癌医療におけるグレリンの包括的QOL改善療法の開発研究

文献情報

文献番号
201019051A
報告書区分
総括
研究課題名
癌医療におけるグレリンの包括的QOL改善療法の開発研究
課題番号
H22-3次がん・一般-034
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中里 雅光(宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病研究センター研究所)
  • 土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座消化器外科学 )
  • 児島 将康(久留米大学 分子生命科学研究所 遺伝子情報研究部門)
  • 仲地 耕平(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病研究センター研究所 研究開発基盤センター 臨床検査部)
  • 松元 信弘(宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗癌剤治療によるQOL低下に対するグレリンの臨床応用とグレリンの作用を分子レベルで解析することを目的とした。
研究方法
1.進行肺癌患者における内因性グレリンの意義、2.進行膵臓癌患者における内因性グレリンの意義、3.食道癌に対するグレリンの臨床応用、4.グレリン欠損動物における癌関連遺伝子の発現、5.進行癌モデル動物の確立について検討した。
結果と考察
1.肺癌患者における血漿アシルグレリンは15.3±6.2 fmol/ml、血漿デスアシルグレリンは75.4±23.1 fmol/ml、血漿総グレリンは90.7±28.8 fmol/mlであった。血漿デスアシルグレリン、総グレリン値は健常者に比して肺癌患者で有意に高値であった。化学療法で体重が減少した患者を検討すると治療後に血漿アシルグレリン濃度が上昇していた。
2.膵臓癌患者における血漿デスアシルグレリンの平均値は65.5±54.4 fmol/mでCRPと正の相関関係、ヘモグロビンと負の相関関係を認め、PS低下例ほど血漿デスアシルグレリン濃度は高値であった。
3.化学療法を施行する食道癌患者にグレリンを投与するランダム化比較第Ⅱ相試験のプロトコールを作成し、臨床試験に着手した。
4.肝臓ではangiogeninとgastrokine 2発現が上昇し、Jun発現が低下した。胃でprominin 1上昇、白色脂肪組織でmetastasis associated lung adenocarcinoma transcript 1上昇を認めた。
5.癌抑制遺伝子欠損マウスに化学発癌剤を投与し、5ヶ月後のマウス肺を解析した結果、94%に多発肺腺癌の発生を確認した。
結論
進行肺癌と進行膵臓癌患者では癌の進展に伴うカヘキシアや抗癌剤化学療法の施行によって内因性グレリン産生が増加していた。これらの患者ではグレリン投与により、全身状態や抗癌剤副作用の軽減が期待される。術前化学療法を行う食道癌患者ではグレリン投与のランダム化プラセボコントロール比較第Ⅱ相試験を計画し、症例集積を開始した。グレリン投与に関連した重篤な有害事象は生じておらず、順調に進捗している。基礎研究では、グレリン欠損により細胞の分化増殖に関与するいくつかの遺伝子変化が認められたが、その意義については今後の検討がさらに必要である。また、進行肺癌として有用な動物モデルを確立した。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
47,861,000円
(2)補助金確定額
47,861,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-09-05
更新日
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