文献情報
文献番号
201018026A
報告書区分
総括
研究課題名
望まない妊娠防止対策に関する総合的研究
課題番号
H22-次世代・指定-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
竹田 省(順天堂大学医学部 産科婦人科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 北村 邦夫(社団法人日本家族計画協会 家族計画研究センター)
- 中村 好一(自治医科大学医学部 公衆衛生学教室)
- 安達 知子(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班では、①人工妊娠中絶の実態に関する最新データの把握、②反復中絶を防止するためのカウンセリング技術の開発、③世界で開発されている最新避妊法ならびに薬物を用いた人工妊娠中絶導入への可能性を探ることなどを目的に実施した。
研究方法
わが国唯一ともいえる性意識・性行動調査「男女の生活と意識に関する調査」を実施するにあたり、調査機関設置の倫理委員会において調査内容・方法を審議・許可を得た。調査は、わが国の16歳から49歳の男女3000人について層化二段無作為抽出法によって対象者を抽出し、調査員の訪問留置回収という手法で実施した。また、中絶後の避妊指導に熱心な施設の長を研究協力者として反復中絶を回避するための方策を検討するとともに、「おとなむけ」「こどもむけ」小冊子作成に向けて検討した。新しい避妊法については、先行研究についての文献を収集した。
結果と考察
今回の調査の有効回答数は1,540件。結果、わが国女性の中絶経験率は15.5%。そのうち反復中絶が35.6%と高率であることが明らかとなった。また中絶を繰り返す女性の特徴として、中学生の頃までの家庭環境の問題、学校で性教育や避妊教育を受ける機会が少ない、飲酒・喫煙の頻度が高いなどが浮き彫りされた。このような結果を踏まえて、反復中絶を回避するための冊子、「中学生・高校生の思春期向け」と「一般成人女性向け」の2部作を作成した。特に、中学生・高校生向けの小冊子では、マンガ形式を採用してより読みやすい物となった。
結論
1.中絶実施率が減少しているとはいえ、わが国女性の15.5%が中絶を経験し、その35.5%が中絶を繰り返している現状を踏まえると、家族計画・避妊指導が依然として重要であることに異論を挟む余地はない。
2.100%確実な避妊法が存在しない以上、人工妊娠中絶をゼロにはできないが、反復中絶を回避させる更なる努力が求められる。女性が主体的に取り組める避妊法の普及啓発、世界で広く使われている新しい避妊法のわが国への導入、器械的方法によらない中絶薬の開発などが期待される。
3.反復中絶女性には、義務教育までに性教育や避妊教育などの学習機会がないこと、喫煙、飲酒など生活習慣の問題が明らかにされた。これらの問題を解決するためには公教育の役割が極めて大きいことから、厚生労働省・文部科学省が協力し合いながら反復中絶減少を目指す努力が求められている。
4.産みたいときに産む、産めないときには確実な避妊を実行する。これこそが望まない妊娠の防止、児童虐待の防止、少子化対策への有効なメッセージであると確信している。
2.100%確実な避妊法が存在しない以上、人工妊娠中絶をゼロにはできないが、反復中絶を回避させる更なる努力が求められる。女性が主体的に取り組める避妊法の普及啓発、世界で広く使われている新しい避妊法のわが国への導入、器械的方法によらない中絶薬の開発などが期待される。
3.反復中絶女性には、義務教育までに性教育や避妊教育などの学習機会がないこと、喫煙、飲酒など生活習慣の問題が明らかにされた。これらの問題を解決するためには公教育の役割が極めて大きいことから、厚生労働省・文部科学省が協力し合いながら反復中絶減少を目指す努力が求められている。
4.産みたいときに産む、産めないときには確実な避妊を実行する。これこそが望まない妊娠の防止、児童虐待の防止、少子化対策への有効なメッセージであると確信している。
公開日・更新日
公開日
2011-09-14
更新日
-