バイオニック血圧制御システムの実用化開発

文献情報

文献番号
201015015A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオニック血圧制御システムの実用化開発
課題番号
H21-トランス・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
砂川 賢二(九州大学大学院 医学研究院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 廣岡 良隆(九州大学病院 循環器内科)
  • 杉町 勝(国立循環器病研究センター 研究所 循環動態制御部)
  • 佐藤 隆幸(高知大学 教育研究部 医療学系)
  • 山越 憲一(金沢大学 理工研究域 機械工学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
47,078,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学の進歩により代表的な血圧調節失調である高血圧は薬物治療が可能になってきた。しかしながら、圧反射システムそのものが破綻する血管運動中枢の機能不全(全身麻酔、変性性疾患)や脊髄損傷による神経性血圧失調に有効な治療戦略は皆無である。申請者は人工血管運動中枢(バイオニックブレイン)を自律神経系と融合させることにより、制御理論を駆使して圧反射機能を再建するバイオニック血圧制御システムを世界で初めて実現した。本研究は当該基盤技術を発展させ実用化することを目指す。
研究方法
(1)脊損患者の血圧制御システム:脊髄損傷患者の交感神経を非侵襲的に皮膚を電気刺激し、血圧の制御を試みる。経皮的電気刺激条件の最適化、皮膚電気刺激に対する血圧応答の動的特性の推定、および制御論理の最適化、瞬時血圧測定法の開発を行う。(2)術中血圧制御システム:術中全身麻酔下の患者において硬膜外電極による脊髄刺激条件の最適化、脊髄電気刺激に対する血圧応答の動的な特性の推定および制御論理の最適化を行う。
結果と考察
(1)脊髄損傷患者の血圧制御システムの開発:脊髄損傷患者は皮膚の電気刺激で昇圧し、その昇圧応答は下腹部の電気刺激で最大となった。昇圧応答の大きさは刺激電流あるいは周波数の増加に伴い増大した。電気刺激に対する血圧応答特性は一次のシステムで近似できることが明らかになった。その結果、制御論理の開発も比較的容易と思われた。足背動脈のおける容積補償法による瞬時血圧測定法を開発し、健常者で動作を確認した。(2)術中血圧制御システム開発:ヒトの血管運動性交感神経を刺激する方法として,硬膜外カテーテル電極を用いた方法を採用した。実用化を前提に、企業と共同して試作器を開発した。開発期間短縮のために、神経刺激システムは既製の電気刺激装置を用いた。制御システムはWindowsベースのノートPCを用いた。最終的には専用システムの開発の可能性も視野に入れているが、既存の装置を組み合わせることによって、効率的に一次試作を完了した。試作システムは設計仕様を満たしていることを確認した。
結論
バイオニック血圧制御の枠組みは、臨床例においても有効に機能することが示された。来年度は初年度の成果に基づき、それぞれの基盤技術の最適化を図ると共に、制御論理の開発を行い、より早期の実用化を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015015Z