文献情報
文献番号
202505010A
報告書区分
総括
研究課題名
世界保健機関(WHO)のガバナンス強化に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25BA2001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 比呂樹(国立健康危機管理研究機構 グローバルヘルス人材戦略センター)
研究分担者(所属機関)
- 磯 博康(国立健康危機管理研究機構 国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター)
- 駒田 謙一(国立健康危機管理研究機構 国際医療協力局)
- 坂元 晴香(聖路加国際大学公衆衛生大学院)
- 山本 尚子(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
1,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は、急速に変わりつつある国際動向に目配りしながら、WHOのガバナンスの課題について分析を行うとともに、国連機関を中心とした他の国際機関との比較を通じて組織特有のガバナンスの課題やベストプラクティスを特定し、それらを踏まえた我が国の効果的な介入方法を提言
することを目的とする。
することを目的とする。
研究方法
有識者ヒアリング、現場インタビュー、計量分析を組み合わせた多角的手法により課題を同定し、班会議において共有・検討することにより相互補完的に知見を統合する。これらの成果を踏まえ、全体構造を再整理し、政策的含意を明確化した上で、総括研究報告書を取りまとめる。
結果と考察
本研究における分析の結果、2025年初頭の米国拠出停止に端を発する財政危機を契機として、WHOガバナンスの構造的脆弱性が顕在化した。具体的には、危機対応における執行理事会の戦略的統治能力の不足、意思決定過程における透明性・予測可能性の欠如、包摂性と機動性のバランス
を確保する制度設計の未整備、さらには国連改革やGlobal Health Architecture(GHA)の構造変化との接続不全といった課題が明らかとなった。また、識者および現場双方の分析から、財政基盤の脆弱性、事業の肥大化と優先順位付けの欠如、不透明な人事・財務運営、加盟国力学の変化、本部と地域の統治不整合といった深層的問題が確認された。加えて、WHOガバナンス会合において事務局文書の作成・公表が遅延することにより、加盟国による実質的かつ有効な審議が制約されている実態も明らかとなった。 一方、Lusaka AgendaやUN80をはじめとする多様なイニシアチブの進展により、国際保健分野は政策・資金・実施主体が競合的に展開する「百家争鳴」の様相を呈している。本研究では、このような外部環境をGHAの構造変化として整理することにより、国際保健秩序が拡張期から成熟期への地殻変動局面にあることを示した上で、WHOがGHA全体の中で果たすべき戦略的位置付けを十分に確立できていない現状を指摘した。
を確保する制度設計の未整備、さらには国連改革やGlobal Health Architecture(GHA)の構造変化との接続不全といった課題が明らかとなった。また、識者および現場双方の分析から、財政基盤の脆弱性、事業の肥大化と優先順位付けの欠如、不透明な人事・財務運営、加盟国力学の変化、本部と地域の統治不整合といった深層的問題が確認された。加えて、WHOガバナンス会合において事務局文書の作成・公表が遅延することにより、加盟国による実質的かつ有効な審議が制約されている実態も明らかとなった。 一方、Lusaka AgendaやUN80をはじめとする多様なイニシアチブの進展により、国際保健分野は政策・資金・実施主体が競合的に展開する「百家争鳴」の様相を呈している。本研究では、このような外部環境をGHAの構造変化として整理することにより、国際保健秩序が拡張期から成熟期への地殻変動局面にあることを示した上で、WHOがGHA全体の中で果たすべき戦略的位置付けを十分に確立できていない現状を指摘した。
結論
今後のWHOガバナンスにおいては、科学的エビデンスに基づく規範的リーダーシップの確立、全体調整機能の強化、規範提示と実装調整を担う統治責任の明確化が不可欠である。また、日本としては、これらを実効的に支える観点から、戦略的統治機能の再構築、意思決定プロセスの透明化と予見可能性の向上、中核機能に基づく資源配分の徹底、ならびにGHA改革との整合的関与を柱とする関与戦略を構築する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2026-09-25
更新日
-