咽喉頭がんのリンパ節転移に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201020014A
報告書区分
総括
研究課題名
咽喉頭がんのリンパ節転移に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
斉川 雅久(独立行政法人国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 誠司(東京医科歯科大学 頭頸部外科)
  • 川端 一嘉(癌研究会有明病院 頭頸科)
  • 西嶌 渡(埼玉県立がんセンター 頭頸部外科)
  • 藤井 隆(大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科)
  • 古川 まどか(神奈川県立がんセンター 頭頸部外科)
  • 松浦 一登(宮城県立がんセンター 耳鼻咽喉科)
  • 藤本 保志(名古屋大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科)
  • 朝蔭 孝宏(東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 花井 信広(愛知県がんセンター中央病院 頭頸部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
21,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
咽喉頭がんのリンパ節転移に対する最も一般的な治療法は機能温存に主眼をおく頸部郭清術(機能温存術)であるが、機能温存術にはその開発経緯にもとづく多数の混乱が見られ、大きな施設差が存在した。これを解消するため、厚生労働科学研究費補助金前斉川班(平成14-19年度)では前向き研究を行い、術式均一化にある程度まで成功した。本研究の目的は、前研究の成果を引き継ぎ、機能温存術の均一化をより高度に推進することである。
研究方法
1)下咽頭がんおよび声門上がんに対する頸部郭清術の標準化に関する前向き研究、2)頸部郭清術の手術術式均一化に関する前向き研究、3)頸部郭清術に関する原発部位別、進展度別ガイドラインの作成、4)頸部リンパ節転移に関する画像診断基準の確立、5)化学放射線療法(CRT)後の頸部郭清術に関する検討、6)頸部郭清術講習会の開催、7)標準的頸部郭清術ビデオの英訳ならびに諸外国への配布、により頸部郭清術の標準化を目指す。
結果と考察
1)症例登録を継続し、平成23年3月11日までに175例を登録した。対照群症例調査を行い、319例を集積した。
2)頸部郭清術手順指針(案)第4稿を作成した。複雑な外科手術の多施設間における均一化というあまり前例のない試みに成功したことを国際学会および論文にて発表した。
3)日本頭頸部癌学会診療ガイドライン検討委員会の中で作業を進めた結果、同委員会により本研究班の作成したガイドライン案の「頭頸部癌診療ガイドライン改訂版」への掲載が承認された。
4)5種類のCT所見に点数付けを行いその合計点により転移の有無を判断するCT scoring systemを考案した。多施設共同研究「超音波検査による頭頸部癌頸部リンパ節転移診断基準の有効性に関する検討」を実施に移し、15例を登録した。
5)CRT後に頸部郭清術の必要性を検討する際の画像診断基準に関する予備研究「化学放射線療法後の頸部郭清に関する検討」を実施に移し、予定症例数20例の登録を完了した。
6)第4回頸部郭清術講習会を開催し、134名の参加を得た。本年度も講習会全体をビデオ収録し、これをDVDにまとめ、復習用教材として希望者に配布した。
7)標準的頸部郭清術ビデオにつき、オリジナル日本語版および英訳版の配布に努めた。
結論
下咽頭がんおよび声門上がんを対象として術式均一化の更なる推進を目指す新たな前向き研究の症例登録を継続し、175例を登録した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

