細胞特異的・高効率なsiRNA送達法の開発と難治性肝疾患治療への展開

文献情報

文献番号
201011033A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞特異的・高効率なsiRNA送達法の開発と難治性肝疾患治療への展開
課題番号
H22-低侵襲・若手-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川上 茂(京都大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は、超音波応答性マンノース修飾バブルリポソームの調製と標的となる肝類洞血管内皮細胞へのsiRNA送達による肝炎治療が目標である。
研究方法
標的細胞のリガンド・バブル・核酸が一体となる超音波応答型マンノース修飾バブルリポソーム製剤を調製した。好中球の血管外遊走の後期に関与する細胞間接着因子(ICAM-1) に対するsiRNAを静電的相互作用により複合体を調製し、LPS誘発性、虚血再灌流性肝炎モデルマウスを用いた抗炎症効果の評価を行った。
結果と考察
調製したマンノース修飾バブルリポソーム/siRNA複合体の粒子径は約 500 nmであり、以前報告のプラスミドDNA複合体と同じサイズであった。また、本DDS製剤を静脈内投与後、蛍光標識ICAM-1 siRNAは肝類洞血管内皮細胞やKupffer細胞などが存在する肝臓非実質細胞への選択的集積が認められた。肝炎モデルマウスを作成し、ICAM-1のノックダウンや抗炎症効果の検討を行った結果、本DDS製剤を用いてICAM-1siRNAを10マイクロg/マウスの投与量で投与し、肝血管内皮細胞内に送達させることで、肝臓でのICAM-1発現や血清炎症性サイトカイン誘導、肝毒性マーカーである血清ALT、AST活性を顕著に抑制できることが明らかになり、本ICAM-1 siRNA送達システムが、肝炎や虚血再灌流性肝傷害に対する新規抗炎症治療法として応用できる可能性が示された。
結論
当初計画では、siRNAの肝類洞血管内皮細胞への高効率な細胞選択的送達法の開発と肝炎治療への展開を予定していたが、ほぼ予定通り研究を進めることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011033Z