文献情報
文献番号
202506039A
報告書区分
総括
研究課題名
「低侵襲性の穿刺血などの血液検体を用いた検査薬」の一般検査薬への転用等の調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25CA2039
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 中(東京大学 大学院薬学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 和田 一郎(獨協大学 国際教養学部)
- 齋藤 英子(国立国際医療研究センター)
- 後藤 励(慶應義塾大学 経営管理研究科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,334,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、「低侵襲性の穿刺血などの血液検体を用いた検査薬」の一般検査薬(OTC)への転用等に関する実態と課題を、提供者側(医師・薬剤師)および受益者・利用者側(生活者)の双方の観点から多角的に明らかにすることを目的とした。穿刺血を用いた血糖自己測定器(SMBG)のOTC化を題材とし、有用性評価、意義、懸念事項、必要な支援体制、ならびに生活者の受容性・利用意向・行動変容への結びつきを統合的に検討した。
研究方法
Aパート(提供者側)として、2026年3月に医師217名・薬剤師235名を対象とするWebアンケート調査を実施するとともに、現場認識を補強するため医師5名(Appendix1)および薬剤師403名(スギ薬局261名・日本調剤6名・たんぽぽ薬局136名、Appendix2)へのヒアリング調査を併せて実施した。Bパート(利用者側)として、糖尿病既診断者・糖尿病予備群・低リスク健康関心層の3群がほぼ均等となるよう設計した生活者1,114名(インテージヘルスケア社調査パネル)に対するWebアンケート調査を実施した。両パートの結果を統合し、SMBG-OTC化の制度設計上の論点を分析した。
結果と考察
①対象者別の意義:医師・薬剤師ともに、糖尿病患者では血糖管理・受診勧奨、糖尿病予備群・健康関心層では予防・健康意識向上が重視され、SMBGのOTC化はリスク段階に応じて役割が変化する「連続的介入」であることが示された。②生活者調査では、高値経験者の受診率は糖尿病群63.8%・予備群58.8%・健康管理群54.5%であり、SMBGが未受診層を医療に結びつける機能を有する一方、高値経験者の41.1%は受診に至らず、自己判断による受診回避リスクも定量的に確認された。③共通課題として「測定結果の解釈」が唯一の説明ギャップ項目(実施49件/難しい113件)として浮き彫りとなり、生活者の説明ニーズでも「血糖値を測る意味合い」(63.8%)が最上位を占めた。④薬剤師による受診勧奨後の実受診率は17.6%にとどまり、「どの医療機関へ行けばよいかわからない」(予備群25.6%)等、受診導線整備の不足が浮上した。⑤医師は制度的支援(連携強化・ガイドライン・研修)を、薬剤師は具体的ツール(マニュアル・チェックリスト・記録手帳・サポートアプリ)を求め、両者は「標準化された運用体制」の必要性で一致した。
結論
SMBGのOTC化は、既診断糖尿病患者層・糖尿病予備群層・健康関心層の三つの対象者層それぞれの意義と課題の構造を十分に認識しつつ進めるべきトピックである。最も外側の「健康関心層」への導入は、誤情報・誤使用・濫用対策を前提として慎重に検討する必要があり、当初は既診断および予備群の二群を中心に設定することが望まれる。二群の中でも糖尿病予備群は、適切な受診導線の設計が前提となる。実現に向けては、①リテラシー教育、②薬剤師による安全運用の確保、③明確な勧奨基準と紹介先ネットワークを伴う受診導線の設計、④医療機関との情報連携体制(PHR等)の構築、⑤標準化された支援ツール群の整備、⑥継続コストを含む価格・アクセス設計の最適化、の6点を統合的に進める必要がある。SMBGのOTC化は単なる販売区分の変更ではなく、関係者協働による社会実装プロジェクトとして重層的に構築されるべきものと結論づけられる。
公開日・更新日
公開日
2026-08-06
更新日
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