文献情報
文献番号
201018028A
報告書区分
総括
研究課題名
女性生殖器における妊孕能の客観的な評価法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-子ども・若手-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉野 修(東京大学 産婦人科)
研究分担者(所属機関)
- 大須賀 穣(東京大学 産婦人科)
- 堀 正明(順天堂大学 放射線科)
- 浜谷 敏生(慶応大学 産婦人科)
- 阿部 宏之(山形大学 工学部)
- 小辻 文和(福井大学 産婦人科)
- 浅田 弘法(慶応大学 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
不妊治療のニーズが高まる中、生殖機能の客観的な評価法が確立しているとは言い難く、このことが不妊治療の方針が定まらない原因と思われる。客観的なスクリーニング法を確立することが効率のよい治療法の提示および妊娠率向上に寄与すると思われる。本研究ではできるだけ非侵襲的で簡便な検査法を導く。
研究方法
1).卵巣機能評価方法 2).卵子・胚の評価 3).子宮内膜の評価にわけ、新たな不妊症検査の確立をめざす。1).に関して、申請者は卵巣由来のサイトカインに関して研究を行ってきた。同サイトカインの血中濃度測定が卵巣機能を直接反映する指標に成り得るか探索する。2).近年、胚の代謝や呼吸活性を測定することで、胚の質を客観的に評価することが動物実験レベルで明らかになってきているが、ヒト胚を用いた研究は殆ど報告がなく、データの蓄積が必要である。3).近年MRIにより子宮内膜の動きを客観的に評価するCineMRI法が報告されているが、同検査を不妊症に対して使用した報告はない。本研究を通じて胚の着床に適した子宮内膜蠕動に関するい知見を深め、不妊症検査へ結び付けたい。
結果と考察
1)卵巣機能評価 ヒトにおけるBone Morphogenetic Protein (BMP)サイトカインの卵巣における網羅的な検討を行い、BMPサイトカインが卵巣機能に重要であることを明らかにした。近年、ヒト卵巣機能の指標としてAMH(anti mullerian hormone)サイトカインが注目されている。我々はAMHがBMPサイトカインにより正に制御されていることを明らかにした。ヒト血液中のAMH, BMPサイトカインを測定することで、卵巣の生殖能力を示す指標に関して検討を行うことができた。
2). 胚・卵子の選別法:胚の新たな選別方法として、胚の酸素消費量測定を、走査型電気化学顕微鏡をベースに開発した「胚・卵子呼吸測定装置」を用いて調べた。マウスおよびヒトを用いた検討で、同法がミトコンドリアの機能を反映し胚の選別に有用であることを示すことができた。
3).子宮内膜の評価法:我々は子宮筋腫が不妊症に与える影響についてMRIを用いて検討を行った。動画MRIを用いた検討では、子宮筋腫により誘導される子宮内膜の異常蠕動運動が、妊娠を妨げる要因になっていることを示した。また、子宮筋腫の存在により、子宮内膜が炎症状態に陥っており、このことが妊娠の妨げになっていることをMRIによるT2値測定により示すことができた。
2). 胚・卵子の選別法:胚の新たな選別方法として、胚の酸素消費量測定を、走査型電気化学顕微鏡をベースに開発した「胚・卵子呼吸測定装置」を用いて調べた。マウスおよびヒトを用いた検討で、同法がミトコンドリアの機能を反映し胚の選別に有用であることを示すことができた。
3).子宮内膜の評価法:我々は子宮筋腫が不妊症に与える影響についてMRIを用いて検討を行った。動画MRIを用いた検討では、子宮筋腫により誘導される子宮内膜の異常蠕動運動が、妊娠を妨げる要因になっていることを示した。また、子宮筋腫の存在により、子宮内膜が炎症状態に陥っており、このことが妊娠の妨げになっていることをMRIによるT2値測定により示すことができた。
結論
現行の方法よりもより具体的、客観的な評価法を導くことができた。
公開日・更新日
公開日
2011-09-14
更新日
-