文献情報
文献番号
201011005A
報告書区分
総括
研究課題名
高磁場MRIと核医学・分子イメージングに基づく動脈硬化の高感度かつ定量的な診断と新しい予防戦略の構築
課題番号
H20-ナノ・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究分担者(所属機関)
- 野口 輝夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 内藤 博昭(独立行政法人国立循環器病研究センター)
- 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防検診部)
- 飯原 弘二(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経外科)
- 山田 直明(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
- 植田 初江(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床病理科)
- 福島 和人(独立行政法人国立循環器病研究センター 放射線部)
- 峰松 一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
- 古本 祥三(東北大学大学院 医学系研究科 機能薬理学分野)
- 田村 元(東北大学大学院 医学系研究科保健学専攻 医用情報技術科学領域 医用物理学分野)
- 大田 英揮(東北大学病院 放射線診断科)
- 寺本 昇(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 久冨 信之(香川大学 医学部 医学科 医用物理学)
- 河嶋 秀和(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 越野 一博(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
- 平野 祥之(独立行政法人国立循環器病研究センター 画像診断医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
高磁場MRI技術とPETに用いる分子プローブ合成技術を基にして、不安定プラークの構造的かつ分子機能的プロセスの変化を明らかにすること。
研究方法
最終年度は頸動脈プラーク・モデル豚を用いて3テスラMRIによる動脈壁の撮像シークエンスの最適化を行った。また、線維性皮膜の不安定性の指標である[18F]SAV47の改良タイプとして [18F]SAV47Hを合成し、小動物PETにより基本的な体内動態特性を評価した。SPECTプローブとしては、123I標識oxLDLを用いて酸化LDLの体内動態を検討した。さらに、MRIプラークイメージング撮像パラメータをウエブ上でインタラクティブに操作可能なツールの作成を目指した。臨床部門はヒト冠動および頸動脈を1.5テスラMRIを用いて撮像し、MRIによる不安定プラーク評価の意義を検討した。
結果と考察
ヒト用3テスラ MRI装置を用いた3D TOF MRA画像では頸動脈プラーク・モデル豚の擦過処置部分の血管内腔が一様に高輝度に描出され、H&E染色の結果と比較しこの部分は血栓形成をしている部分と判明した。また [18F]SAV47HのIC50は0.28 nMと非常に強力な阻害活性を示し、かつ[18F]SAV47Hは肝臓からの消失が速やかでMMPイメージングの実現可能性を示唆する結果が得られた。さらに、123I標識oxLDLは初回循環で肝臓への速やかな移行と全身性の分布を認め血管内皮に取り込まれる結果が得られた。一方、MRIのグループは臨床現場で使いやすい信号強度シミュレーション用ソフトウエア、および、緩和時間測定用 パルスシーケンスを作成した。さらに動脈硬化プラーク組織のような1 ミリ以下のサイズのものでも比較的短時間で縦緩和時間を測定できる MRI 撮像方法を考案した。臨床部門は、1.5テスラMRIで描出された高輝度頸動脈プラーク群は、高輝度プラークを有さない群に比べて有意に心血管イベントが多いことを世界で初めて報告した。また、非造影T1強調画像法を用いた冠動脈不安定プラークの同定法、特に薬効評価指標としての同撮像技術の臨床的意義を確認する探索的前向き研究の登録を終了した。脳外科部門では、頸動脈内膜剥離術後の再狭窄症例では、術前の非造影T1強調画像で低信号プラークの症例において有意に高いことを報告した。
結論
不安定プラークの構造的かつ分子機能的な特徴を評価できる分子プローブの開発および高磁場MRIシークエンスの最適化を行った。また、汎用MRI装置を用いて冠動脈、頸動脈の不安定プラークの画像上の特徴を明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2011-07-28
更新日
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