文献情報

文献番号
201020014B
報告書区分
総合
研究課題名
咽喉頭がんのリンパ節転移に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
斉川 雅久(独立行政法人国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 誠司(東京医科歯科大学 頭頸部外科)
  • 川端 一嘉(癌研究会有明病院 頭頸科)
  • 西嶌 渡(埼玉県立がんセンター 頭頸部外科)
  • 藤井 隆(大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科)
  • 古川 まどか(神奈川県立がんセンター 頭頸部外科)
  • 松浦 一登(宮城県立がんセンター 耳鼻咽喉科)
  • 藤本 保志(名古屋大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科)
  • 朝蔭 孝宏(東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 花井 信広(愛知県がんセンター中央病院 頭頸部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
咽喉頭がんのリンパ節転移に対する最も一般的な治療法は機能温存に主眼をおく頸部郭清術(機能温存術)であるが、機能温存術にはその開発経緯にもとづく多数の混乱が見られ、大きな施設差が存在した。これを解消するため、厚生労働科学研究費補助金前斉川班(平成14-19年度)では前向き研究を行い、術式均一化にある程度まで成功した。本研究の目的は、前研究の成果を引き継ぎ、機能温存術の均一化をより高度に推進することである。
研究方法
1)下咽頭がんおよび声門上がんに対する頸部郭清術の標準化に関する前向き研究、2)頸部郭清術の手術術式均一化に関する前向き研究、3)頸部郭清術に関する原発部位別、進展度別ガイドラインの作成、4)頸部リンパ節転移に関する画像診断基準の確立、5)化学放射線療法(CRT)後の頸部郭清術に関する検討、6)頸部郭清術講習会の開催、7)標準的頸部郭清術ビデオの英訳ならびに諸外国への配布、により頸部郭清術の標準化を目指す。
結果と考察
1)下咽頭がんおよび声門上がんを対象として術式均一化の更なる推進を目指す新たな前向き研究を立案した。平成21年6月1日から症例登録を開始し、平成22年度末までに175例を登録した。
2)追跡調査を完了し、本研究を完了した。複雑な外科手術の多施設間における均一化というあまり前例のない試みに成功したことを国際学会および英文論文にて発表した。
3)日本頭頸部癌学会診療ガイドライン検討委員会の中で作業を進めた結果、同委員会により本研究班の作成したガイドライン案の「頭頸部癌診療ガイドライン改訂版」への掲載が承認された。
4)CT scoring systemを考案した。多施設共同研究「超音波検査による頭頸部癌頸部リンパ節転移診断基準の有効性に関する検討」を実施に移し、15例を登録した。
5)CRT後に頸部郭清術の必要性を検討する際の画像診断基準に関する予備研究「化学放射線療法後の頸部郭清に関する検討」を実施に移し、予定症例数20例の登録を完了した。
6)頸部郭清術講習会を年1回開催し、多数の参加を得た。参加者にはとても好評であった。
7)標準的頸部郭清術ビデオの英訳版を作成し、アジア地域11カ国15名の高名な頭頸部外科医に無料提供した。
結論
下咽頭がんおよび声門上がんを対象として術式均一化の更なる推進を目指す新たな前向き研究について、平成21年6月1日から症例登録を開始し、平成22度末までに175例を登録した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201020014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
頸部郭清術の術式均一化に関する前向き研究を実施し、協力施設間における術式細部の均一化にある程度成功した。外科手術の術式細部を多施設間で均一化するという試みはあまり前例のないものであるが、手術療法の将来を考える上で、貴重な方法論を提示できたと考える。しかし均一化はまだまだ不十分であるため、下咽頭がんおよび声門上がんを対象とする新たな前向き研究を実施した。これにより、術式均一化を更に推進すると同時に、均一化の基盤となるエビデンスも集積することができた。
臨床的観点からの成果
術式均一化に関する前向き研究で得られた調査票を解析し、施設差の認められた術式細部について協力施設間で意見調整を行い、頸部郭清術手順指針(案)を作成した。平成22年度に最終解析結果に基づく改訂を加え、手順指針(案)第4稿とした。本手順指針(案)は、頸部郭清術を実施する上で重要となる術式細部の一つ一つについて、標準的と考えられる処理方法を詳述したもので、多くの医師に役立つものと考える。治療前診断の正確性を高める目的で、頸部リンパ節転移の画像診断基準案(CT検査用、超音波検査用)を作成した。
ガイドライン等の開発
平成14-16年度に作成した「舌がん、下咽頭がん、声門上がん、および中咽頭がんの頸部リンパ節転移に対する治療ガイドライン」案に検討を加え、エビデンスの追加を行った。その成果が評価され、日本頭頸部癌学会診療ガイドライン委員会に本研究班メンバー6名が指名された。平成22年度から同委員会の中で作業を進め、平成25年6月に発行された「頭頸部癌診療ガイドライン2013年版」に本研究班が作成したガイドライン案の一部を掲載した。
その他行政的観点からの成果
頸部郭清術手順指針(案)を作成したが、改訂を繰り返し内容を充実させることにより、頸部郭清術の術式均一化をわが国全体に普及させる効果があるものと考えている。平成19年度に手順指針(案)に沿った標準的頸部郭清術をわかりやすく解説するビデオを作成し、平成20年度にその英訳版を作成して、国内外に広く配布した。さらに、頸部郭清術講習会を平成19年度から毎年1回開催し、日本全国からの参加者に本研究の成果を詳しく伝えた。これらの活動を継続することにより、術式均一化をさらに広めていきたいと考えている。
その他のインパクト
平成19年12月1日、平成20年12月6日、平成21年12月12日、平成22年12月4日の4回、専門分野研究者研修会「頸部郭清術講習会」を開催し、日本全国から若手耳鼻咽喉科医を中心とする多数の参加を得た(第1回 175名、第2回 165名、第3回 156名、第4回 134名)。講演、質疑応答、頸部郭清術手順指針(案)配布、および標準的頸部郭清術ビデオ(DVD)配布を通して本研究班の研究成果を詳しく伝え、参加者にはとても好評であった。

