脳保護薬のDDS評価を可能にする超高解像度SPECT技術の開発

文献情報

文献番号
201015011A
報告書区分
総括
研究課題名
脳保護薬のDDS評価を可能にする超高解像度SPECT技術の開発
課題番号
H21-トランス・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 銭谷 勉(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
  • 古幡 博(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
  • 横山 昌幸(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
  • 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
  • 吉田 洋一(株式会社モレキュラーイメージングラボ)
  • 鷲野 弘明(日本メジフィジックス株式会社)
  • 工藤 博幸(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
  • 菅野 巖(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
  • 河嶋 秀和(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
47,078,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業では、急性期脳梗塞疾患の薬物治療におけるDDS評価法として放射性同位元素を使ったSPECTイメージング技術の確立を試みる。特に、MRIを用いた手法と対比させつつ、SPECT撮像法の高感度化と超高解像度化を実現する新しい撮像技術および装置を駆使して、定量的にDDSを評価する普遍的技術を確立する。本年度は、SPECT放射性製剤の標識環境の整備、実験動物モデルとMRI評価環境の整備、血液脳関門(BBB)透過性制御のための超音波照射条件の検討、超高解像度SPECT装置の開発によるDDS評価のための画像環境の整備を目的とした。
研究方法
SPECT核種としてI-123を用いて、高分子タンパクである酸化LDL標識法の最適化を行った。また、DDSに利用する高分子ミセルのMRI造影剤を、ラット脳梗塞再灌流モデルに投与し、その機能をMRI撮像によって評価した。BBB透過性制御法としてのマイクロバブル併用経頭蓋的超音波照射法に関しては、ラットに対して照射条件を変化させ、透過性を造影MRIおよび摘出脳にて評価した。SPECT装置の実用化では、画像再構成ソフトウェアの最適化、および高解像度検出器を搭載した頭部用超高解像度SPECT装置を試作し、ファントム実験を行い、脳局所超高解像度撮像の可能性を評価した。
結果と考察
I-123を用いた酸化LDLの標識の最適化に成功し、低分子化合物に加えて高分子化合物の標識環境も整備できた。ラット脳梗塞再灌流モデルを用いた高分子ミセルMRI造影剤の評価では、虚血部位への集積がMRI画像で確認できた。マイクロバブル併用による経頭蓋的超音波照射においては、出血を回避しつつBBB開放を制御する照射条件が見つかり、適用可能性が示された。今後、照射条件の最適化をはかる。超高解像度SPECT装置は試作機が完成し、最適化された画像再構成ソフトウェアと合わせて、ファントム実験ではあるが脳の局所を1 mm程度の超高解像度で定量的に画像化できることが確認できた。放射性製剤標識環境、実験動物モデルと評価系が整備され、超高解像度SPECT装置も試作され、DDS評価のための環境が整った。
結論
脳保護薬治療を積極的に脆弱化組織に移送すべく、超音波を用いたDDSの構築とその高感度かつ定量的な画像評価体系がほぼ整備され、最終年度に計画している生体イメージングが可能になった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015011Z