大規模コホートを用いた生活習慣病の一次予防のための運動量策定に関する運動疫学研究

文献情報

文献番号
201021029A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートを用いた生活習慣病の一次予防のための運動量策定に関する運動疫学研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
熊谷 秋三(九州大学 健康科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 上園 慶子(九州大学 健康科学センター)
  • 眞崎 義憲(九州大学 健康科学センター)
  • 長野 真弓(京都文教大学 臨床心理学部)
  • 山津 幸司(佐賀大学 文化教育学部)
  • 内藤 義彦(武庫川女子大学 生活環境学部)
  • 清原 裕(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は,久山コホートにおける身体活動量(PA)および握力と死亡の関係をみた前向き研究,職域における身体活動質問紙(JALSPAQ)による身体活動量評価項目と他の既存データの関係をみた横断・追跡研究,職域における対面・非対面型健康支援プログラムに関する介入研究を行った.
研究方法
久山研究の対象は,悪性腫瘍,脳卒中,虚血性心疾患の既往のない者とした.PAはAinsworth らのMETS換算表を基に算出した余暇時のPAを解析に用いた.握力は左右2回測定し,最大値を解析に用いた.エンドポイントは総死亡,循環器死亡,悪性腫瘍死亡とし,PAは14年間,握力は19年間追跡した。PAあるいは握力のレベル別にみた死亡の相対危険(95%CI)は,Cox比例ハザードモデルを用いて解析した.多変量解析に用いた調整変数は,年齢,性別,収縮期血圧,降圧薬服用,総コレステロール,肥満,心電図異常,喫煙,飲酒,職場での作業強度とした.
結果と考察
身体活動量による14年間の解析では532例の死亡が確認された.多変量解析における運動なし群を基準とした余暇時のPA高度群の総死亡の相対危険(95%CI)は,0.67(0.49-0.92)と統計的有意差を認めた(trend検定=0.003).循環器死亡の相対危険もまた,余暇時のPA高度群で0.47(0.25-0.90)と有意に低かった.多変量調整後の握力値の最も低い第1分位群を基準とした第2分位,第3分位,第4分位群の総死亡は,それぞれ0.75(0.63-0.90),0.76(0.61-0.95),0.61(0.46-0.83)と有意に低かった(trend検定=0.0007).循環器死亡では,0.70(0.51-0.97),0.53(0.34-0.83),0.44(0.25-0.81)と握力の高い群ほど有意に低下した(trend検定=0.0007).PAおよび握力は,悪性腫瘍死亡と関連しなかった.
結論
わが国の地域住民における身体活動量と握力は総死亡および循環器死亡の独立した予測因子である.また,JALSPAQは幅広い研究分野に応用可能であることが示唆される.ICT環境を利用した非対面型健康支援プログラムは,メタボリックシンドロームとその予備軍への運動の動機づけや運動継続を促す有用なツールであり,臨床所見の悪化は観察されないことが示唆された.

公開日・更新日

公開日
2011-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201021029Z