自己抗体陽性女性の妊娠管理指針の作成及び新生児ループスの発症リスクの軽減に関する研究

文献情報

文献番号
201018021A
報告書区分
総括
研究課題名
自己抗体陽性女性の妊娠管理指針の作成及び新生児ループスの発症リスクの軽減に関する研究
課題番号
H22-次世代・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
村島 温子(独立行政法人国立成育医療研究センター病院 母性医療診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎 芳成(順天堂大学膠原病内科)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 岸本 暢将(聖路加国際病院アレルギー膠原病科)
  • 中山 雅弘(大阪府立母子保健総合医療センター検査科)
  • 和栗 雅子(大阪府立母子保健総合医療センター母性内科)
  • 和氣 徳夫(九州大学婦人科産科学)
  • 堀米 仁志(筑波大学大学院人間総合科学研究科患制御医学専攻小児内科学)
  • 前野 泰樹(久留米大学小児科学)
  • 林  聡(独立行政法人国立成育医療研究センター病院 胎児診療科)
  • 左合 治彦(独立行政法人国立成育医療研究センター病院 周産期診療部)
  • 山岸 良匡(筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻社会健康医学)
  • 山口 晃史(独立行政法人国立成育医療研究センター病院 母性医療診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,421,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗SS-A抗体陽性妊娠例から新生児ループス、特に心ブロック(CHB)を発症するリスクを同定すること、発症予防のための治療介入の是非、早期診断法、発症時の治療介入の是非などについて明らかし、自妊娠管理指針の作成することを目的としている。また、成育医療における産科、小児科、内科の協働のモデルを示すことも重要な目的である。
研究方法
研究者所属施設の自験当該妊娠194例について症例詳細調査を行い、CHBのリスク因子を検討した。一方、CHB発症例に対して薬物による胎内治療の効果について検討を行った。胎児CHBの早期診断を可能にするためにPR時間を胎児心磁図法および胎児ドプラ心エコー法で計測し、妊娠週数に応じた房室伝導時間の標準値設定を行った。また、左室流入血流波形のA波の幅による房室伝導時間の近似を試みた。全国の主要施設を対象に、現状把握目的のアンケート調査を行うと同時に詳細症例調査票作成を依頼した。
結果と考察
CHB発症群の母体では出産年齢が若い、膠原病の臨床症状がない、髄膜炎の既往がある、ステロイド剤の服用がないという傾向があった。母体の抗SS-A抗体価が高いほどCHB発症のリスクは高まる傾向にあった。特にROC曲線より二重免疫拡散法による抗体価32倍がカットオフ値と設定できる可能性が示された。抗SS-A/60kD、52kD(ELISA法)、抗SS-A 52-kDa p200 peptideの有用性が示唆されたが、まだ課題は多い。CHBと診断された胎児へ、母体を介してベタメタゾンと塩酸リトドリンを投与することが予後の改善に有効であることが示された。また、胎児心エコー法による妊娠週数に応じた房室伝導時間の標準値設定、左室流入血流波形のA波の幅による房室伝導時間の近似ができた。アンケート調査では当該症例の診療は内科と産科、小児科など複数の科が協働して当たっていること、その管理指針の整備が不十分であると考えている医師が多いことが明らかになった。また、研究者所属施設以外から450例を超える症例調査票の提出が受けられた。
結論
本研究では当該領域の症例を多く保有する施設に所属する、複数科の専門家が一つの班を構成し、全国規模の症例詳細調査を施行することができた。また、初年度の成果として194例を統計解析した。次年度は450症例の調査票を追加し、解析することにより、有用な知見が得られるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2011-09-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201018021Z