発表件数

原著論文(和文)
35件
原著論文(英文等)
15件
その他論文(和文)
15件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
84件
学会発表(国際学会等)
15件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
平成25年6月発行の「頭頸部癌診療ガイドライン2013年版」に、本研究班が作成した頸部リンパ節転移に対する治療ガイドライン案の一部が掲載された。
その他成果(普及・啓発活動)
4件
専門分野研究者研修会「頸部郭清術講習会」を4回開催した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ando M, Asakage T, Saikawa M, et al.
Metastatic neck disease beyond the limits of a neck dissection: attention to the 'para-hyoid' area in T1/2 oral tongue cancer
Jpn J Clin Oncol , 39 (4) , 231-236  (2009)
10.1093/jjco/hyp001
原著論文2
Kamiyama R, Saikawa M, Kishimoto S
Significance of retropharyngeal lymph node dissection in hypopharyngeal cancer
Jpn J Clin Oncol , 39 (10) , 632-637  (2009)
10.1093/jjco/hyp080
原著論文3
松浦一登, 浅田行紀, 西條茂, 他
喉頭温存・下咽頭喉頭部分切除術における切除範囲と再建法について
頭頸部外科 , 19 (2) , 111-118  (2009)
原著論文4
Saikawa M, Kishimoto S
Standardizing the extent of resection in nonradical neck dissections: the final report of the Japan Neck Dissection Study Group prospective study
Int J Clin Oncol , 15 (1) , 13-22  (2010)
10.1007/s10147-009-0016-2
原著論文5
Hasegawa Y, Saikawa M
Update on the classification and nomenclature system for neck dissection: revisions proposed by the Japan Neck Dissection Study Group
Int J Clin Oncol , 15 (1) , 5-12  (2010)
10.1007/s10147-009-0019-z
原著論文6
Nibu K, Kawabata K, Saikawa M, et al.
Quality of life after neck dissection: a multicenter longitudinal study by the Japanese Clinical Study Group on Standardization of Treatment for Lymph Node Metastasis of Head and Neck Cancer
Int J Clin Oncol , 15 (1) , 33-38  (2010)
10.1007/s10147-009-0020-6
原著論文7
Ogawa T, Matsuura K, Saijo S, et al.
Survival of a free jejunal graft after the resection of its nutrient vessels
Auris Nasus Larynx , 37 (1) , 125-128  (2010)
10.1016/j.anl.2008.12.008
原著論文8
丹生健一,川端一嘉,斉川雅久,他
頭頸部がんの頸部リンパ節転移に対する標準的手術法の確立に関する研究-頸部郭清術の後遺症調査-
頭頸部癌 , 36 (1) , 82-88  (2010)
原著論文9
花井信広,古川まどか,斉川雅久,他
化学放射線療法後の頸部郭清に関する検討-feasibility study-
頭頸部外科 , 22 (2) , 233-240  (2012)
原著論文10
藤井隆,吉野邦俊,鈴木基之,他
咽喉頭癌における選択的頸部郭清術
頭頸部癌 , 39 (4) , 411-416  (2013)
原著論文11
Hanai N, Kawakita D, Ozawa T, et al.
Neck dissection after chemoradiotherapy for oropharyngeal and hypopharyngeal cancer: the correlation between cervical lymph node metastasis and prognosis
Int J Clin Oncol , 19 (1) , 30-37  (2014)
10.1007/s10147-013-0518-9

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-10-06

収支報告書

文献番号
201020014Z