文献情報
文献番号
201020019A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性神経膠腫に対するTemozolomideの治療効果を増強した標準治療確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渋井 壮一郎(国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
- 隈部 俊宏(東北大学 脳神経外科)
- 倉津 純一(熊本大学 脳神経外科)
- 佐藤 慎哉(山形大学医学部附属病院 脳神経外科)
- 杉山 一彦(広島大学 脳神経外科)
- 高橋 潤(財団法人田附興風会 医学研究所 第5研究部)
- 田中 克之(聖マリアンナ医科大学 脳神経外科)
- 永根 基雄(杏林大学 脳神経外科)
- 西川 亮(埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科)
- 別府 高明(岩手医科大学 脳神経外科)
- 村垣 善浩(東京女子医科大学 脳神経外科)
- 若林 俊彦(名古屋大学 脳神経外科)
- 角 美奈子(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,330,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在なお予後不良である膠芽腫に対し、標準治療となったTemozolomide (TMZ)併用化学放射線療法の効果をさらに増強する治療法を開発し、より効果的な標準治療を確立することを目的とする。
研究方法
20から75歳の初発膠芽腫患者を対象とし、初期治療として、手術後、放射線治療開始とともにTMZ 75mg/m2/dayの服用を開始、同時に週3回300万IUのIFN-βの静脈内投与を開始する。放射線治療終了後、28日間の休薬期間を設け、その後、28日ごとに、5日間のTMZ(150から200mg/m2/day)投与に、IFN-βの1回静脈内投与を併用する。これをTMZのみ併用の放射線治療・維持化学療法と比較するランダム化第II相試験を実施する。Primary endpointは全生存期間、secondary endpointsは無増悪生存期間、奏効割合、完全奏効割合、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合とし、有効性・安全性が確認できれば、RT+TMZとの第III相試験を行う。
結果と考察
JCOG0305(ACNU vs ACNU+Procarbazine)およびEORTC/NCICのRT vs RT+TMZの臨床試験結果から、国内における膠芽腫に対する標準治療はRT+TMZにすべきという結論に至った。しかしながら、TMZを用いても膠芽腫の生存期間中央値は14.6ヵ月に過ぎず、さらにその効果を高める工夫が必要である。一方、O6-methylguanine-DNA methyltransferase (MGMT)は、ACNUなどのnitrosourea系抗癌剤の他、TMZ対するに耐性に関連する酵素として知られている。INF-βはp53を介してMGMTの遺伝子発現を抑制する作用が知られており、RT+TMZを標準治療とし、RT+TMZ+IFN-βとのランダム化第Ⅱ相試験を実施するに至った。この試験の結果、RT+TMZ+IFN-βの有効性・安全性が確認されれば、RT+TMZ+IFNβをの優越性デザインの第Ⅲ相試験を行う予定である。
結論
本年度は、上記コンセプトのプロトコールに基づき、22年4月より登録を開始、23年3月現在64例の症例の登録がされている。登録期間1.5年、さらに2年間の観察期間を経て解析を行う。これにより、日本から世界へと今後の膠芽腫の標準治療となるプロトコールの発信が出来るものと考える。
公開日・更新日
公開日
2015-05-15
更新日
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