粒子線治療の有効性、適応、費用対効果に関する総合的研究

文献情報

文献番号
201020029A
報告書区分
総括
研究課題名
粒子線治療の有効性、適応、費用対効果に関する総合的研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鎌田 正(独立行政法人 放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 勝(千葉大学大学院医学研究院)
  • 赤倉功一郎(財団法人 東京厚生年金病院)
  • 池田徳彦(東京医科大学外科第一講座 呼吸器外科)
  • 根本建二(山形大学医学部 放射線科)
  • 手島昭樹(大阪大学大学院医学系研究科 医用物理工学講座)
  • 中野隆史(群馬大学大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座 腫瘍放射線学  )
  • 山本和高(財団法人 若狭湾エネルギー研究センター 研究開発部粒子線医療研究室)
  • 村上昌雄(兵庫県立粒子線医療センター 粒子線治療)
  • 村山重行(静岡県立がんセンター 陽子線治療研究部)
  • 荻野 尚(国立がん研究センター東病院)
  • 櫻井英幸(筑波大学人間総合科学研究科 放射線腫瘍学)
  • 川渕孝一(東京医科歯科大学大学院 医療経済学分野)
  • 花岡英紀(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
  • 福村 明史(放射線医学総合研究所 医学物理学放射線治療品質管理室)
  • 中川 恵一(東京大学医学部附属病院 放射線科・緩和ケア診療部)
  • 井垣 浩(東京大学医学部附属病院 放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
19,904,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、国内すべての粒子線治療実施施設に加えて、外科(消化器、呼吸器、泌尿器等)、放射線治療(IMRT,小線源等)医学物理、医療経済、臨床試験の専門家が加わって、上記について科学的視点及び経済的な視点で研究を行う。具体的には、これまで行われて来た粒子線治療(対象、治療内容、経過等)を総括し、治療の標準化(ガイドラインの策定)、費用対効果の検討、施設基準の設定、物理学的な精度管理保証のあり方、多施設共同研究の実施によるエビデンスの創出、さらに保険収載を視野にいれた資料の収拾を行う。
研究方法
異なる治療技術間での無作為比較試験の実施は現実には極めて困難であることから、粒子線治療多施設間で共通のプロトコールによる登録行い、治療結果の解析を行う。前立腺癌について粒子線多施設共通プロトコールを作成し、各施設において倫理審査を得て症例の登録を開始する。登録期間2年で症例数は陽子線300例、炭素線300例を予定する。また前立腺癌治療の費用対効果についてQOLへの影響を加味した生存期間(QALY: Quality adjusted life years)に基づいて、費用対効用分析を行なう。高い技術と専門的な知識の集約が粒子線治療の実施には不可欠であり、そのような基盤なしに安全で効果的 な粒子線治療をおこなうことは困難であることから施設の基準を設定し提案を行う。新しい治療技術である粒子線の精度管理、精度保証のあり方についてガイド ライン検討する。
結果と考察
本研究の実施により、我が国における粒子線治療の全体像(施設構造、患者数、対象疾患)が明らかになりつつある。同時に一部の疾患では経済的な側面においても粒子線治療の優位性が示唆されることとなった。さらに前立腺癌における多施設共同臨床試験の登録を開始できた。安全で質の高い粒子線治療を効率的に国民に提供することを可能とするための施設基準あるいは治療精度保証などについてもその基準について方向性が明らかとなった。全世界において粒子線治療施設の建設が多数進行中である。現在、我が国はこの分野において世界を先導する立場にあり、本研究の実施は我が国における粒子線治療の健全な発展・普及に寄与するだけでなく世界の粒子線治療の普及に寄与するものと考えられる。
結論
1)我が国における荷電粒子線治療の全体像(施設構造、患者数、対象疾患)が明らかにできた。2)一部の疾患では経済的な側面においても粒子線治療の優位性が示唆されることとなった。3)前立腺癌における多施設共同臨床試験の登録を開始できた。4)施設基準あるいは治療精度保証などについてもその方向性を示すことができた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020029Z