がん検診に有用な腫瘍マーカーの開発

文献情報

文献番号
201019009A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診に有用な腫瘍マーカーの開発
課題番号
H21-3次がん・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がん研究センター研究所 化学療法部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 格(国立がん研究センター研究所創薬プロテオーム研究分野)
  • 関根 茂樹(国立がん研究センター研究所分子病理分野)
  • 佐藤 雄一(北里大学医療衛生学部臨床検査学教室・同大学理学部附属疾患プロテオミクスセンター)
  • 菊池 正二郎(兵庫医科大学外科学講座)
  • 島原 政司(大阪医科大学感覚器機能形態医学講座口腔外科学教室)
  • 弦間 昭彦(日本医科大学内科学(呼吸器・感染症・腫瘍部門))
  • 藤田 茂之(和歌山県立医科大学口腔顎顔面外科学講座)
  • 土田 明彦(東京医科大学外科)
  • 中森 正二(国立病院機構大阪医療センター)
  • 井岡 達也(大阪府立成人病センター検診部)
  • 八木原一 博(埼玉県立がんセンター歯科口腔外科)
  • 西 洋孝(東京医科大学産科婦人科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
68,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
検診のプレスクリーニングに応用できるような新規の血液腫瘍マーカーを開発することを目的として研究を行った。精密ながん検診を行うべき症例を、検診者の負担が少ない簡易な方法により効率良く絞ることが出来れば、がんの早期発見・治療成績の向上につながると考えられる。
研究方法
【プロテオーム解析に特化した血清・血漿バンクの構築】
多施設共同研究により膵がん、胃がん、大腸がん、肝細胞がんなどの消化器がん患者、鑑別疾患の対象となる良性疾患患者、および健常者より血漿・血清検体を同一の採血・保存方法で約1500例を越す血清・血漿検体を収集し、腫瘍マーカーの探索・検証に使えるよう整備した。

【新規プロテオーム解析基盤技術の開発】
1.血漿タンパク質の網羅的解析技術の確立
2.血漿タンパク質マイクロアレイ技術の確立
結果と考察
【新規プロテオーム解析技術で同定した腫瘍マーカー】
1.高分解能質量分析による膵がん患者の血漿タンパク質プロファイル
2.血漿フィブリノーゲンの翻訳後修飾
3.大腸がんの新規腫瘍マーカーの開発
4.中空糸膜による前処理を用いた定量質量分析による膵がんの新規腫瘍マーカーの開発
5.高密度アレイによる新規膵がん腫瘍マーカーの探索
6.早期大腸がん症例における血清中ダーモカインの解析
結論
臨床検体のプロテオーム解析を行う場合は、その検体の採血、保存方法で、結果は大きく左右される。今回われわれは日本全国の地理的に異なる計7施設から同一の方法で検体を前向きに採取して輸送・保存した検体を用いことにより、バイアスのないより信頼性の高い腫瘍マーカーが得られたものと思う。今後症例数を増やして解析するとともに、より汎用性の高いがん検診に応用可能な血液診断法を開発するため、新たな腫瘍マーカーの探索が必要である。

膵がん、大腸がんで早期症例の検出が可能で検診応用可能性のある腫瘍マーカーの候補が得られた。遠隔地を含む大小規模に係らず全国のどの医療施設でも、被験者の負担が少なく、非浸襲的に得られる血清あるいは血漿を検体に用い、精密検診を行うべき症例を効率良く絞ることができれば、安全にがんの早期発見率を向上させるのみならず、検診費用の削減や地方への均てん化も期待できる。また、国際がんバイオマーカーコンソーシアム(ICBC, International Cancer Biomarker Consortium)へ参加する唯一の日本チームとして活動し、国際的にも評価が得られた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019009Z