出生前検査に関する情報提供体制、遺伝カウンセリング体制、支援体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202427007A
報告書区分
総括
研究課題名
出生前検査に関する情報提供体制、遺伝カウンセリング体制、支援体制の構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA0401
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 秀彦(お茶の水女子大学 基幹研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 重人(京都大学大学院 医学研究科)
  • 西垣 昌和(国際医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科)
  • 山田 崇弘(北海道大学病院 臨床遺伝子診療部)
  • 小西 郁生(京都大学 大学院医学研究科)
  • 久具 宏司(東京大学医学部附属病院)
  • 小出 馨子(学校法人 昭和大学 医学部)
  • 佐々木 元子(お茶の水女子大学大学院基幹研究院自然科学系)
  • 澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
  • 鈴森 伸宏(名古屋市立大学 大学院医学研究科 産科婦人科)
  • 浜之上 はるか(横浜市立大学附属病院 遺伝子診療科)
  • 蒔田 芳男(旭川医科大学 医学部 病院遺伝子診療カウンセリング室)
  • 三浦 清徳(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 浦野 真理(東京女子医科大学 ゲノム診療科)
  • 遠藤 恵子(山形県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
  • 金井 誠(信州大学医学部附属病院)
  • 佐々木 規子(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中込 さと子(信州大学医学部保健学科)
  • 福島 明宗(岩手医科大学 医学部 臨床遺伝学科)
  • 佐々木 愛子(国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター)
  • 白土 なほ子(内野 なほ子)(昭和医科大学 医学部産婦人科学講座)
  • 関沢 明彦(昭和医科大学 医学部産婦人科学講座)
  • 秦 健一郎(国立成育医療研究センター研究所 周産期病態研究部)
  • 増澤 祐子(新潟県立看護大学 看護学部)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学 医学部)
  • 吉橋 博史(地方独立行政法人 東京都立小児総合医療センター  遺伝診療部 臨床遺伝科)
  • 江川 真希子(東京科学大学 血管代謝探索講座)
  • 倉橋 浩樹(藤田医科大学 医科学研究センター・分子遺伝学)
  • 小林 朋子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム医学普及啓発寄附研究部門)
  • 佐村 修(東京慈恵会医科大学 産科婦人科学講座)
  • 竹内 千仙(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 三上 幹男(湘南医療大学)
  • 吉田 雅幸(東京科学大学 統合研究機構)
  • 田中 司朗(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
出生前検査の提供においては、単に検査を提供するだけでなく、出生時の医療への対応、グリーフケアへの対応なども求められるため、産婦人科医を中心に、小児科医や、臨床遺伝の専門家、助産師、看護師、保健師などによる多職種協働体制が必要である。これまで産婦人科専門医を対象とした教育体制の構築を行ってきたが、医師以外の研修体制は未だ整備段階である。その一方で、マイクロアレイや次世代シークエンサーを用いた解像度の高い網羅的検査が利用可能となり、複雑化が進んでいる。そこで、出生前検査の現状調査を把握し、現状に沿った産婦人科医および出生前検査に関連する職種の研修体制の更新、倫理問題の再検討を行うこととした。
研究方法
本研究班は、本研究班の構成員は、医師、看護師、助産師、保健師、認定遺伝カウンセラー、統計学者、科学コミュニケーター、社会学者、など多職種からなっている。さらに、参画する医師の専門領域も、産婦人科だけでなく、小児科、内科、医学教育、医療倫理など様々な領域から構成した。研究にあたっては、下記の4つのサブグループを構成し、各課題への対応について検討を行うこととした:第1グループ(産婦人科医を対象とした教育の検討)、第2グループ(医師以外の関連職種を対象とした教育体制構築)、第3グループ(出生前検査に関するエビデンス集積)、第4グループ(倫理的・社会的課題の検討)。
結果と考察
1) 産婦人科医を対象とした教育の検討
卒後研修における遺伝医療についてもテーマとして研究を実施した。本研究では、教育プログラム(講義シリーズ・ロールプレイ研修)の改訂と評価を実施し、産婦人科医の卒後研修における遺伝医療について検討した。教育プログラムは概ね適切であるが、一部内容の調整が必要とされた。ロールプレイ研修は非常に有効であり、参加者から高評価を得た。

2) 医師以外の関連職種を対象とした教育体制構築
医師以外の職種(主として助産師,保健師)における出生前検査に関する実践,および教育・研修に用いる資材を作成した.一次施設においてカップルへの一次対応に当たる助産師向けには,本研究班で作成・運用している医師向けロールプレイ研修を基に,ロールプレイ事例集を作成した.自治体窓口で母子保健業務あたる保健師・助産師向けには,対応マニュアル(案)を作成した.これらを活用した教育・研修の実装をすすめる。

3) 出生前検査に関するエビデンス集積
「出生前検査に関するエビデンス集積」として従来から実施されている出生前検査の現状調査に加えて、欧米で行われている3つのトリソミー以外を検査対象としたNIPTや胎児の網羅的遺伝学的検査などの出生前検査の文献調査を報告した。また、胎児を対象とした網羅的遺伝子解析の実施に関する医師の意識調査、NIPT経験者のWeb調査を実施した。

4) 倫理的・社会的課題の検討
 約3万人のwebモニターを対象に質問紙票調査を実施し、本邦の市民において出生前診断への意向と網羅的検査に対する考え方を調査した。医療者においては、態度と知識を涵養し対応することが求められると考えられた。
結論
出生前検査に対する専門職の教育体制の整備が順調になされている一方で、新しい技術への対応、一般のリテラシー向上が求められていることも明らかになった。統一性のある教育・啓発体制の整備が求められる。次年度においては、具体的な啓発活動を含めて研究を実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-08-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202427007Z