Claudin binder修飾ナノリボソームを利用した上皮癌の早期診断・治療法の開発

文献情報

文献番号
201011029A
報告書区分
総括
研究課題名
Claudin binder修飾ナノリボソームを利用した上皮癌の早期診断・治療法の開発
課題番号
H21-ナノ・若手-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 昌夫(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 亮(帝京大学 薬学部)
  • 阿部 康弘(独立行政法人 医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
上皮細胞が癌化すると、分裂軸が水平方向から垂直方向に回転し、細胞間隙面に局在するclaudin (CL)を表面に露出した状態で増殖を開始する可能性が示唆されており、 CLリガンドを利用すれば癌化早期イベントを利用した新規癌診断・治療法の開発に繋がると考えられる。そこで本研究では、上皮細胞の癌化超早期イベントである分裂軸の回転に着目した癌診断・治療用ナノメディシンの創出を試みる。
研究方法
現在までに、CL-4 binderであるC-CPEを用いて、CL-4指向性トキシンが正常な上皮細胞と比較して癌細胞に対して強い細胞障害性を示すことを見出し、C-CPEに比して優れたCL4結合性を有するC-CPE変異体、CL-1結合性を有する誘導体などの創製に成功した。
  本年度は、1)新規CL binderの創製、2)CL指向性トキシンの抗腫瘍活性解析を試み、3)CL binder修飾リポソームを作製した。
結果と考察
1)新規CL binderの創製:CL提示出芽バキュロウイルスを免疫したCL欠損マウスの脾臓を用いて一本鎖抗体(scFv)ライブラリを作製し、CL-1、-4に結合性を有するscFvの作製に成功した。
2)CL指向性トキシンの抗腫瘍活性解析:マウス乳がん細胞を用いた癌の自然転移モデルを用いてCL-4指向性トキシンの抗腫瘍活性を解析したところ、原発巣の腫瘍増殖抑制および癌転移抑制が観察された。
3)CL binder修飾リポソームのin vitro活性解析:抗癌剤封入C-CPE修飾リポソームを作製したものの、癌細胞に対して弱い毒性しか示さなかった。そこで、C-CPEに比して20倍強いCL-4結合性を有していたC-CPE変異体を用いてCL-4指向性リポソームの作製条件を検討した。
結論
以上、現在までの検討により、CLを標的とした癌治療戦略の有用性を見出し、CL binder創製系を構築した。本研究の成否は、高活性のCL指向性分子創製が鍵を握っていることから、引き続きCL指向性分子のスクリーニングを進めると同時に、各種CL指向性分子を用いてCL指向性リポソームを作製し、in vitroおよびin vivoにおいてCL指向性や抗腫瘍活性を解析する。抗癌活性特性に優れたCL指向性リポソームの作製を達成した際には、安全性に関するデータを併せて取得する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011029Z