡、介護認定、医療費についてのリスク上昇を定量的に評価することである。
研究方法
本研究事業では、平成14年から実施してきた岩手県北地域コホート研究参加者を研究対象者とする。本研究事業を契機として医療費分析と末期腎不全罹患調査の二つの新規研究事業を追加することにより、コホート研究参加者に新規のエンドポイントとしての医療費支出と末期腎不全罹患が加わる事となる。本事業により、健診で慢性腎臓病と判断された住民が健常者と比較して、死亡リスク、循環器疾患発症リスク、末期腎不全発症リスク、医療費過剰支出リスクがどの程度上昇しているのかの定量的評価を行うデータベースを構築することが可能となる。
結果と考察
医療費情報収集は昨年実施した1町に加え、今年度は4市町村で実施した。末期腎不全登録事業は24施設での登録を終了し、平成22年度の登録透析患者総数は1,707名(重複例含む)であった。隔年で実施してきた基盤コホート研究(岩手県北コホート研究)の最終追跡調査内容(平成21年度調査、平均5.7年間追跡)が平成22年度には電子化された。検討結果CKD(推算GFR60ml/min/1.73㎡未満)は心筋梗塞罹患リスクを2倍高めていたが、死亡、脳卒中、介護認定のリスクは上げていなかった。微量アルブミン(ACR30mg/g以上)陽性は、非CKD者では死亡率は3.36から4.40/1000人年まで上昇させ、さらにCKD者では死亡率を6.15/1000人年まで上昇させていた。本研究は酵素法を用いて測定した血清クレアチニン値を基に推算GFRを算出した研究成果であること、推算GFRがどの程度下がると死亡リスクや罹患リスクが上がるのかを絶対的な評価指標で示すことができた点で従来の研究にはない資料的価値がある。
結論
2年目までの事業の実施状況について具体的な事業内容を示した。また基盤コホート研究の最新の追跡調査の解析結果、慢性腎臓病が心筋梗塞罹患リスクを有意に上げていたことが示され、本コホート研究成果の資料的価値の高さが示された。事業2年目までの研究事業は順調に進んでいると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201022003Z