睡眠呼吸障害による生活習慣病に関する医療情報提供とその効果の評価

文献情報

文献番号
201021038A
報告書区分
総括
研究課題名
睡眠呼吸障害による生活習慣病に関する医療情報提供とその効果の評価
課題番号
H22-循環器等(生習)・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
谷川 武(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 明彦(大阪府立健康科学センター)
  • 陳 和夫(国立大学法人 京都大学 大学院医学系研究科 )
  • 木村 弘(奈良県立医科大学 医学部 )
  • 磯 博康(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 中野 博(国立病院機構 福岡病院)
  • 古川 慎哉(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 )
  • 櫻井 進(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 )
  • 斉藤 功(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 )
  • 岡 靖哲(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,670,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
睡眠呼吸障害についての医療情報を提供することにより、糖代謝異常、高血圧、メタボリックシンドロームへの影響を観察し、新たな医療情報の提供が及ぼす生活習慣病予防に与える効果と将来に向けたより効果的な情報提供のあり方を提言することを目的とする。
研究方法
地域住民約7500人を対象に、睡眠呼吸障害(SDB)に関連する糖尿病、高血圧、循環器疾患発症についてのコホート研究を実施する。過去にSDBに関する情報提供が行われた同一の対象者に対し、SDBに関するアンケートならびに一部の対象者に対してはパルスオキシメトリとフローセンサを用いたSDBのフォローアップ検査を行い、この間のSDBの指標の変化や医療情報の活用実態、ならびに保健指導等の効果について検証を行う。愛媛県T市の地域住民約2000人を対象として、様々な指標の測定から日本人特有のSDBに関連する生活習慣病の実態を明らかにする。糖尿病患者約2000人に対して、SDBの実態を明らかにする。SDBの重症者に対しては治療介入を行い、治療にともなう糖代謝異常、高血圧、メタボリックシンドローム等の改善効果について検討する。
結果と考察
60歳未満、以上のいずれにおいても1日平均3時間以上の持続気道陽圧(CPAP)療法により有意に拡張期血圧が低下した。間歇的低酸素曝露により男性OSA患者の血清中高分子アディポネクチンと全アディポネクチンは健常者と比較して有意に低下した。自宅パルスオキシメトリ検査の後、病院で終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を施行した結果、血圧値との関連において、3%ODI値はPSGで得られる無呼吸低呼吸指数と同等以上の相関が認められた。地域住民男性の中等症以上のSDBにおいて、高血圧の発症リスクが上昇する可能性があった。飲酒量とSDBの重症度について、女性においても関連があった。
結論
今回の疫学研究から、SDBと高血圧発症との関連が明らかとなった。メタボリックシンドローム群に対し、積極的に、SDBスクリーニング検査を実施するプランの有用性を明らかにしたい。糖尿病合併症について、SDB重症者側からの検索をすることで、より効果的な糖尿病対策につながることが示唆される。CPAP治療によるSDBの重症度の低減が糖尿病合併症の予防および軽減化へ与える影響について研究が急がれる。

公開日・更新日

公開日
2011-10-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021038Z