骨粗鬆症検診実施率・受診率向上に資する検診実施体制の見直しのための研究

文献情報

文献番号
202508018A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症検診実施率・受診率向上に資する検診実施体制の見直しのための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
田中 栄(東京大学医学部附属病院  整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 曽根 照喜(川崎医療福祉大学・医療技術学部 診療放射線技術学科)
  • 藤原 佐枝子((公財)骨粗鬆症財団)
  • 萩野 浩(労働者健康安全機構・山陰労災病院)
  • 上西 一弘(日本栄養大学 栄養学部 栄養生理学研究室)
  • 小川 純人(東京大学 医学部附属病院)
  • 伊木 雅之(関西医科大学・衛生・公衆衛生学講座)
  • 宗圓 聰(一般社団法人医皇会 そうえん整形外科骨粗しょう症・リウマチクリニック)
  • 吉村 典子(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨粗鬆症は高齢者の骨折および要介護の主要な原因であるが、わが国における骨粗鬆症検診の実施率・受診率は依然として低い。本研究班では、過去2回の厚生労働科学研究において、FRAX(Fracture Risk Assessment Tool)、OSTA(Osteoporosis Self-assessment Tool for Asians)および既存骨折の有無を用いた骨粗鬆症検診方法を提案し、「新骨粗鬆症検診・保健指導マニュアル(案)」を作成した。
本研究では、その科学的根拠をさらに充実させることを目的として、検診項目および判定基準の妥当性、自治体における実施状況と課題、保健指導および要精検者対応のあり方について多面的に検討し、マニュアル(案)の改訂を行った。
研究方法
整形外科、放射線医学、公衆衛生学、疫学、栄養学、老年医学およびリハビリテーション医学の専門家が参加し、多面的な検討を行った。
自治体アンケート調査では、骨粗鬆症検診の実施状況や受診率向上に向けた取組、実施上の課題について調査した。骨量測定実態調査では、保険診療下で実施された骨量測定の実施件数や測定部位の推移について検討した。地域住民コホート(ROADスタディ)および男性コホート研究では、OSTAおよびFRAX危険因子を用いた骨量減少スクリーニング法の妥当性を検証した。また、診療実態調査および関連文献レビューを通じて、保健指導、運動療法、栄養指導ならびに要精検者への対応に関する知見を整理した。
さらに、これらの成果を基に研究班全体で検討を行い、「新骨粗鬆症検診・保健指導マニュアル(案)」の内容を見直し、改訂を行った。
結果と考察
自治体調査では、骨粗鬆症検診を実施している自治体は一定数存在するものの、予算や人的資源の確保、受診勧奨の方法、医療機関との連携などに課題があることが明らかとなった。一方、受診率の高い自治体では、住民への積極的な広報活動や医師会との連携が行われており、検診受診率向上には検診内容だけでなく実施体制の整備が重要であることが示された。
地域住民コホート(ROADスタディ)および男性コホート研究を用いた検討では、骨量減少のスクリーニングにおいてOSTAおよびFRAX危険因子の有用性が確認された。特に、OSTAとFRAX危険因子を組み合わせることで高い感度を維持しながら骨量減少者を効率的に抽出できることが示され、新しい骨粗鬆症検診方法における判定基準の科学的根拠が強化された。また、男性においてもOSTAが骨粗鬆症スクリーニングに有用であることが示され、男性骨粗鬆症への応用可能性が示唆された。
骨量測定実態調査では、現在も末梢骨を用いた簡便な骨量測定が広く活用されていることが確認され、地域における一次スクリーニング手法としての有用性が再認識された。また、診療実態調査からは、検診受診後の精密検査受診や治療継続に改善の余地があることが示された。
栄養学および運動指導に関する検討では、カルシウム摂取のみならず、適正体重の維持や十分なエネルギー・たんぱく質摂取の重要性が確認された。さらに、歩行や筋力トレーニングを含む運動療法が骨粗鬆症予防に有効であることが再確認され、検診後の保健指導内容の充実につながった。
以上の成果を踏まえ、研究班では「新骨粗鬆症検診・保健指導マニュアル(案)」の改訂を行った。本研究により、骨粗鬆症検診の判定基準、保健指導および実施体制に関する科学的根拠がさらに充実し、実現可能かつ持続可能な骨粗鬆症検診体制の構築に向けた基盤が整備された。
結論
本研究では、自治体調査、骨量測定実態調査、地域住民コホート研究、男性コホート研究、診療実態調査および関連文献レビューを通じて、骨粗鬆症検診の実施体制、検診項目、判定基準、保健指導および受診勧奨に関する科学的根拠をさらに充実させることができた。
特に、OSTAおよびFRAX危険因子を活用した骨量減少スクリーニング法の有用性が確認され、骨粗鬆症検診における判定基準の妥当性が支持された。また、自治体における実施状況や課題、保健指導および医療機関連携のあり方について整理することで、「新骨粗鬆症検診・保健指導マニュアル(案)」の内容を充実させることができた。
今後は、自治体等における実施可能性の検証を進めるとともに、本研究で得られた知見を活用しながら、実現可能かつ持続可能な骨粗鬆症検診体制の構築に向けた検討を継続していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2026-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
202508018Z