自動追尾・照準捕捉を可能とする超高精度“HIFU超音波銃”の開発による、低侵襲・低コストの腫瘍性病変治療(子宮内胎児から小児・成人まで)

文献情報

文献番号
201011021A
報告書区分
総括
研究課題名
自動追尾・照準捕捉を可能とする超高精度“HIFU超音波銃”の開発による、低侵襲・低コストの腫瘍性病変治療(子宮内胎児から小児・成人まで)
課題番号
H22-低侵襲・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 敏雄(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 北角 権太郎(独立行政法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
  • 望月 剛(日立アロカメディカル株式会社 東京事業所)
  • 土肥 健純(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 梅村 晋一郎(東北大学 医工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,“HIFU超音波銃”,すなわち,画期的な集束超音波(High-Intensity Focused Ultrasound)の画像誘導・照射治療装置を統合したシステムの開発を目指す.本技術は,生体内の深在血管(腫瘍組織への栄養血行あるいは生体組織・臓器に障害をきたしうる異常血行等)を非接触性に,体表からの短時間・深部HIFU照射にて超高精度に凝固閉塞・遮断するものである.
研究方法
本システムは,①128ch電子アレイ型のトランスデューサ,②3Dエコーデータ高速転送(3D音波診断装置から患部周辺の3Dボリュームデータを高速・確実に照射位置追尾用のワークステーションへと送るアルゴリズム・プロトコルの作成),③HIFU照射の制御装置(FPGAによる専用基板・電源装置),④照射位置追尾用ソフトウェア(受け取ったボリュームデータから患部(HIFU照射により焼灼すべき血管)の位置を特定し,リアルタイムに追尾するソフトウェア),⑤ロボットアーム(焦点位置の粗調整用)の5つの基盤技術で構成した.
結果と考察
①では試作機において,焦点を前後左右に高速にシフトできることを確認した.②では,特別仕様の超音波診断装置とシステム全体の制御を行うワークステーション間を汎用のネットワークケーブルで接続し,リアルタイムで3Dボリュームデータの授受を行えることを確認した.③では,64ch分の制御装置を試作し,電気的な性能を確認した.④では,追尾用アルゴリズムを検討し,ユーザインタフェースも含め,ソフトウェアの製作にとりかかった.⑤では,手術台にとりつけられ,冗長な自由度を持たない安全な機構を検討し,設計・試作を行った.ハードウェアである128ch電子アレイ型トランスデューサ,HIFU照射制御装置,ロボットアームについては,計画通り第一次試作を終え,改良に向けて評価実験を進めている.ソフトウェアである3Dエコーデータの高速転送と,照射位置追尾アルゴリズム,ユーザインタフェースについては,ハードウェア同士を接続する役割という面もあり若干の遅れが見られるが,既に一部の動作テストは終えており,2年目でのシステム統合に向け,開発を進めている.
結論
以上のように,体内深部の血流の凝固閉塞・遮断のために最適なHIFU治療システムの要求仕様を決定し,システムを構成する基盤技術の研究開発を進めた.次年度にはこれらの基盤技術を一つのシステムとして接続・統合し,ボリュームデータの取得からデータ解析,HIFU制御装置への出力,HIFU照射結果のフィードバックの評価を進めていく.

公開日・更新日

公開日
2011-07-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011021Z