胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
201020040A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験
課題番号
H21-がん臨床・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
片井 均(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 宇山 一朗(藤田保健衛生大学 )
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 比企 直樹(財団法人癌研究会有明病院)
  • 黒川 幸典(大阪大学医学系研究科)
  • 安藤 昌彦(京都大学保健管理センター)
  • 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター)
  • 寺島 雅典(静岡県立靜岡がんセンター)
  • 伊藤 誠二(愛知県がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
17,772,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期胃癌に対し、術後QOLの改善を期待し腹腔鏡手術が導入されつつある。腹腔鏡手術の頻度は増加しているが、術式の難易度が高く、リンパ節転移がある患者における開腹術との同等性などのprospectiveなデータがなく広がっている現状は問題である。患者にとっての真のベネフィットの有無を検証するために、安全性,根治性両面からの科学的な有用性評価を臨床試験で行なう。
研究方法
臨床病期I期胃癌に対する開腹手術に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の非劣性を証明する多施設第III相試験を行なう。primary endpointは全生存期間とする。開腹手術群の5年生存割合を90%、腹腔鏡下手術群の成績が開腹手術群と同等であることを期待し、登録5年、追跡5年、片側α5%、検出力80%とする。生存割合で非劣性許容下限を5%(ハザード比:1.54)として検証するため、登録数は両群併せて920名となる。腹腔鏡下手術の低侵襲性を探索的に評価するためのQOL調査も行う。調査票にEORTC QLQ-C30、STO22を使用し、術後90日のGlobal health statusスコアが、登録時と比べて「臨床的に意味のある増悪」(登録時調査結果と比較して10点以上の低下)を示す患者の割合を開腹胃切除術群で61%、腹腔鏡下胃切除術群で45%と仮定すると、有意水準両側0.05、検出力80%で一群152例、両群で304例以上の登録数となる(4参加施設の全例登録)。
結果と考察
JCOG0912の予定登録数は両群併せて920名で、2011年5月1日現在、参加施設は22施設、登録数は273例。QOL調査の必要登録数は両群304名以上で、2011年5月1日現在、登録数は216例。ランダム化比較試験(JCOG0912)、QOL調査ともに順調に登録が進んでいる。問題となる有害事象も発生していない。登録期間は5年の予定だが可能であれば短縮を試みる。
結論
本研究で、手術の評価が定まれば、内視鏡切除適応外の早期胃がん患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる、新しい治療手段を積極的に提供できる。
早期社会復帰や術後患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなりうる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020040Z