文献情報
文献番号
201010012A
報告書区分
総括
研究課題名
高速シークエンサーを用いたnon-coding RNAまで包括されたトランスクリプトーム解析による新規安全性バイオマーカーの同定
課題番号
H20-バイオ・若手-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 創健(京都大学大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ギガシークエンサーを用いてnon-coding RNAまで包括されたデジタルトランスクリプトーム解析を世界に先駆けてトキシコゲノミクスに適用し、薬物毒性予測におけるnon-coding RNAの有用性を評価するとともに、薬物肝毒性に関わる新規安全性バイオマーカー、しいては肝細胞の細胞障害・細胞死を抑制するための治療標的分子候補の同定することを目的とする。
研究方法
トログリタゾン薬物肝毒性モデルにおけるnon-coding RNA包括デジタルトランスクリプトームデータを取得し、UniGene、Ensemblに対するアライメント解析を行うとともに主成分分析を行った。さらにRNA component of mitochondrial RNA processing endoribonuclease (RMRP)のsiRNAを用いたノックダウン実験を行い、WST1法により肝毒性への影響を調べた。
結果と考察
UniGeneもしくはEnsemblに対するアライメント解析のいずれにおいても、主成分分析の結果、第二軸において薬物肝毒性と非毒性のサンプル群が明確に分類され、両者で合わせて10種のnon-coding RNAと8種のmRNAがトログリタゾンによる薬物肝毒性に強く寄与していることが示唆された。この10種のnon-coding RNAの中からRMRPに着目し、ノックダウン実験を行ったところ、細胞生存活性・増殖の有意な低下が観察され、トログリタゾンによる薬物肝毒性の結果が再現されたことから、non-coding RNAがトログリタゾンによる薬物肝毒性に関与していることが明らかとなった。今後、RMRPは薬物肝毒性に関わる新規安全性バイオマーカーとして、そして肝細胞の細胞障害・細胞死を抑制するための治療標的分子として更に研究・開発が発展することが期待される。
結論
トログリタゾン肝毒性モデルにおいて、non-coding RNAが薬物肝毒性に寄与し、薬物毒性予測において有用であることが示唆された。とりわけnon-coding RNAであるRMRPは薬物肝毒性に関わる新規安全性バイオマーカーの有力な候補であることが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2011-09-21
更新日
-