文献情報
文献番号
201011003A
報告書区分
総括
研究課題名
神経インタフェース技術の確立による次世代義肢における感覚及び随意運動機能の実現
課題番号
H20-ナノ・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
満渕 邦彦(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 隆文(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
- 深山 理(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
- 下条 誠(電気通信大学 電気通信学部)
- 石川 正俊(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
- 竹内 昌治(東京大学 生産技術研究所)
- 眞溪 歩(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
- 國本 雅也(社会福祉法人済生会 横浜市東部病院 脳神経センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
36,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、生体の神経系(神経線維・神経細胞)と外部機器の信号ラインを神経電極などのインタフェース素子で直接かつ永続的に接続する事によって、生体の運動神経情報によって装着者が意思どおりに動かすことができ、また、人工肢に装着したセンサ類によって得られた圧や位置などの情報を、(神経への)刺激インパルス列に変換し、対応する感覚神経系を直接刺激してやることにより、生体が自分の手足で触れた際に感じられるのと全く同等な感覚を装着者が感じる事もできるという、次世代の人工肢システムの試作を試みるものである。。
研究方法
研究方法は、1)末梢神経において運動神経線維からの情報の記録と、感覚神経線維への刺激を同時に行ないうる再生型電極等の末梢神経用多チャンネル電極を開発すると同時に、2)末梢神経の運動神経情報、あるいはその代替信号(大脳皮質運動野の信号や筋電信号など)を用いて義手を操作するアルゴリズムの確立を図り、また、3)マイクロスティミュレーション法などを用いて末梢神経の感覚神経線維を電気刺激する事によって、要求する性状・強度の感覚を生成する手法の確立を行ない、この3技術を義手システムに投合・実装して、随意運動機能と感覚機能を有する義手を構築するというものである。
結果と考察
末梢神経信号やその代替信号によるロボット肢の動きの制御、感覚神経への微小刺激法や腱振動刺激による体性感覚や固有感覚の生成(コーディング則)の検討、再生型電極の改良と試作など、各要素技術の開発研究は継続したが、最終年度のため、埋め込み型電極による末梢運動神経情報の計測と統合システムの構築に重点を置き、前者ではラット坐骨神経に埋め込んだパリレン柔軟電極からの運動神経情報により、ロボット肢にラットの歩行を模して歩かせる事ができ、また、ヒトを被験者とした実験系では、ロボットハンドを筋電情報を用いて被験者の意思通りに動かすと共に、マイクロスティミュレーション法を用いて、その指で触れた際の圧を自然な圧感覚として感じさせる事も可能である事を示した。
結論
ヒトを被験者とし、ロボットハンドを用いた実験系、および、動物の末梢神経にパリレン柔軟電極を埋め込んだ実験系によって、随意運動機能と感覚機能を具えた義肢システムを構築する事が可能である事を示す事ができたが、最重要開発目標とした再生型電極に関しては良好なS/N比での計測が困難で、更なる検討を必要とする。
公開日・更新日
公開日
2011-08-15
更新日
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