大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価

文献情報

文献番号
201019001A
報告書区分
総括
研究課題名
大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価
課題番号
H20-3次がん・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診技術開発部)
  • 西野 克寛(市立角館総合病院 脳神経外科学)
  • 石田 文生(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
  • 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
37,191,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
便潜血検査(FOBT)に大腸内視鏡検査(TCS)を組み入れた、次世代の大腸がん検診プログラムの有効性(死亡率減少効果)を検証する。また、実態が不明なTCS検診の不利益(偶発症等)をモニターし、将来の対策型検診としての検討のためにリスクを検証する。
研究方法
秋田県仙北市で研究参加に応諾した40~74歳の男女を対象に、FOBTにTCSを併用する介入群と、TCSを併用しない対照群に個人別無作為割付し、ランダム化比較試験(RCT)を行う。プライマリ・エンドポイントとして大腸がん死亡率、セカンダリ・エンドポイントとして大腸がんに対する感度・特異度、累積進行がん罹患率、不利益を両群で比較する。
本年度は、リクルートと検診を累計5,000例を目標として実施した。また、「大腸がん撲滅キャンペーン」等の参加率向上のための取り組みを行った。
結果と考察
市の住民基本健診受診者を中心に、年間を通じてリクルートを行った。参加者は平成22年度末時点で2,491名となった。データモニタリング(2010.11.25時点)の結果、2群へのランダム割付は順調に行われていた。
参加者増加のための以下の各種試みを実施した。市内の主要34事業所に働きかけを行い、直接確認が出来ている部分だけでも46人の参加があった。地元の各種集会22件に研究スタッフが同行して研究事業説明会を実施し、平均5-6人がFOBTキットを持ち帰った。平成22年11月からは市当局と連携して大腸がん撲滅キャンペーンを本格的に実施した。
平成23年度4月から研究実施を隣接の大仙市(40-74歳人口47,000人)に拡大する為の各種体制構築を行った。
本研究は死亡率をエンドポイントとしたがん検診RCTとしてはわが国初めてのものであり、かつTCSのRCTとしては世界に先駆けるものである。本研究の重要性は高く、最終結果が得られるように研究を進めていくべきと考えられる。
結論
リクルート2年目となる平成22年度は、参加者リクルート、検診実施、精検・治療情報の収集を行った。また、市による大腸がん撲滅キャンペーンの実施、研究促進ボランティア活動、職域への直接のアプローチ、等々の参加促進活動当を行った。平成22年度末時点の累計参加者は2,491名となった。
平成23年度より隣接の大仙市へ募集を拡大する事を決定し、その為の体制構築を行った。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201019001B
報告書区分
総合
研究課題名
大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価
課題番号
H20-3次がん・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診技術開発部)
  • 西野 克寛(市立角館総合病院 脳神経外科学)
  • 石田 文生(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
  • 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
便潜血検査(FOBT)に大腸内視鏡検査(TCS)を組み入れた、次世代の大腸がん検診プログラムの有効性(死亡率減少効果)を検証する。また、実態が不明なTCS検診の不利益(偶発症等)をモニターし、将来の対策型検診としての検討のためにリスクを検証する。
研究方法
秋田県仙北市で研究参加に応諾した40~74歳の男女を対象に、FOBTにTCSを併用する介入群と、TCSを併用しない対照群に個人別無作為割付し、ランダム化比較試験(RCT)を行う。プライマリ・エンドポイントとして大腸がん死亡率、セカンダリ・エンドポイントとして大腸がんに対する感度・特異度、累積進行がん罹患率、不利益を両群で比較する。
