OECDのSHA手法に基づく保健医療支出推計の政府統計化に向けた推計方法の改善のための研究

文献情報

文献番号
202501017A
報告書区分
総括
研究課題名
OECDのSHA手法に基づく保健医療支出推計の政府統計化に向けた推計方法の改善のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25AA2001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
竹沢 純子(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
  • 横山 真紀(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
  • 新杉 知沙(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
  • 井伊 雅子(一橋大学大学院 経済学研究科)
  • 小島 克久(城西国際大学 福祉総合学部)
  • 河村 絢也(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
  • 木村 剛(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
  • 矢野 正枝(人事院 公平審査局第4課)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
OECDの A System of Health Accounts(SHA)は、国際的に合意された保健医療支出に関する勘定体系である。同体系に基づく保健医療支出統計は、各国の保健医療支出の規模や構造を国際比較する上で重要な統計である。わが国では、一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構(IHEP)が同統計を推計し、OECDに提出している。
SHAに基づく保健医療支出統計は、厚生労働省「国民医療費」よりも対象範囲が広く、医療に加え、介護、予防等を含む保健医療サービス・医療財に係る公的・私的支出を対象とする。同統計の政府統計化に向けた検討が、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)に明記された。
これを踏まえ、本研究では、わが国におけるこれまでのSHA推計の経緯や方法を参照しつつ、SHA基準に照らして推計対象、分類および推計方法を検討し、試算を行うとともに、海外事例を通じて推計・公表体制や利活用等に関する課題を整理し、わが国における政府統計化に向けた示唆を得ることを目的とした。
研究方法
わが国におけるこれまでのSHA推計の経緯や推計方法、OECDのSHAマニュアル等の文献を整理・分析するとともに、研究会・ワークショップや海外調査を通じて、国内外の有識者および関係機関から情報提供・助言を得た。これらを踏まえ、SHA基準に照らして推計対象、分類および推計方法を検討し、2023年度のHC(機能別分類)の経常保健医療支出を試算した。
また、オーストラリア、韓国、フランスへのヒアリングおよび台湾の事例分析を行い、各国におけるSHA統計の位置付け、作成・公表体制、品質管理、利活用等を比較した。
結果と考察
2023年度の経常保健医療支出は約68兆円と試算された。HC分類別では、HC.1診療サービス35.6兆円、HC.2リハビリテーションケア2.1兆円、HC.3長期ケア13.6兆円、HC.4補助的サービス0.4兆円、HC.5医療財12.6兆円、HC.6予防3.0兆円、HC.7管理運営1.0兆円であった。なお、試算値は暫定値であり、今後変更の可能性がある。
推計方法については、長期ケア、リハビリテーション、予防、医療財等について、SHAの定義に照らして国内統計・行政データとHC分類との対応関係を整理し、推計方法を検討した。一方、私的支出の把握、障害福祉サービスに含まれる保健医療と福祉の費用の区分、複数の機能を有する補助金・交付金等の分類には、引き続き検討すべき課題が残された。
海外事例からは、政府統計化に当たり、作成主体の位置付けに加え、品質管理、推計方法の公表、利活用等を含む一連の制度設計が重要であることが示唆された。また、SHA統計と国内統計との関係は国によって異なることが確認された。韓国では、SHA統計を国際比較と国内分析に用いる仕組みとなっていた。一方、オーストラリアおよびフランスでは、国内分析に活用する独自の保健医療支出統計を作成・公表するとともに、これを基盤としてSHA基準に沿った統計を作成し、国際機関に提供することで国際比較にも対応していた。
結論
本研究では、SHA2011および関連ガイドラインに基づき、2023年度の経常保健医療支出を試算するとともに、国際基準との整合性および国際比較可能性の向上に向けた推計方法を整理した。また、海外事例の比較を通じて、政府統計化に向けた制度上の課題と体制整備の方向性を整理した。
一方、本研究では主としてHC(機能別分類)の推計方法を検討しており、HF(財源制度別分類)およびHP(提供者別分類)については今後の検討課題として残されている。SHA統計では、HCに加えてHF・HPの集計も求められることから、今後、これらの推計方法を具体化する必要がある。
さらに、NDBや障害福祉データベース等の行政データの活用により、推計方法のさらなる精緻化と推計精度の向上が期待される。政府統計化に向けては、有識者や利用者の意見を反映する仕組みや推計手法書の継続的な更新等、統計の品質を確保・向上する方法を検討する必要がある。あわせて、国民医療費等の既存統計との役割分担や利用者のニーズを踏まえ、実施主体のあり方を含め、継続的かつ安定的な作成・公表に必要な体制について検討を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2026-08-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-08-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202501017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
令和6年の骨太方針で指摘されたSHA保健医療支出統計の政府統計化に向け、本研究では現行推計方法に関する情報を収集・整理し、改善に向けた検討と試算を実施した。暫定的な結果として、総保健医療支出は現行推計値を上回る可能性が示された。SHA統計は医療政策立案や医療経済研究の基礎統計であり、本研究の成果は同統計の精度向上に資するとともに、保健医療支出のより正確な把握と国際比較研究の発展に貢献するものである。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
本研究では、SHA保健医療支出統計の政府統計化に向けて、現行の推計方法に関する情報収集を進めるとともに、推計方法の検討・試算を実施し、あわせて制度的課題の整理を行った。SHA統計は、日本の保健医療支出を国際比較の観点から把握し、我が国の医療制度の特徴を相対的に評価するための重要な基礎統計であり、厚生労働行政においても重要な役割を担っている。本研究の成果は、令和6年の骨太方針で求められたSHA統計の政府統計化の早期実施に向けた基盤整備に貢献するものである。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-08-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202501017Z