漢方薬によるワクチンアジュバント効果の検討と臨床応用

文献情報

文献番号
201015051A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬によるワクチンアジュバント効果の検討と臨床応用
課題番号
H22-臨研推・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
済木 育夫(富山大学 事務局/和漢医薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 清野 宏(東京大学医科学研究所 )
  • 後藤 博三(富山大学大学院医学薬学研究部)
  • 小暮 敏明(社会保険群馬中央総合病院)
  • 並木 隆雄(千葉大学医学研究院)
  • 齋藤 滋(富山大学大学院医学薬学研究部)
  • 日高 隆雄(富山大学大学院医学薬学研究部)
  • 川名 敬(東京大学医学部附属病院)
  • 折笠 秀樹(富山大学大学院医学薬学研究部(医学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
基礎研究と臨床研究を連関させながら遂行することで、漢方薬の中から、ワクチン抗原に対する(1)特異的抗体の産生、(2)特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導、さらには (3)交差反応性抗体の産生 の増強が可能な漢方薬を網羅的に探索し、治療適応根拠に基づき、免疫力が低下した高齢者、およびリウマチ患者のインフルエンザならびに子宮頸がんワクチンアジュバントとして迅速に利用可能とする点にある。
研究方法
まず初めに、基礎研究において、抗原特異的アジュバント活性を有する漢方薬を、細胞実験で網羅的に探索し、次に、ワクチンアジュバント効果を動物実験により評価した。その結果、ワクチン皮下摂取、経口ワクチン、および乳酸菌改変型子宮頸がん治療ワクチンの併用で、十全大補湯、補中益気湯、黄耆建中湯がワクチンアジュバントの候補となることが明らかとなった。そこで、免疫能低下が推測される高齢者患者(46名)ならびに関節リウマチ患者(45名)を対象に、インフルエンザワクチン接種前から接種後12週まで、上記の漢方薬等を投与し、特異的抗体産生、交差反応性抗体、副作用の軽減(感染症ならびに炎症等の軽減に関する臨床効果)を評する臨床試験を開始した。
結果と考察
数十種類の漢方薬に対して検討を行った結果、強いワクチンアジュバント効果を有する十全大補湯以外にも数種類の漢方薬の選択に基礎研究で成功し、これらの作用機序も、全身免疫および粘膜免疫系の両観点から明らかにできた。さらに、選択された漢方薬は、子宮頸がん治療ワクチン(乳酸菌E7ワクチン:GLBL101c)の効果も増強することから、次年度以降に遂行される臨床応用へつなげるための橋渡し研究は、十分に成果をあげたと思われる。さらに、次年度以降に、高齢者に対するインフルエンザワクチンに対する漢方薬のアジュバント効果に関する無作為化比較臨床研究を実施する際に使用する漢方薬の選択のための予備試験も、現在開始できており、基礎研究から橋渡しされた臨床研究も予定通り遂行している。
結論
平成22年度の本事業において数十種類の漢方薬に対して検討を行った結果、強いワクチンアジュバント効果を有する十全大補湯以外にも数種類の漢方薬の探索に基礎研究で成功している。さらに、我々は、高齢者およびリウマチ患者のインフルエンザワクチン、接種時に上記漢方薬を併用し、ワクチンアジュバントとしての有用性を評価する臨床試験も開始できるなど、平成22年度の本事業は順調に遂行された。

公開日・更新日

公開日
2011-08-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015051Z