エビデンスに基づいた特定保健指導の効果的な実施のための研究

文献情報

文献番号
202508049A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づいた特定保健指導の効果的な実施のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25FA1010
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
月野木 ルミ(東京科学大学 大学院保健衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 村上 義孝(東邦大学 医学部医学科社会医学講座医療統計学分野)
  • 安齋 達彦(東京科学大学 M&Dデータ科学センター)
  • 渡井 いずみ(浜松医科大学 医学部看護学科)
  • 坂口 景子(淑徳大学 看護栄養学部栄養学科)
  • 小暮 真奈(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
7,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定保健指導実施率(以下、実施率)の低迷は、日本の循環器疾患予防における焦眉の課題である。第4期健康診査・特定保健指導の腹囲-2cm、体重-2kg(以下、-2cm、-2kg)を主要達成項目とするアウトカム評価の導入やICT活用の推進等は、保健指導の負担軽減と実施率向上に寄与すると期待されている。一方で、-2cm、-2kgを達成できる積極的支援対象者(達成者)の特性や効果的な保健指導法が不明確などの未解決の問題が、山積している。我々は、厚労省科研班(24FA1013)で、3万人の特定健診・特定保健指導のビッグデータと保健師・管理栄養士へのインタビューの結果を統合し、達成しやすい対象者の特性(日勤、40歳代、初めての積極的支援該当者等)と効果的な保健指導法(セルフモニタリング、改善度の可視化、過剰エネルギー摂取減少、身体活動増加、規則正しい生活、減塩、環境整備やICTの活用)を示した。
以上、本研究は、多次元ビッグデータ解析と質的研究の統合エビデンスに基づく、ICTを活用した統合型保健指導(ウェル・スマート)の開発と効果検証を行うことを研究目的とした。
研究方法
本研究班は、研究代表者と6名の研究分担者、6名の研究協力者で構成し、下記の2つの研究に分かれて、各研究者が結果を共有し、連携しつつ研究を進めた。
1)-2cm、-2kgを達成できる対象特性と特定保健指導法の多層類型化の整理
2)多様な時・場で実施できるICTを活用した統合型保健指導(ウェル・スマート)の開発と効果検証の準備
同時に、研究成果の発表と普及に努めた。なお、研究方法の詳細については、各分担研究報告書に記載した。
結果と考察
第4期で導入されたアウトカム評価(腹囲-2cm、体重-2kg)達成に効果的な特定保健指導のエビデンスを創出することを目的に、7名の研究者で研究班を組織し、以下の結果を得た。
1.第4期特定保健指導では体重減少が主要なアウトカム指標とされ、禁煙は補助的に位置づけられている。本研究の結果、体重減少によるリスクスコア低下(1.8ポイント)に比べ、禁煙による低下(3.3ポイント)の方が大きく、禁煙がより強く寄与する可能性が示唆された。また、両者を同時に達成した場合には最大のリスク低減(-5.3ポイント)が認められたが、その達成者は少数であった。以上より、特定保健指導においては体重減少に加え、禁煙支援の強化が重要である。
2.運動習慣の改善はアウトカム評価達成と強く関連し、他の生活習慣改善との組合せにより効果が高まる可能性が示された。また、生活習慣改善項目間には同時に達成されやすい行動変容の組合せが存在した。決定木分析の結果、年齢や体重といった単一要因に加え、肝機能異常や血糖異常など複数の対象者特性の組合せにより達成率が異なることが明らかとなった。特に50歳以上でも特定の特性の組合せにより高い達成率を認めた。
3.令和6年度(24FA1013)から得られたエビデンス基づき、アウトカム評価達成に効果的な保健指導プログラム(ウェル・スマート)のプログラム内容を検討した。その結果、ICTでも紙でも利用しやすい保健指導教材を作成した。また、ウェアラブル端末を用いたセルフモニタリングを導入することした。
4.第4期特定健康診査・特定保健指導の実態把握のヒアリングを行いつつ、対象企業の選定と開発したウェル・スマートの効果検証のサンプルサイズの算定、研究デザインを検討した。現在東京科学大学医学部倫理委員会に申請中である。
結論
以上のように、計画通りに研究を実施し、アウトカム評価の達成に効果的な特定保健指導に有用なエビデンスを創出した。そして成果に基づく特定保健指導プログラム(ウェル・スマート)の開発を進めた。本研究成果は、円滑な第4期特定健康診査・特定保健指導の展開、および国民における生活習慣病の早期予防による医療費削減への貢献が期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-10-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
その他

公開日・更新日

公開日
2026-08-26
更新日
2026-10-06

収支報告書

文献番号
202508049Z