H20年度に研究デザインの作成と体制の構築を行い、H21,22年度は、リクルートと検診を累計5,000例を目標として実施した。また、各種参加率向上のための取り組みを行った。
結果と考察
市の住民基本健診受診者を中心にリクルートを行い、参加者はH22年度末時点で2,491名となった。定期的にデータモニタリングを実施し、2群へのランダム割付が順調に行われている事を確認した。
H21年度には地域住民への受診行動調査を行い、各種思い込みによる大腸がん検診未受診、及び研究への不参加理由が明確になった。それらの知見を元に、H22年度には市による大腸がん撲滅キャンペーン等の参加促進活動を実施し、一定の効果を得た。また、H23年度より隣接の大仙市へ募集を拡大する事が決定し、その為の体制構築を行った。
本研究は死亡率をエンドポイントとしたがん検診RCTとしてはわが国初めてのものであり、かつTCSのRCTとしては世界に先駆けるものである。本研究の重要性は高く、最終結果が得られるように研究を進めていくべきと考えられる。
結論
検診TCS評価の為の大腸がん検診RCTを設計し、参加者リクルート、検診実施、精検・治療情報の収集を行った。また、住民の受診行動調査を実施し、検診未受診・研究不参加の理由を明確にし、各種の参加促進活動当を行った。平成22年度末時点の累計参加者は2,491名となった。
平成23年度より隣接の大仙市へ募集を拡大する事を決定し、その為の体制構築を行った。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201019001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)全大腸内視鏡検査(TCS)による大腸がん検診の有効性評価のRCTを開始し、5,013名の検診・精検・治療のデータを回収した。死亡率を第一エンドポイント(EP)としたがん検診RCTは本邦初でありRCT体制整備・実施に関する基礎的知見が得られた。
(2)EPのデータはまだ分析対象とできないが、研究実施に関する知見は本邦に於ける今後のがん検診RCT実施の際の基礎資料となる。
国際的に注目度が高い検診TCSの有効性と不利益のエビデンス提示の基礎が築かれた。
臨床的観点からの成果
(1)一般住民対象の検診TCSを1,826件実施した。検診時の偶発症はなく、苦痛も少なく、対策型検診としてのTCS 検診の実行可能性が示唆された。
(2)定量的苦痛評価からTCS検診の実行可能性が示唆された。平均的リスク集団を対象とし、いわゆる平坦・陥凹型大腸がんをEP(第2EP)に含めた研究は初めてで、その臨床的意義の指標となる知見が期待できる。最終的には有効性の他、不利益や全く知見のないTCS検診での過剰診断の割合の推定が期待され、対策型検診としての適否判断の直接的根拠が示される。
ガイドライン等の開発
本研究班内で直接ガイドライン等の作成に資する結果は得られないが、最終的な本研究の結果(TCS検診による大腸がん死亡率減少の有無)が出された際には、本邦の大腸がん検診ガイドラインのみならず、世界の大腸がん検診ガイドライン作成の際に推奨決定の根拠となるエビデンスを与える。
その他行政的観点からの成果
第一EPの死亡率減少効果と第二EPの不利益の定量的データは大腸がん検診法改訂の根拠となり、大腸がん死亡率減少に大きく貢献しうる。また中期的に得られる第二EPの感度等に関する成績も検診法検討の資料となる。わが国で遅れている科学的根拠に基づく施策実施の範例の基礎を作りうる。さらに本研究は対象地域(秋田県仙北市、大仙市)の受診率向上、精度管理向上のための体制を構築して行っており、がん対策推進基本計画実施のモデルとなりうる。
その他のインパクト
研究参加のみならず、がん検診自体への意識を底上げする目的で、市当局やNPOと連携して『大腸がん撲滅キャンペーン』の実施、及びその周知の為のマテリアルを作成し、市民を対象としたイベントを2回実施した。地域住民へは市の広報を通じた広報も定期的に行っている。
また、市民有志約30名によるがん撲滅推進ボランティアを組織し、地域に密着した草の根活動も進めており、これら有志や地域の保健協力員数百名を対象に研修会・講演会を総計20回以上実施した。研究地域や県内において大腸がんに対する意識啓発が進んでいる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
2009.11.UEGW/2010.10.JDDW/2010.11.大腸検査学会/2011.5.消化器がん検診学会
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
仙北市市民健康講座

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-10-05

収支報告書

文献番号
201019001Z