NDDPX08の筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導臨床研究

文献情報

文献番号
201015023A
報告書区分
総括
研究課題名
NDDPX08の筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導臨床研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
池田 穰衛(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉井 文均(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
53,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬の早期開発を目的とし、医薬品化合物NDDPX08(化合物名、bromocriptine mesylate(BRC):パーキンソン病の治療薬)を孤発性および家族性のALS患者に投与して臨床効果を検証する。

(本臨床研究では既存医薬化合物NDDPX08(安全性ならびに知財保護等の観点からコードネーム使用)を孤発性および家族性のALS患者に投与して臨床効果を検証し、ALS治療薬の早期開発を目的としている。)
研究方法
本臨床研究は、計画・進捗・成果に対する客観的な評価を図るための外部諮問・評価委員会「ALS治療計画評価委員会」の設置、臨床治験に準拠した臨床研究プロトコールと臨床研究コーディネーター(CRC)によるモニタリングの導入および多施設連携CRC事務部である本臨床研究事務局(東海大学)の設置のもと、38-98週間の臨床研究期間を計画し、多医療施設(東海大学、北里大学、東邦大学)において偽薬対照を含むALS患者50名を対象とするリルゾール併用二重盲検試験を行う。
結果と考察
当該年度は本臨床研究プロトコールに則り、本臨床研究を継続した。また、当該年度の本臨床研究参加同意患者数は27名であった。現在、6名が観察期間、17名が観察期満了時に於いて投薬開始(本登録)基準値を満たし、試験薬の段階的増量期間にある。なお、4名は観察期未了および満了時において本登録基準値から外れ本登録に至らなかった。これまでのところ、憂慮すべき有害事象は観察されていない。
結論
本臨床研究参加被験者(平成21年1月-平成23年3月時点)は総計49名で、現在6名が観察期間、33名が試験薬投与期間にある。これら被験者におけるNDDPX08の安全性ならびに臨床効果に関するより確度の高い臨床研究データ取得のために、本臨床研究期間を1年間延長する申請をした。

公開日・更新日

公開日
2012-05-07
更新日
-

文献情報

文献番号
201015023B
報告書区分
総合
研究課題名
NDDPX08の筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導臨床研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
池田 穰衛(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉井 文均(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬の早期開発を目的とし、医薬品化合物NDDPX08(化合物名、bromocriptine mesylate(BRC):パーキンソン病の治療薬)を孤発性および家族性のALS患者に投与して臨床効果を検証する。
研究方法
本臨床研究では、多医療施設(東海大学、北里大学、東邦大学)において、弧発性および家族性の日本人ALS患者50名(目標症例数)を対象とし、偽薬対照を含むリルゾール併用二重盲検試験(米国 FDA の指針に準じた Phase2a プロトコールを適用)を計画した。臨床試験データの統計解析を外部機関に委託し、その結果をALS治療計画評価委員会に報告して、BRC の安全性と有効性の判定を委ねた。
結果と考察
本臨床研究への参加に同意が得られた患者の総数は49名であった。観察期(12週間)を経て本登録基準を満たした試験薬投与患者の総数は38名であった。本臨床研究期間中、試験薬との因果関係が考えられる有害事象は観察されなかった。有効性及び安全性の統計解析対象群のデータ固定後に投薬情報コードを開示した。実薬投与群は31症例、偽薬投与群は7症例であった。その内、有効性解析対象集団としては、最大解析対照群(FAS)36症例(実薬投与群29症例、偽薬投与群7症例)であった。FAS 群は全てプロトコール適合群であった。本臨床研究の試験データの統計解析結果から上肢及び下肢機能の維持を始め複数のQOL機能に有意傾向が認められ、さらにALSFRS-Rトータルスコア、頸部筋力維持においても有意傾向が確認された。これらの解析結果をALS治療計画評価委員会に提出し、「日本人ALS患者に対するBRCの安全性については、中長期連投薬症例群において憂慮すべき弊害は認められず安全性は概ね保障されている」、「本統計解析条件での解析結果から、実薬投与ALS症例群において最も顕著な有意傾向が認められる。従って、BRCのALS用薬としての有効性を更に Phase3 臨床試験で検証する事が妥当である」との総合判定を得た。
 今後は、より治療に近い形でのBRCの効果と安全性の確認を行うためのPhase3 臨床試験へと展開することで、ALS治療における新規治療薬としての開発が期待できる。
結論
本臨床研究成果は最少症例数での結果であるが、統計学的にBRCの明らかな 臨床効果(有意傾向)が確認された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201015023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
非臨床試験で酸化ストレスにより誘導される細胞死に対して選択的な抑制活性を有し、且つ炎症反応の抑制効果を示した医薬品化合物NDDPX08[ブロモクリプチン(BRC)]が筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者において有用性を示した本研究成果は、酸化ストレスを分子背景とする神経炎症を抑制する低分子化合物が有望なALS治療薬に成りえることを提示していると考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究の遂行により、日本人ALS患者に対するBRCの安全性が概ね保証され、BRC投与群での複数のQOL機能に関する臨床的有意傾向が認められた。また、ALS治療計画外部評価委員会において、BRCの薬効・用量についてのPhase2b/3での検証が必要との評価が得られ、BRCのClinical POCの確証が得られたと考えられる。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
本研究による成果を受け、BRCをスクリーニングした系を改良した独自のシステムを用いて開発された新たなALS治療候補低分子化合物の非臨床試験が実施され、非臨床安全性試験への展開および治療薬としての実用化に向けての研究が進行しており、BRCを含めた新規ALS治療薬の開発が期待される。なお、BRCのPhase2b/3治験実施に向けてのスポンサーの探索は喫緊の課題である。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第54回日本神経学会学術大会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
1件
その他成果(特許の取得)
1件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
筋萎縮性側索硬化症治療剤
詳細情報
分類:
特許番号: 特願2008-177279
発明者名: 池田穣衛、大須賀等、田中一則
権利者名: 株式会社ニュージェン・ファーマ
出願年月日: 20080707
国内外の別: 日本、米国
特許の名称
筋萎縮性側索硬化症治療剤
詳細情報
分類:
特許番号: 特許第5328244号
発明者名: 池田穣衛、大須賀等、田中一則
権利者名: 株式会社ニュージェン・ファーマ
出願年月日: 20080707
取得年月日: 20130802
国内外の別: 日本

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015023Z